1.「かわいい」は生きる力に
猫に対して、人が自然に「かわいい」と感じてしまうのは、いったいなぜなのか、まずはそこからお話ししましょう。
猫の顔や体型は、「ベビースキーマ」と言われています。「ベビースキーマ」とは、簡単に言うと、人間(動物)の赤ちゃんのような身体的特徴を持っていることです。
身体のわりに大きな頭、顔の中心に集まったパーツ(目、鼻、口)、ひときわ目立つ瞳の大きさなど、まさに猫の特徴と一致します。
上記のような存在に接すると、人間は本能的に「かわいい」と認識し、守ってあげたい、お世話したい、という気にさせられます。
さらに、猫を見たり、触れ合ったりするだけで、人間のストレスが減少することもわかっています。
脳内で、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が分泌→「コルチゾール」という名のストレスホルモンが低下→副交感神経が優位に、というプロセスをたどって、幸せな気持ちに包まれるからです。
「かわいい」の塊である猫を飼うと、ストレスが軽減され、なおかつ、保護・世話するうえでの責任感も湧いてくるものです。
この子のために頑張ろう、という意欲が、そのまま飼い主さんの生きる原動力にもつながります。
2.心臓発作などの病気のリスクが下がる
猫との暮らしは、飼い主さんに生活上のハリだけではなく、健康維持にもひと役買ってくれています。
いちばんわかりやすい例で言うと、一定の病気のリスクが下がることです。
アメリカのミネソタ大学の研究によれば、猫を飼っている人は、そうでない人に比べて、心臓発作や脳卒中による死亡のリスクが約30%下がる、という調査結果が出ています。
また、猫との日常的な触れ合いを通じて、免疫力向上、血圧低下、さらに孤独感が癒される、といった「効果」も明らかにされつつあります。
さらに注目したいのは、猫の「ゴロゴロ音」の意外な効能です。
「ゴロゴロ音」は、猫が喉を鳴らす音で、状況によって意味は異なりますが、主にリラックスしている時の行動のひとつとされています。
人が猫の「ゴロゴロ音」を聞くと、とてもリラックスできます。なぜかと言うと、「ゴロゴロ音」は、野鳥の美しいさえずりや川のせせらぎ、焚き火の揺れる炎など、ピンクノイズ(1/fゆらぎ)と似たようなリズムを持っているからです。
「ゴロゴロ音」には、リラックス効果に加え、血圧低下、骨密度のアップなどの作用もあります。猫自身も「ゴロゴロ音」の振動を活かして、骨折の治りを早めている、とも言われています。
3.規則正しい生活習慣が身につく
いくら猫が人の健康に「良い」と言っても、飼い主さん自身が不規則で、自堕落な生活を続けていると、たちまち体調が崩れ、やがては深刻な病気にもなりかねません。
猫を飼う大きなメリットは、規則正しい生活習慣が身につくことです。
猫はルーティンを好む動物で、起床・就寝、ごはん、パトロール、毛づくろい、お昼寝に至るまで、毎日、ほとんど決まったリズムで過ごします。特に、腹時計の正確性には驚くばかりです。
早朝、お腹の空いた愛猫に起こされるのは、猫飼いさんの「あるある」でしょう。朝寝坊しようと思っても、目覚めの愛猫ダイブが飛んできたら、そのまま寝ていられるはずもありません。
猫といっしょに暮らしていると、夜更かし、朝寝坊を繰り返していた生活が、早寝、早起きに一変します。しかも、無理やりではなく、愛猫のリズムに合わせたら、自然にそうなっていた、という点がポイントです。
規則正しい生活を続けていると、自分の健康状態はもちろんのこと、愛猫のちょっとした異変にも気づきやすくなります。空いた時間に愛猫と遊べば、飼い主さんにとってもいい気分転換です。
愛猫の健康と飼い主さんの健康はイコールです。どちらが欠けても、幸せな猫ライフとは言えません。末長くいっしょに暮らすためには、常日頃からお互いの健康管理がとても大切です。
まとめ
今回は、猫と暮らす際のポジティブな影響について、3つの視点から解説しました。
簡単にまとめると、愛猫の存在は、生きるうえでの活力であり、心臓発作などのリスクを下げ、さらに規則正しい生活をも促す、というものです。
もっと言えば、日頃のストレスを軽減し、責任感まで培ってくれます。さすが猫です。
みなさんも愛猫と長くいられるよう、健康には十分に気をつけてください。