猫にも人にも危険な『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』症状や予防法を解説

猫にも人にも危険な『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』症状や予防法を解説

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」という病気は、ウイルスが原因です。マダニがウイルスを媒介していると考えられ、猫も人も感染します。そこで今回は、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の症状や原因、予防法について解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは

外を歩く猫

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは、マダニが媒介していると考えられる感染症です。

2017年3月までは、『重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)に感染した動物で発症するのは人だけ』と考えられていました。

しかし、その後の調査によって、猫や犬など、人以外でも発症していることがわかったのです。

猫の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の症状

寝ている猫

では、この「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に罹患してしまったら、どのような症状がみられるのでしょうか。

  • 元気がない
  • 食欲がなくなる
  • 発熱
  • 黄疸
  • 嘔吐
  • 血小板減少
  • 白血球減少

人とほぼ同じ症状が猫に見られますが、人の症状と比べると黄疸が多く、下痢が少ないようです。

潜伏期は「1週間程度」とされていますが、はっきりとは分かっていません。

猫の致命率は60%を超え、重症になると急速に悪化し、数日で死亡するケースもあります。

けいれん発作を起こすことがあり、介抱しようとした人がケガをする可能性があるので注意が必要です。

なお、人が「重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)」に感染すると、潜伏期は6日~2週間、致死率は6.3~30%とされています。

猫も人もSFTSの特効薬や効果的な治療法がなく、対症療法となります。

猫の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の原因

外で座る猫

猫の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の原因としては、「重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)」をもったマダニに猫が寄生されることが原因と考えられています。

しかし、マダニ予防をしていた猫が発症したケースもあり、けんかなどで猫から猫へ感染が起きている可能性もあると言われています。

ただし、健康な猫から人、室内飼育の猫から人へ感染したという報告はないそうです。

とはいえ、人もSFTSVをもったマダニに咬まれることで感染します。また、SFTSVに感染し発症した猫の唾液や血液、排泄物にウイルスが含まれており、感染した猫に咬まれたり、血液や唾液などに直接触ったりしても感染する可能性があります。

猫の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の予防法

背中に薬をつけられる猫

ここからは、猫の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の予防法について、猫と人間それぞれについて確認しておきましょう。

猫に対する予防法

マダニは草むらなどにいて、猫などの動物が近くに来るのを待ち構えています。

マダニに寄生されないようにするには外には出さず室内で飼育することが大切です。

服に付着して家の中にマダニが持ち込まれてしまう場合もあるので、動物病院で駆虫薬を処方してもらい、定期的に投薬をして予防しましょう。

人に対する予防法

山や草むらに入るときは、マダニに咬まれないように肌の露出を避けましょう。山や草むらで使用した作業着などは、帰宅前に屋外で脱ぐなどして、家の中に持ち込まないようにします。

また、野生動物との接触は避けましょう。発症した猫の症状が治まった後も、体からウイルスが排出されているので、接触には注意が必要です。

まとめ

草むらにいる黒猫

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、ウイルスを持ったマダニに咬まれると猫も人も感染します。

発症した猫に咬まれるなど体液に触ることで猫から人に感染することもあります。

発症すると死亡することもあるので、しっかりと予防をすることが必要です。

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