カーペットの交換を依頼した男性
英国Chandler’s Fordに住む、身体にハンデキャップのある男性(44歳)は「高齢のペットの猫を安楽死させるべきだ」と住宅協会の職員に勧められたことで、精神的に落ち込んだと訴えています。
Richard Jonesさんは車いす生活をしながら2匹の猫と暮らしています。「Cilla」(8歳)と、半分盲目で耳の聞こえない「Dusty」(20歳)です。
彼が傷ついたカーペットの交換を住宅協会に依頼したところ、「損傷は猫にも原因がある」といわれたうえ、Dustyが粗相をすることがあるため、あろうことか「安楽死処分してはどうか」とすすめられたのです。
これが住宅協会とのトラブルの始まりでした。やがて彼はクリスマスのわずか1週間前に、障がい者対応のアパートを一時的に退去せざるを得なくなりました。自費で宿泊施設に泊まりましたが、そこでは病気の管理に必要なケアが受けられない状態でした。
過大な自己負担が発生
住宅協会は、古くなったカーペットの撤去については了承しましたが、電動車いすの重さに対応できる専用のラミネート・フローリングを敷設する費用は負担してくれませんでした。
このため、Richardさんは一時住まいとカーペット交換、猫たちのホテル経費など合計で7000ポンド超(130万円以上)を捻出することになってしまいました。彼は福祉手当で暮らしているため、経済的に大変苦しい状況に陥ってしまったのです。
しかし行政区当局も住宅協会も、経費の負担を拒否。住宅協会からは補償金として600ポンド(約11万3千円)が振り込まれましたが、実際の出費に比べ、あまりにもわずかな金額です。
住宅サービス部長のCarolyn Munnsさんが次のような声明を出しています。
「当協会はお客様と緊密に連携しながら、住宅が目的に適合しているかどうかを確認しております。床の敷物の交換は、通常は借り手の責任です。場合によっては追加工事のために施設補助金申請が必要になる場合もあります。新しい床に合わせてカーペットを撤去するなど、当方はできる限りの支援を行ってきました。しかしJonesさんが、リフォーム中に自宅に滞在できないと感じていたことは知りませんでした。このため理想的な一時滞在先を見つけるお手伝いができなかったのです」
ちなみに、猫に関して住宅協会からのコメントはありませんでした。
猫は大事な家族なのに
Eastleigh行政区当局は「今回のことはたいへん遺憾ですが、当区の障がい者支援予算には限りがあるため、Jonesさんへこれ以上の支払いを行うことはできません」とコメントしています。
がっかりしたJonesさんは今回のトラブルについて「住宅オンブズマン」へ告発しました。
「今回のことで、経済的にも精神的にも打ちのめされました」という彼。
「わたしは室内を移動するのに電動車いすを使わなければならないため、カーペットは磨耗が激しいのです。猫に責任がある、殺処分すべきだなどと示唆するのは、あまりにも無情です。猫たちは家族です。年老いたからといって、捨てたりできません」
出典:Disabled man battles housing association to keep elderly cat alive