猫に多く見られる『3大アレルギー』症状や原因、対処法を解説 共通するのは“強いかゆみ”

猫に多く見られる『3大アレルギー』症状や原因、対処法を解説 共通するのは“強いかゆみ”

猫のおもなアレルギーには、ノミアレルギー、食物アレルギー、非ノミ非食物性アレルギーがあります。今回はこれらのアレルギーの症状、原因、対処法について詳しく解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.ノミアレルギー

駆虫薬を使用中の猫

ノミアレルギーとは、猫に寄生したノミに噛まれることで発症するアレルギーです。ノミアレルギー性皮膚炎を起こし強いかゆみが生じます。猫ではもっとも多く見られる皮膚疾患でもあります。

ノミアレルギーの原因

ノミアレルギーの原因はノミの唾液に含まれているタンパク質などのアレルギー成分です。ノミアレルギーを持つ猫がノミに噛まれることで体内に入り、アレルギーを引き起こします。

ノミアレルギーはたった1匹のノミに噛まれただけでも発症するため、注意が必要です。

ノミが活発化する夏から秋口にかけて多く見られますが、最近は冬でも暖かい家が多いことから、通年で発症する可能性があるでしょう。

ノミアレルギーの症状

ノミアレルギーはノミアレルギー性皮膚炎を起こします。特徴的な症状には以下のようなものがあります。

  • 強いかゆみ
  • 赤いブツブツ
  • 脱毛

背中から腰のあたりにかけて強いかゆみや赤いブツブツが出ることが多いとされています。

ノミアレルギーでは強いかゆみから、体をしきりに掻いたり、舐めたりするようになります。そのため脱毛症状が見られる場合もあるでしょう。

ノミアレルギーの対処法

ノミアレルギーの治療では、ノミの駆除が最優先です。駆虫薬を使用して、猫に寄生しているノミを退治します。そのほか症状に応じて、ステロイドや抗生物質が処方されます。

また室内にノミがいると、治療をしても再発を繰り返してしまうため、室内の駆除もおこなわなければいけません。

ノミアレルギーは、ノミ予防をおこなうことで防げるアレルギーです。獣医師に相談し、適切に予防しましょう。

2.食物アレルギー

魚を狙っている猫

魚肉や穀物など特定の食べ物を摂取することで引き起こされるアレルギー反応を食物アレルギーといいます。季節に関係なく発症するのが特徴で、通年で発症のリスクがあるアレルギーです。

食物アレルギーの原因

猫の食物アレルギーの原因になりやすい食べ物としては、魚、牛肉、鶏肉などがあげられています。

このほかキャットフードに含まれている添加物がアレルギーの原因になる場合もあります。

食物アレルギーの症状

猫の食物アレルギーのおもな症状には以下があげられます。

  • 強いかゆみ
  • 赤いブツブツ
  • 嘔吐下痢
  • 脱毛

食物アレルギーのかゆみは非季節性で、通年で症状があらわれるという特徴があります。

かゆみが強いため、掻きむしる、舐める、噛むといった様子が見られる場合も多く、ひどくなると皮膚を傷つけたり、脱毛の原因になったりすることもあるため注意が必要です。

また猫によっては、嘔吐・下痢などの消化器症状が見られる場合もあるでしょう。

食物アレルギーの対処法

食物アレルギーが疑われる場合は、原因となっている食べ物を特定するために、除去試験をおこないます。

アレルギーの原因が特定できたら、その食べ物が使われていないキャットフードを与えるようにします。

食物アレルギー用の療法食を用いることもありますので、獣医師と相談しながら適切なフードを選ぶようにしましょう。

3.非ノミ非食物性アレルギー

キャットタワーでくつろぐアビシニアン

ノミや食べ物以外が原因のアレルギーです。非ノミ非食物性アレルギー性皮膚炎、非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎と呼ばれる皮膚症状の原因となります。

ハウスダストなど生活環境中にあるさまざまなものがアレルギーの原因となり得ます。

非ノミ非食物性アレルギーの原因

猫の非ノミ非食物性アレルギーでは、花粉、ハウスダスト、真菌、フケなど私たちの身近にあるものがアレルギーの原因になります。

花粉が原因の場合は、季節によって症状の強さに波が見られる場合があります。

遺伝的に皮膚のバリアが弱い猫が発症しやすいと言われており、とくにアビシニアンに多い傾向です。

非ノミ非食物性アレルギーの症状

非ノミ非食物性アレルギーの特徴的な症状には、顔や首、おなか、足など体のさまざまな部位に発症するかゆみがあげられます。

ほかのアレルギーと同じく、かゆみのある部分を掻きむしる、舐める、噛むなどの行動が見られるようになります。結果として、脱毛や皮膚を傷つける原因になる場合もあるため注意が必要です。

また赤いぽつぽつが見られたり、上唇の潰瘍、口の中にできものが見られる猫もいます。

非ノミ非食物性アレルギーの対処法

非ノミ非食物性アレルギーの治療は多岐にわたり、時間がかかることも多く、再発のリスクも高いと言われています。

非ノミ非食物性アレルギーの場合は、治療と同時にアレルギーの原因となる物質を除去することも重要です。こまめな掃除でアレルギーの原因となるハウスダストや花粉などの物質を除去し、症状の軽減に努めましょう。

まとめ

テーブルの上で体を掻く猫

猫のおもなアレルギーとしては「ノミアレルギー」「食物アレルギー」「非ノミ非食物性アレルギー」があげられます。いずれにしても強いかゆみが特徴で、体を掻きむしったり、舐めたり、噛んだりなどの行動が見られます。

かゆいという症状は非常に不快でストレスになります。また掻きむしって皮膚症状が悪化すると二次感染の原因にもなり得るため、早めに動物病院を受診し治療を受けさせるようにしましょう。

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