猫の血液型の種類
猫の血液型には、A型、B型、AB型の3種類があります。AB型はごく稀といわれているので、ほとんどがA型かB型になります。
調査によると、世界的に見てもイエネコはA型が圧倒的に多く、アメリカの東海岸では100%がA型猫でした。イングランドやオーストラリアではB型とAB型が全体の3割程度いる一方、日本で暮らす猫の場合、約8割がA型で、B型は1割程度しかいないそうです。
A型やB型という血液型は、赤血球の表面にある抗原をタイプ別に分類したものを指します。抗原とは、体内に異物が入ってきたときに何を無視し、何を敵として攻撃するか決める「型」のようなものなので、性格ではなく、免疫力に大きくかかわっています。
血液型が大きく影響するのは、輸血を行うときや生まれたばかりの子猫が母乳を飲むときです。母乳は血液から作られ、抗体が含まれています。そのため子猫が母乳を飲むときに母猫の抗体が子猫に移行します。異なる型の血液が体内に入ると、お互いの赤血球を異物として攻撃し始め、重篤な副作用が生じる可能性があります。
愛猫の血液型を調べるには?
猫の血液型は、猫の赤血球抗原を調べる猫専用のキットを使用して血液型を判定します。キットさえあれば、一般的な動物病院でも調べられます。
血液型判定キットには、あらかじめ反応する物質(A型判定用抗原・B型検査用レクチン)が塗布されており、そこに血液を垂らして、固まった方がその猫の血液型というものです。両方が固まったらAB型、固まらないときは何かしらの理由で判定不能です。
通常、輸血の必要性がなければ血液型の検査は行われませんが、検査自体は採血だけなので、健康診断などの際に一緒に行うことができます。
費用は、1検査あたり約5,000〜7,000円程度です。検査キットの有無や費用は動物病院によって異なりますので、依頼する病院へ確認してみてください。
猫の血液型を知っておくメリット
猫の血液型をあらかじめ知っておくと、緊急時の対応に役立ちます。
輸血が必要な場合、異なる血液型の血を輸血すると、免疫反応が起こり命の危険が高くなります。そのため、同じ血液型のドナー猫を用意する必要があります。
輸血が必要となるのは、腎不全や白血病による貧血や事故などによる大量出血などのケースです。特に事故などは突発的に起こるため、あらかじめ血液型を知っておくことで、適切な型のドナーを迅速に見つけることができます。
もうひとつは、新生子溶血という母猫と子猫の血液型の不適合です。
母乳は、母猫の血液から作られているため、輸血同様に違う血液型を攻撃する抗体が含まれています。もし、その初乳を異なった血液型の子猫が飲んでしまうと、赤血球が破壊されて極度の貧血を引き起こし、命を落とす確率が高くなります。特にB型の母猫とA型子猫の間では、問題は強く出ます。
このような組み合わせは、父親となる猫と母親となる猫の血液型の相違に関係しています。
そのため、親となる血液型を調べず安易な交配を避けることが肝心です。子猫は母猫の初乳を飲まないと、免疫力の面でも非常に不利になります。出産前に血液不適合が判明したときには、出産後はすぐに母猫から引き離して代替乳で育てる必要があります。
まとめ
今回は、猫の血液型に関する情報を解説しました。
普段はあまり注目されることのない猫の血液型ですが、あらかじめ知っておくことには意味があります。
特に緊急で輸血が必要になったときには、血液型が適合する血液が必要です。一致しない輸血は命に関わる重大なリスクを伴うため、事前に血液型を知っておくことで、迅速にドナーや血液バンクからの供給の準備に入れるでしょう。
また、交配を考えている場合には、生まれた子猫の血液不適合による死亡を防ぐためにも、交配ペアの血液型検査は必要です。
もしまだ愛猫の血液型を調べていない場合は、次回の健康診断の際に獣医師に相談してみてください。血液型は変わらないため、健康なうちに調べておくと安心です。