猫は「血縁関係」の認識はできない
猫は自分の親兄弟を「血縁関係」として認識しません。猫は基本的に単独行動する動物なので、野生に生きる猫であれば親子一緒に行動することはないのです。
しかし、母猫も子猫が小さいうちは「わが子」として育てますし、子猫も母猫のことを「ママ」として甘えますよね。
ではなぜこの時点では親子として成立するのかというと、母猫が子猫の体を舐めて育てることにその理由があります。
毛づくろいや排泄のお世話などで母猫が子猫を舐めるとき、母猫のにおいが子猫につきます。そうすることで、母猫は「自分の子」であることを認識するのです。
しかし、母猫は子猫をひとり立ちさせるために、時がくると子猫を威嚇して自分から突き放します。外の世界で一度離れてしまうと、目印となる「におい」も消えてしまうため、親子であることを認識できなくなる、というわけです。
血のつながりよりも相性や絆が重要
人間は家族(血縁関係)をとても重んじる生き方をしますが、猫の価値観として「血縁関係」は要らないものです。人間社会で生きていくためには、家族の支えがあるとないのとでは大違いですが、猫は単独で生きる動物なので、食事もケガもすべて、自分で背負って生きるのが当たり前、といったところでしょうか。
しかし、外の世界で猫同士が仲良く生活する姿を目にしたことはあるはずです。これは「家族や親族だから一緒にいる」という理由ではなく相性の問題。一緒にいるからといって家族とは限らず、ただお互い一緒にいるのが嫌ではないから、というものです。
人間は「家族だから…」とか「家族のために…」など、猫と比べると血縁関係で線引きすることがほとんどです。しかし、猫にとって重要なのは血のつながりではなく相性。猫にとって、血縁関係はまったく無意味なもののようですが、逆を言えば「すべての猫は家族になりうる」のかもしれませんね。
一緒に暮らしていても「親子」の認識は消える
猫は「におい」で血縁関係を認識すると先述しましたが、ひとつ疑問に思うことはありませんか?
現代の猫は、人間のペットとして飼育されることがほとんどです。もし飼い猫が出産し、そのまま母猫と子猫が引き離されることなく同じ家で生活するとしたら、母猫のにおいは消えることがありません。
しかし、その場合でも、猫の中で親子関係(血縁関係)への認識はなくなってしまいます。
なぜなら、家で飼われている猫にとって、親のような存在は飼い主さんだからです。ごはんや水を与えてくれたり、ブラッシングをしてくれたり、お世話をしてくれる飼い主さんが「親」の位置づけになるようです。
そのため、猫の親子がたとえ一緒に暮らしても、「親子」ではなく「同居猫」という同列の立ち位置になるのでしょう。
まとめ
今回は、猫の「血縁関係」に対する認識について解説しました。
人間と違って猫の親子関係はドライなので、人間の価値観で見ると非情に映るかもしれません。
しかし、もし猫が血縁関係を忘れない生き物だとしたら、自然の中で生きるのは過酷ですし、母猫から引き離されて里親に出されるなどもってのほか。
猫が血縁関係を認識しないのは、猫がスムーズに生きるために必要なことなのかもしれませんね。