「鼻ペチャ猫」と暮らす時の注意点
ブサカワが魅力の「鼻ペチャ猫」。正式には「短頭種」と呼ばれる猫で、「エキゾチックショートヘア」や「ペルシャ猫」などがその代表に挙げられます。
基本的な育て方は他の猫と変わりないものの、「短頭種」の場合、いくつか配慮すべき注意点があります。
そこで今回は、「鼻ペチャ猫」と暮らす時の注意点を、必要不可欠なケアとあわせて解説します。
1.流涙症を起こしやすい
一般的な猫と比べて鼻腔が狭い短頭種。自然と溜まった涙を鼻に流す鼻涙管も狭窄していることから、「流涙症を起こしやすい」という特徴があります。
その結果、目頭から鼻筋にかけて涙が流れては乾くを繰り返す「涙やけ」という症状と向き合わなければなりません。この「涙やけ」を放置してしまうと、猫自身が違和感を抱えてしまうのはもちろんのこと、ひどくなると皮膚炎に発展してしまう恐れがあります。
これを防ぐには、日々の顔拭きケアが欠かせません。短頭種の猫をお迎えしたら、毎日湿らせたコットンやガーゼを用いて、目の周辺や凹んだ鼻筋を拭いてあげてください。
この作業は子猫時代から継続しなくてはなりませんので、お互いに慣れていくことが大切です。
2.呼吸困難を起こしやすい
短頭種の猫の体のパーツにおいて、狭窄している(狭くなっている)部分は他にも多々あります。具体的には、鼻・喉・気管などの気道に関する部位です。
これらの特徴から、一般的な猫と比較すると呼吸に負荷がかかります。時折豚のような「フガフガ」という声を発することがあるのはこのためです。
この「フガフガ」という声自体は問題ないのですが、開口呼吸(口を開けてハァハァと呼吸をすること)が見られる場合は呼吸困難を起こしています。
日頃から呼吸の様子をチェックし、何かしらの異変があらわれた際に頼れる「かかりつけの病院」を探しておくことをおすすめします。
3.飲食がしにくい
短頭種の猫は鼻が短く低いことから、平べったい顔付きになっています。その影響で、少々「飲食がしにくい」という問題を抱えています。
生きるために重要な食事をストレスなく楽しめるように、食器は浅型で幅が広いものを用意してあげてください。
水飲み用の器に関しては、広さに加えて、高さのあるものだと飲みやすくなります。循環式の飲水機も高さが出るため、飲みやすいと思われます。
お水を器用に飲めないという問題は、熱中症やその他の病気(腎臓病や膀胱炎、尿路結石)などを引き起こすリスクファクターになります。
愛猫の水の飲み方をよく観察し、より適したものを用意してあげると良いでしょう。
4.熱中症になりやすい
これまでの経緯から、鼻ぺちゃ系の猫達は特に熱中症を起こしやすい傾向にあります。呼吸によって体内の熱を逃がしにくいため、基本的には年間を通して注意が必要になります。
そのため、短頭種の猫と暮らす際は常に「熱中症対策」を心がける必要があります。
夏場は接触冷感の寝床を用意する、冬場は涼しい空間との行き来ができる環境を整える、などの工夫があれば過ごしやすいでしょう。
そしてやはり、愛猫に開口呼吸が見られたら要注意です。クールダウンや熱中症の応急処置(タオルの上から水を吹きかける・大きな血管を冷やす)をしても改善が見られない場合は、速やかに診察を受けましょう。
5.肥満が命取りになることも
先程から度々話題に上っている気道の狭窄。正式には「短頭種気道症候群」と呼ばれる身体特徴が及ぼす影響は更に続きます。
適正体重(あばら骨に触れることができる体型)から逸脱した肥満になると、更に呼吸困難を起こしやすく、命取りになる恐れがあるのです。
そのため、他のいかなる猫種もそうですがそれ以上に体重管理を徹底しなければなりません。おやつの与えすぎ・目安量を超えた食事量・運動不足に注意してください。
さらに、睡眠中のいびきが酷くなったり、輪をかけて「フガフガ」「ブーブー」と鳴くようになったなどの異変があったりした際には、一度診察を受けて詳しく診てもらうようにしてください。
まとめ
今回は、「鼻ペチャ猫」と暮らす時の注意点について解説しました。
最近では、ブリードを引退するという形で保護猫としてお迎えするという選択肢が増えた短頭種の猫達。より身近な存在として、注目が集まっている猫種ではないでしょうか。独特の顔立ちが愛らしく、性格的にも家庭に馴染みやすいことから気になっている方も多いでしょう。
基本的にはどんな種類の猫でも、飼育場の注意点はあるものですが、「鼻ペチャ猫」である彼らの場合は、他の猫種よりも一層の配慮が必要といっても過言ではありません。
今回解説したような特徴や病気を意識しながら毎日のケアを怠らなければ、愛らしい「鼻ペチャ猫」との幸せな日々が過ごせるのではないでしょうか。