『野良猫』に対して絶対にやってはいけない4つのこと 起こり得るトラブルとは

『野良猫』に対して絶対にやってはいけない4つのこと 起こり得るトラブルとは

「野良猫」を見つけると仲良くなりたくなるものですが、いくつかの行為には気を付けなければなりません。うっかりやってしまうと、思わぬトラブルに発展する場合も…。そこで今回は、「野良猫」に対してやってはいけないことについて解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.無理に近寄る

野良猫と遊ぶ女性

野良猫を見つけても、無理に近寄ることはやめましょう。そもそも野良猫とは、人間に管理されず自然の中で暮らす猫のことです。飼い猫はもちろん、不妊手術を施されている「地域猫」とも立場が異なります。

人間と接した経験がほとんどない野良猫の中には、非常に強い警戒心を持つ個体がいるのです。遠目であれば人懐こそうに見えても、近寄ろうとすると警戒態勢になることが多いでしょう。

無理に近寄った場合、猫にとって大きなストレスとなる可能性があります。また、慌てて逃げようと走り出して事故に遭う可能性もゼロではありません。猫によっては突然攻撃してくる場合も…。

野良猫はあくまで野生の生き物ですので、無理に干渉せず温かく見守ってあげましょう。

2.体に触る

撫でられるキジトラ

馴染みの野良猫にはついつい手を伸ばしたくなってしまいますが、触る行為もやめた方がいいでしょう。前述の通り、警戒した野良猫に引っかかれたり噛まれたりする可能性があるためです。

野良猫に攻撃されて怪我した場合、パスツレラ症や破傷風などの感染症にかかることがあります。どちらも重症化すると命を落とすケースもある怖い病気です。傷口以外から感染するものもありますので、噛まれなければいいというわけでもありません。

また、人間に触られてニオイが付いた野良猫は、他の猫に攻撃されるリスクが上がるとも言われています。子猫の場合は親猫に育児放棄されるケースも。

野良猫、人間の双方にとって悲しいトラブルを生む可能性があるため、野良猫をむやみに触るのはやめましょう。

3.餌付けをする

食事中の猫

野良猫の餌付けがさまざまなトラブルの元になるということは、よく知られている事実です。

まず懸念されるのが、野良猫の頭数が増えてしまうということ。猫は繁殖力が高い動物なので、一度餌付けをするとどんどん増えて収拾が付かなくなります。

さらに、悪臭や騒音などの近隣トラブルにつながる可能性が非常に高いため、絶対に餌付けをしてはいけません。地域によっては、条例で野良猫に餌を与える行為を規制している場合もあります。

また、野良猫に餌をやると、否応でも鳥や害虫を呼び寄せてしまうことになります。これらの生き物がトラブルの元となる可能性も考えなければならないでしょう。集まってきたカラスが子猫を攻撃して、重篤な怪我を負ったり命を落としてしまうといったことも起こりえます。

4.暴力をふるう

威嚇する野良猫

当たり前のことではありますが、飼い主がいないからといって野良猫を攻撃するのは絶対に許されません。たとえ猫による厄介なトラブルに巻き込まれても、直接手を下してしまう行為は法律で禁止されています。

野良猫たちは、自然界の中で懸命に生きています。獲物が獲れなければ命を落としてしまう、過酷な環境で暮らしているのです。人間とはルールが異なるだけで、いたずらに人間を困らせようと考えている猫はいません。

野良猫に危害を加えた場合、動物愛護管理法違反により「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。殺傷した場合は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」です。

野良猫のトラブルに悩んでいる場合は、まずは自治体に相談するようにしてください。

まとめ

海辺の野良猫

2018年度の統計によると、全国で約3万頭もの野良猫が殺処分となりました。そのうち2万頭は子猫です。非常に胸の痛い事実ですが、人間が野良猫に干渉しすぎたことも要因といえます。

昨今では、野良猫に去勢手術を施し元の場所に戻す「TNR」という活動が広がっています。頭数が減ることでトラブルも減り、地域で温かく見守れる体制を整えることが目的です。

不幸な猫を増やさないためにも、命に責任を持てない場合は中途半端に関わらないようにしましょう。

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