シニアになって気を付けたい!猫の「甲状腺機能亢進症」を獣医が解説

シニアになって気を付けたい!猫の「甲状腺機能亢進症」を獣医が解説

猫ちゃんは普段から高いところに上ったり、冒険をしてみたり活発な生き物だと言えるでしょう。しかし他の動物と同じように、加齢とともに様々な機能が低下し、運動などもあまりしなくなり、穏やかになる傾向があります。そんな猫ちゃんが活発になったり攻撃的になったりする病気を知っていますか?高齢の猫ちゃんに注意が必要な「甲状腺機能亢進症」についてお話しします。

甲状腺ってどんな器官?

聴診器と甲状腺の模型

甲状腺という器官を知っていますか?

目に見えやすい変化を起こす器官ではないため、あまり日常生活で気にする機会は少ないかもしれません。

しかし、実は日常生活に大きくかかわる器官です。

気管の近くにある器官

甲状腺は気管に沿うように存在する器官です。

左右対称に一つずつ存在していることが特徴的です。

健康な猫の場合、首の皮膚や脂肪に埋もれているため、触ることは難しいです。

しかし、腫大したり腫瘍化することで皮膚の上から触ることができるようになる場合もあります。

一般の飼い主さんが日々触って確認することは難しいかもしれません。

それぞれ左右の甲状腺の上側に上皮小体(副甲状腺)と呼ばれる器官が付着しています。

代謝など日々の生活に必要なホルモンの分泌

甲状腺は日常生活に欠かせないホルモンを分泌しています。

各器官への代謝を活発にするホルモンを分泌しています。

このホルモンは甲状腺ホルモンと呼ばれ、さまざまなホルモンと併せて全身の恒常性を保っています。

体が日常生活を送るために、このホルモンの分泌量が多すぎても少なすぎても問題となります。

成長や発達に関与する

日常生活を送るための代謝に関係するホルモンの分泌を行なっている甲状腺ですが、他にも大切な役割を持っています。

子猫ちゃん期の主な成長は、脳下垂体と呼ばれる脳の一部から分泌される成長ホルモンが大きく関与しています。

成長ホルモンと同様、器官の発達や成長に関与するのが甲状腺ホルモンです。

成長期や発育の段階で不可欠なホルモンと言えるでしょう。

甲状腺機能亢進症に特徴的な変化は?

上を見上げるシニア猫

猫ちゃんに多い甲状腺機能亢進症という病気ですが、どのようにして気づくことができるのでしょうか。

欠かせないけれど、目に見える働きがわかりづらい甲状腺ホルモンの異常は、日常生活の中で気づかぬうちに近づいてきます。

まずは飼い主さんが変化に気づくことが大切です。

食欲が旺盛だが体重がやせる

猫ちゃんによって、食べることに興味のある子と、興味のない子など様々でしょう。

今まであまり食べることに興味がなく、置き餌にしていたという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

気づいたら食欲旺盛になって、安心してしまっていませんか?

食欲があることは良いことですが、以前と比較して変化がある場合、注意が必要です。

さらに、体重の変化にも気を付けなければなりません。

定期的な体重測定はしていますか?

たくさん食べているにもかかわらず、体重が減少しているようであれば要注意かもしれません。

落ち着きがない

猫ちゃんは日常生活の中で、飼い主さんにべったりしていることが少ないため、猫ちゃんの行動パターンを飼い主さんが完全に把握することは難しい場合もあります。

しかし、普段よりもおうちの中をうろうろしていたり、寝ている時間が短くなるなどの変化として甲状腺機能亢進症の兆候が見られることがあります。

普段はおうちの中でどのように過ごしているのか、どのくらい寝ているのかなど把握ができると、変化に気づきやすいです。

お留守番を多くする機会のある猫ちゃんは、変化を把握するためにお留守番カメラなどのアイテムを利用しても良いでしょう。

攻撃的になる、異常に甘えるなどの性格的変化

マイペースな性格の子が多い猫ちゃんですが、中高齢になって、急に飼い主さんに対して怒りっぽくなったり、すりすりと甘えるような性格的な変化が見られる場合、甲状腺機能亢進症が疑われることもあります。

認知症なども性格の変化が見られる場合がありますが、攻撃的になったり興奮しやすくなるなどの変化の場合や、体調の変化なども併せて判断する必要があります。

疑わしい場合は、まずはかかりつけの先生に相談しましょう。

甲状腺機能亢進症がわかったら?

薬に顔を近づける猫

まず、疑わしい症状に気づいても、見ただけで甲状腺機能亢進症が診断できるわけではありません。

甲状腺機能亢進症であるということを確定させ、治療をスタートします。

どのようなステップを踏むのでしょうか。

まずは血液検査を

体重の減少や行動の変化など、疑わしい変化に気づいた場合、検査をして甲状腺機能かどうかという確定を行います。

血液検査により、甲状腺ホルモンの数値の変化を確認し、数値の上昇が見られる場合は、超音波検査などの画像検査によって腫大しているかどうかを確認することもあります。

検査を行い、確定診断を行ってから治療へと進むことが一般的です。

日常的な投薬

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの分泌過多によって起こるトラブルです。

甲状腺の合成を抑制するお薬を毎日投薬することが治療となります。

誤解されがちなのが、投薬が一定期間で終了するのではということです。

一時的な投薬によって治療を行うお薬ではありません。

お薬を飲み続けることによって、甲状腺ホルモンの分泌の状態を安定させるお薬です。

勝手に投薬をやめないように注意しましょう。

また、治療が適切に行われているか、定期的に血液検査などでモニタリングする必要がある場合もあります。

療法食による食事のコントロール

投薬治療に合わせて、療法食による食事コントロールを行う場合もあります。

甲状腺ホルモンの元となる物質にヨウ素が挙げられます。

治療効果をよりよくするためや、副作用を軽減するためにヨウ素を制限を指示されることもあります。

しかし、飼い主さんの判断のみで行なうことは、栄養バランスの乱れなどにつながる危険性があるためおすすめできません。

かかりつけの先生と相談しながら食事のコントロールを行うようにしましょう。

まとめ

飼い主に顎下をなでられているシニア猫

甲状腺という器官は、大きく目立つ器官ではありませんが、日常生活を送るうえで欠かせない大切な役割を担っています。

甲状腺機能亢進症だけでは死に至る危険性は低いですが、他の器官を活発に動かすため、二次的に心臓などの器官に負担をかけ、致命的なトラブルにつながる危険性はあるでしょう。

ねこちゃんが健康に長生きをするために、定期的な検診や小さな変化に気づいたら受診すること、日常生活の中でこまめに観察をする習慣をつけることなどが大切です。

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