宿泊費ゼロの旅をめざして
コロナ禍後に高騰した運賃や宿泊費のおかげで、旅行には多大な出費が伴うようになりました。
しかし、オーストラリア・Brisbane出身のMadolline Gourleyさんは、宿泊費を気にせずに世界を旅するユニークな手段を見つけたのです。
彼女はつい最近も3ヵ月ほどカナダ国内を旅してきました。それでも彼女の宿泊代はゼロです。
というのも、民家に泊まって猫の世話をしているからです。彼女は、住人が休暇や出張で留守の間に猫の世話をする「ハウスシッター」をしています。
幼ないころから多くのペットと一緒に育ってきたため、彼女は猫が大好きです。ハウスシッターをしていないときは、オーストラリアで両親と猫のGracieと一緒に暮らしています。
ウェブサイトで宿泊先を選定
彼女はウェブ上の留守番サービスサイトを利用して、宿泊先を探しています。募集によっては家の留守番だけをすればよい場合もありますが、ほとんどのシッターは複数の動物に餌をあげたり、一緒に遊んだりするよう頼まれます。
「猫や犬のほかにも、イグアナを飼っている人や、農場の馬や牛、鶏などの世話をしなければならない場合もあります」
ほとんどの動物とすぐに仲良くなれる彼女ですが、ときには慣れるまで時間がかかる場合もあります。たおえばVancouverで出会った猫のIsabelleです。
「13か14歳の高齢猫でしたが、飼い主に警告されたとおり、なついてくれるまでに時間がかかりました。気難しい猫で、最初はわたしを嫌っていましたね。でも数日後にはわたしの膝に乗りたがったり、なでさせてくれるようになったのです」
対照的に、昨年2度目のカナダ横断旅で一緒に過ごした猫2匹は、最初から甘えっこでした。
「美しくて愛らしく、面白いし、何もかも完璧な猫たちでした。しかも飼い主は、今年もわたしを留守番役に指名してくれました」と話す彼女。2024年7月はずっとこの猫たちの世話をしながら滞在します。
就労ビザ問題で「強制送還」の経験も
旅行の費用が高くなり、Torontoで最安の共同宿泊施設でも1泊1万円以上かかることを考えると、猫はMadollineさんにとって救いの神といえます。Vancouverでも一流ホテルに泊まろうとしたら、それこそ1泊6万円はかかります。
「旅行は以前ほど手頃ではなくなりました。でも留守番や猫の世話をする気があれば、まだすばらしい場所を見て回ることができます。報酬はありませんが、無料の休暇のようなものなのです」と彼女はいいます。
たしかにハウスシッティングはお金を節約できるよい方法ですが、彼女にも問題がなかったわけではありません。米国の就労ビザを持っていない彼女は2022年にアメリカ国境警備官から尋問を受け、オーストラリアへ強制送還されていたのです。
米移民局は「報酬を受けとっていなくても、猫に餌をあげることは生産活動にあたる。旅行者がこうした生産活動を行うには就労ビザが必要である」という見解を示しています。
今後はヨーロッパへも
こうした経験を教訓に、Madollineさんは念のため、EUパスポートを取得してヨーロッパにでかけることを決めました。
「英語しか話せないわたしですが、幸運にも祖母を通じてクロアチアの市民権を取得することができました。言葉の壁があって難しいかもしれませんが、やってみます」と話す彼女です。
さらに収入を得るため、彼女は労働許可付きで募集しているリモートワークを探しているところです。ハウスシッターの仕事が入らない期間もあるからです。
「次回オーストラリアへ帰国するまで、カナダで6ヵ月間ハウスシッターをして暮らします。母国では職に就いていないし住宅ローンもないので、自由に生活を選べるのです。でも、いつかは落ち着いてちゃんとした仕事に就き、休暇が取れるときだけ年に数週間ほどハウスシッターをすることになるのでしょうね」というMadollineさんです。
現在彼女は旅行ブログを立ち上げており、ここで旅行の様子や文化の紹介、ハウスシッターへのさまざまな助言などを掲載しています。
彼女の旅行は型破りですが、世界を旅行する夢を実現するためのユニークな手段だともいえますね。
出典:This Woman Travels the World for Free by Cat-Sitting: Here's How She Goes On Rent-Free Adventures