1.肛門腺が詰まっている
猫の肛門周辺にある『肛門嚢(肛門腺)』という一対の袋は、うまく分泌できなくなると分泌液が詰まることがあります。
肛門腺が目詰まりを起こすと違和感や痛み・痒みがあるため、お尻を引きずって紛らわそうとするのです。お尻歩きだけでなく、壁にお尻をこすりつける行動が見られることもあります。
肛門腺の詰まりや細菌感染が原因で発症するのが『肛門嚢炎』という病気です。これはその名の通り肛門腺が炎症を起こすというもので、悪化すると肛門腺が破裂して周囲の皮膚に穴が開くこともあります。通常は抗生物質や抗炎症薬の投与で治療をしますが、なかなか改善せず外科手術に至るケースも。
愛猫の肛門腺が目詰まりを起こさないように、月に1回は絞ってあげましょう。老猫は分泌液が溜まりやすいため、2週間に1回のペースでも構いません。
2.便秘や下痢になっている
便秘や下痢になっているときも、お尻歩きをすることがあります。便秘の場合はうんちのキレが悪いことが原因で、排出できなかった便をズルズル床にこすりつけて取ろうとすることでお尻歩きになってしまうというわけです。また排便時間が長いために、肛門に違和感がある可能性もあります。
下痢や軟便のときも、肛門周辺に付着した便を取ろうとしてお尻歩きになります。また炎症を起こしていたり、痛み・痒みがあるため床にこすりつけているケースもあります。
排泄時に鳴く、トイレ頻度が変化するなどの行動は排便トラブルのサインなので、注意してみてあげましょう。
また、猫の排便トラブルは水分量や運動量、フードが合わないことなどが主な原因ですが、ポリープや腫瘍、骨折や神経疾患が隠れていることもあります。肛門を綺麗に保つとともに、必ず動物病院で診察をするようにしてください。
3.誤飲したものが出てきている
ひも状のおもちゃや輪ゴムなどを誤飲すると、お腹の中で詰まってしまうことがあります。その際に誤飲したものの一部だけお尻から出たりして異物感があると、お尻歩きをしてしまいます。
愛猫のお尻からなにかが出ていると取ってあげたくなりますが、場合によっては腸を傷つけてしまうこともあるので無理に引き出さないようにしましょう。
また、異物がすべて自然に排出されればいいのですが、腸内で詰まって腸閉塞になることもあります。腸が壊死したり破れたりすると命の危険があるので、猫の誤飲には注意が必要です。
ちなみに、腸閉塞になると、お尻歩きをするだけでなく頻繁に嘔吐したり食欲がなくなったりします。このような症状が愛猫に見られた場合は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
4.肛門に寄生虫卵が付着している
肛門腺が溜まっているわけでも、異物を食べたわけでもないのに、愛猫がお尻歩きをしている…。そんなときは、寄生虫が原因かもしれません。
毛づくろいや屋外の水を飲んだりすると、猫の腸内に寄生虫が寄生することがあります。寄生虫が便と一緒に排出されるときに、肛門に刺激を与えてしまいます。その違和感を緩和するために痒みからお尻歩きをしているというわけですね。
寄生虫が多数に及ぶ場合は、嘔吐や下痢などの症状があらわれることもあります。寄生虫の種類によって感染源が違いますが、駆虫薬で治療できることがほとんどなので、寄生虫が疑われる場合は動物病院へ連れていきましょう。
外に出る猫の場合は定期的に駆虫することをお勧めします。
まとめ
猫がお尻歩きをする原因は、肛門腺の詰まりや寄生虫など多岐に渡ります。
誤飲による腸閉塞や腫瘍など重い症状が隠れている場合もあるので気をつけてください。その他に症状がないか、肛門周辺に異常がないかを確認しておくのがおすすめです。