1.衛生面に注意する
動物と必要以上に接触するのは、健康上よくないといわれているように、同じ布団で長時間過ごすことにも一定のリスクが考えられます。
特に注意が必要なのは、猫から感染する「パスツレラ症」と呼ばれる細菌による感染症です。猫の唾液や爪に常在するパスツレラ菌は、猫にとっては無害なのですが、人が感染すると皮膚の腫れや発熱などが起こることがあります。健康な人は無症状で済む場合がほとんどですが、免疫力が低下している人、子供、高齢者に深刻な症状を引き起こす可能性もあります。
猫は寝る前に丁寧に毛づくろいをする習慣があるため、添い寝は猫の唾液が付着しやすい状況になります。感染対策としては、ケガなどをしている時には絆創膏などでしっかりとカバーする、愛猫とくっつきすぎないようにするなど、猫との距離に注意しましょう。
また、猫と一緒に寝るときには、猫アレルギーにも意識する必要があります。寝具はこまめに洗濯しましょう。アレルギーの原因となる猫の毛や皮脂を放置すると、くしゃみや目のかゆみなど軽い症状から、喘息や皮膚炎といった重い症状につながることもあるためです。寝具は、猫の毛が入り込まないような素材を選び、空気清浄機の使用や毎日の換気で、清潔な環境を保つよう心掛けましょう。
2.寝返りによる事故に注意する
寝ている間は無意識に体を動かすため、猫と一緒に寝るときには、寝返りによる猫の圧迫事故が起こりやすくなります。特に寝相が悪い人は、よく注意してください。人の体重が丸々猫の上に乗ることは稀かもしれませんが、手や足、しっぽを踏んでしまうと、靭帯の損傷、最悪の場合、骨折してしまう可能性もあります。
特に子猫の場合、その体は非常に繊細で骨もまだ成長途中で致命的な事故につながる危険があります。カワイイ子猫の寝ている姿に癒されたい気持ちもわかりますが、子猫のうちは基本的に同じ布団で寝るのは避けるようにしましょう。
オトナの猫の場合でも、一緒に寝るときは十分なスペースを確保して、猫が安全に自由に移動できるようにすることが大切です。
3.猫と自分の睡眠にも配慮する
猫と一緒に寝るときには、猫の睡眠パターンも考慮して環境を整えることが大切です。猫の睡眠サイクルは数十分ごとのコマ切れですし、特に薄暗い時間に活発になる習性があるため、一緒に寝ていても夜中に目を覚ましてしまうことがよくあります。
年を重ねると、多くの猫は人間の生活リズムに順応し、朝までおとなしく過ごすことができるようになります。しかし、若い猫はその本能によって、明け方になると活発に活動する傾向が見られます。
また、猫は体温が高めであるため、布団の中があたたかくなりすぎると、布団から出たくなってしまうこともあります。そのため、猫がほかの場所へ自由に行き来できるように、部屋のドアをすこし開けておき、布団以外の寝る場所(猫用のベッドなど)も用意しておくようにしましょう。
猫が夜中でも自分のペースで過ごせると、結果的にお互いが快適な環境が保てます。猫の自然な睡眠リズムに配慮することで、愛猫との時間がさらに心地よいものになるでしょう。
まとめ
愛猫との添い寝は、とっても幸せな気持ちになれますが、お互いの安全にも気を配ることが大切です。見えない細菌による感染症や圧迫などによる事故を起こさないこと。そして、飼い主さんは猫の睡眠リズムを理解しておく必要があります。
猫が人間と一緒に寝るのは、飼い主さんを心から信頼している証拠です。猫が一緒に寝てくれることで、あたたかい心地よさを感じたり、猫の寝息を聞いたりすることで、飼い主さんにもリラックス効果があるでしょう。
とはいえ、飼い主としては、猫の体調や気分にも注意を払い、寝室環境を快適に保つことが大切です。部屋の温度や湿度を調整して、猫がリラックスできる空間作りを心がけてあげましょう。