1.大声で叱る
猫のしつけでいちばんやりがちなのは、大声を出して叱ることです。爪研ぎや噛み癖など、問題行動がなかなか改善されないと、飼い主さんもイライラが募ります。感情的になって、つい声を荒らげてしまうこともあるかもしれません。
猫はとても耳の良い動物で、飼い主さんに大声で叱られると、たんにびっくりして、どこかへ逃げ出してしまいます。ドライヤーや掃除機などの苦手な生活音と同じです。愛猫にとって飼い主さんの大声は、雷と似たような恐ろしさなのでしょう。
一度でも不快な思いを体験すると、性格が繊細な猫だった場合、大声=飼い主さん、という負のイメージがついてしまい、以降、何かと避けられがちになることもあります。
同じ理由で、愛猫の名前を呼んで叱るのもNGです。愛猫のなかで、自分の名前=イヤな出来事として紐づけされてしまいます。
猫と暮らしていると、良かれと思ってやったことが結果的に裏目に出ることはたびたびあります。愛猫の名前を呼びながら、大声で叱ることだけは、くれぐれも避けるようにしましょう。
2.無視し続ける
2つ目は無視し続けることです。愛猫のワガママやイタズラが過ぎるケースでは、一時的なスルーが一定の効果をもたらすこともあります。しかし、長期間に渡る無視は、愛猫にとっては間違いなく大きなストレスです。
明らかに愛猫がかまって欲しいのに、飼い主さんがまったく反応せず、逆に冷たくあしらってしまうと、どんどんストレスが溜まります。
精神的に不安定になった猫は、寂しさを埋めるため、過剰な毛づくろいをはじめ、やってはいけない場所での爪研ぎ、粗相を繰り返すようになります。無視し続けることで、イタズラで割れたテーブルの花瓶以上のダメージを、愛猫に対して与えてしまうわけです。
人間同士でも無視はつらいものですが、環境、すなわち、飼い主さんに左右されがちな愛猫にとっては耐え難い苦痛に違いありません。今まで培ってきた飼い主さんとの信頼関係もあっけなく崩れ落ちてしまいます。
継続的な無視は、愛猫の精神を必ずや蝕みます。もしイタズラ現場を目撃したら、その場で「ダメ!」などの短い言葉で注意したほうが賢明です。猫に対しては、人間と同じ叱り方では通用しない、ということを常に頭に入れておいてください。
3.体罰を加える
今さら言うまでもないことですが、最悪なしつけは、体罰を加えることです。「殴る」「閉じ込める」「からかう」など、身体的、精神的苦痛を愛猫に与えることは、動物虐待以外の何ものでもありません。絶対にやってはならない行動です。
体罰はしつけのため、という飼い主さんの意図は、愛猫にはいっさい伝わりません。ただひたすらショッキングな出来事として記憶されるだけです。猫はネガティブな記憶を一生忘れないとも言われています。
感情に任せた暴力行為は、愛猫との信頼関係を切り裂き、取り返しのつかない状態へと陥れるだけです。繰り返しになりますが、どんなことがあっても、愛猫への体罰はやめてください。
まとめ
もともと猫はイヌのようなしつけには向かない動物です。たとえば、問題行動などでしつけの必要に迫られたとき、短い言葉を使って、その場で叱ることを心がけてみてください。しつけに関して、家族間で統一したルールを決めるのも効果的です。
本文でも紹介した「大声を出す」「無視する」「暴力をふるう」は、身も心も愛猫を傷つけてしまうので、絶対にやめましょう。