猫が震えているときに考えられる原因6つ
猫が震える原因は、寒さだけでなく、猫の身体状態や感情、環境の変化など、さまざまな要因が考えられます。
うれしさからシッポをぶるぶるっと震わせたり、逆に恐怖から震えたりするのは一時的なものですが、震えのなかには健康面で問題がある震えを見せることがあります。
以下に、おもな原因をいくつか紹介しましょう。
1.痛み
痛みで震えるのは、自律神経の反応や筋肉の緊張、痛みによる心理的なストレスなどが原因です。体が痛みに対処しようとして、震えが生じることがあります。
震えをともなう痛みには、内臓の疾患や骨格系の問題などもありますが、猫に多い歯周炎や口内炎、関節通などでも震えることがあります。または外傷による急性の痛みです。
2.加齢
加齢による高齢猫の健康問題として、筋力の低下があります。筋肉量が減少すると、特にうしろ足の筋力が衰えやすくなります。筋肉の収縮が不安定になるためです。
立ちあがる際のふらつきや、寝ている間の定期的な軽い震えが見られることがあります。高齢猫の震えは自然な老化現象の一部ですが、適切なケアで快適な生活をサポートすることが大切です。
3.発熱
寒いときには筋肉を震わせることで、わざと熱をあげるようにしますが、感染症などによる発熱は、病原体を排除するためにさらに体温を上昇させようと熱を作り出すようになります。
上気道感染や尿路感染症、さらには腫瘍などの重篤な疾患でも発熱が見られます。発熱の場合は、震えと同時に、食欲不振や呼吸の速さなども見られますので、複合的に判断することが大切です。
4.中毒
有害物質の摂取も猫の震えの原因となります。中毒の原因には、洗剤や殺虫剤、一部の観葉植物(ユリ科など)、人間用の医薬品(アセトアミノフェンなど)が考えられます。
これらの物質が体内に入ることで神経系が過敏反応を起こし、筋肉が異常に収縮するなどした結果、震えを引き起こすことがあります。
また、下部尿路疾患や尿結石などから尿毒症を起こした時にも震えが見られます。
5.低血糖
身体が低血糖状態になると、脳がエネルギー不足を感知して体に対して警告します。すると、この警告によって心拍数は増え、筋肉が収縮しやすくなり、結果として震えを引き起こします。
低血糖は、長時間の絶食や運動のしすぎ、食欲不振や長引く嘔吐・下痢などで起こりやすくなります。また、どの年齢の猫にも起こりますが、特に6か月歳以下の幼猫は、発症しやすい傾向にあります。
6.神経系問題
てんかんや小脳の異常、前庭疾患など神経系に問題がある猫は、筋肉がうまくコントロールできないため、猫本人の意志に関係なく震えが生じます。
全身性てんかん発作では「無意識の状態で暴れる」「のけぞったまま硬直」などの大きな症状が見られますが、部分発作では身体の一部にしか異常が出ないため、ぶるぶる震えて見えることがあります。
震えている猫への対処法
猫の震えは、原因を見極めることが重要です。
寒さや恐怖などであれば、部屋の温度を調節したり、対象物を除いたりするなど自宅でも対応できます。しかし、病気が原因となっている場合には動物病院を受診する必要があります。
- 震えがくり返し見られる
- 24時間以上継続的に震えている
- 高齢、または既往歴がある
- 震え以外にほかの症状も見られる
中毒が疑われる場合、すぐに動物病院に連れて行くことが重要です。その際、摂取した可能性のある物質の情報や症状の詳細を伝えましょう。自己判断は避けて、専門家の指示に従うことが大切です。
観察のポイントは「震えのある部位」「震えの強さ」「持続時間や頻度」「発生した状況」などです。これらはメモしておくと、診察時の参考になります。もし、余裕があれば、動画を撮っておくとよいでしょう。
また、震えのほかにも「意識の異常」「食欲不振」「嘔吐」「歩行困難」「排泄異常」などがあれば、すみやかに病院へ連れて行ってください。
まとめ
猫の震えは、単なる寒さによるものだけでなく、病気やケガなどが原因で生じることもあります。
持続的な震えや、震え以外の症状をともなう場合は要注意です。見慣れない症状があるときは、ちゅうちょせず獣医師に相談するほうが賢明です。
日頃から猫の様子をよく観察しておくと、表情や活動量などからも異変に気づきやすくなります。
いつもと異なる震えがあれば、特徴や状況をしっかりと記録しておくと、診察やその後のケアにも役立つでしょう。