保護した猫には「外国語の情報」が
フランス北部の都市カレーに住む猫が、英仏海峡をはさんで240キロ以上離れた英国ベージングストークで発見されました。
トラ猫「Ophelie」は、2024年5月に飼い主のChristelleさんとフランス北部をキャンプ中に行方不明になってしまいました。
しばらくあとになって、英国海峡を越えた向こう側にあるベージングストークの町を歩いているOphelieが保護されました。猫はマイクロチップを確認するため、ビエーブルズにある動物クリニックへと運ばれたのです。
クリニックで助手を務めるJade Williamsさんがスキャンすると、驚いたことに外国語でマイクロチップ情報が登録されていました。
「登録先はヨーロッパの会社だとわかり、たぶんフランスだろうと推察しました。その会社に連絡して飼い主の名前を教えてもらいました。わたしはフランス語をほとんど話せませんが、親しい友人で話せる人がいるので、協力を頼みました」という彼女です。
煩雑な「国境超え」手続き
その友人というのがAdrien Nortierさんです。彼は喜んで通訳を務めてくれました。
「国境を越えて猫を自宅に戻すのは、簡単ではありませんでした。ストレスも大きかったのですが、自分がやらなければと思って努力しました。今回の体験を通じて、いろいろなことを学びましたね」と話すAdrienさん。
Jadeさんから連絡を受けたのが2024年8月29日。それから1ヵ月以上も煩雑な手続きや連絡作業に追われたそうです。
「獣医や貿易基準局、環境・食糧・農村地域省、検疫施設、輸送会社などとのやり取りだけでなく、飼い主のChristelleさんやイギリスの関係者などと何度も連絡し合わなければなりませんでした。本当に忙しかったですね」
さらにOphelieは前回のワクチン接種から時間がたっていたため、海を渡って輸送する前に一時保護施設で検疫隔離を受けなければなりませんでした。Adrienさんは、猫用のパスポートや健康証明書などの書類にも記入して、認証してもらう必要があったといいます。
マイクロチップが役に立った
「愛猫には二度と会えない」と悲しんでいたChristelleさんですが、英国の動物クリニックから発見の連絡を受けたときは跳び上がって喜んだといいます。
そして10月2日、隔離期間を終えたOphelieは、サウサンプトンからタクシーでフランスに向かい、カレーで無事に飼い主と再会できたのです。
「Christelleさんとパートナーは、愛猫が戻ってきて大喜びです。わたしたちにとても感謝してくれました。わたしも無事に自宅へ戻せたことをうれしく思っています」というAdrienさんです。
今回の出来事はJadeさんにとっても初めての経験でしたが、「猫にマイクロチップを埋め込むことがいかに重要かをあらためて認識しました」と話しています。
「マイクロチップ情報がなかったら、どこから来たのか決してわからなかったでしょう。まさかフランスからとは…!」というJadeさんです。
Ophelieがどういう経緯でイギリスまでやってきたかは、現在も謎のままです。Christelleさんは、キャンプ場で誘拐されたと考えていますが、それでもそのあとの状況はわかりません。
いずれにしても、この猫にとっては大変な5ヵ月間でしたね。
出典:French cat found in Basingstoke returns to home in Calais