猫の『間違ったダイエット』で起こりうるトラブル3選 健康的に減量するためのポイントも

猫の『間違ったダイエット』で起こりうるトラブル3選 健康的に減量するためのポイントも

猫のダイエットは一大イベントです。しかし、あまりにもストイックになりすぎると、かえって猫が不健康になってしまう恐れも。そこで今回は、猫の「間違ったダイエット」で起こりうるトラブルについて、健康的に減量するためのポイントと合わせて解説いたします。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の「間違ったダイエット」で起こりうるトラブルとは

メジャーを巻く猫

猫のダイエットは、『非常に難しい』といわれています。その方法を誤ると、体重がリバウンドするだけではなく、猫の心身共に不健康な状態になってしまうことがあるのです。

人間のダイエットと同じように考えて安易に間違ったダイエットを実行してしまうと、非常に危険な状態になる可能性もあるため、特に注意が必要です。

そこで今回は、猫の「間違ったダイエット」で起こりうるトラブルについて解説いたします。愛猫のダイエットをいきなり始める前に、まずは間違ったダイエットの危険性を理解しておきましょう。

1.ストレスになる

不機嫌な猫

猫は環境の変化に敏感な動物です。食事ひとつにしても、急激に変えてしまうのは好ましくありません。急な環境の変化によって生じるストレスから体調を崩したり、食事に手をつけてくれなくなる恐れがあります。

なお、獣医さんから具体的な指示があり、ダイエットフードに変更する場合でも、少しずつ切り替えることが大切です。

最初は元のご飯の一部をダイエットに置き換え、そして徐々に新しいご飯の割合を増やしていく、というイメージで少しずつ置き換えていくようにしましょう。早くダイエットさせたいからといっていきなり全部換えても愛猫にストレスを与えてしまうだけです。

2.食事制限が栄養不足を招く

食事制限をされて不満そうに見上げる猫

実は、『キャットフードを変更しない方向でダイエットを試みる方法』も一般的です。ただしその場合、極端に摂取量を減らすことだけはやめてください。

そもそもキャットフードは、その食事と水があれば必要な栄養素を網羅できるように緻密な計算が行われています。そのため、パッケージに表記されている量を摂取することが好ましいのです。

つまり、急激に摂取量を減らしてしまった場合、猫にとって重要な動物性タンパク質やタウリンなどの栄養素が慢性的に不足する恐れがあります。そのやり方では、体重だけ落ちた不健康な身体になってしまうので、注意が必要です。

フードをそのままにするのであれば、次のような工夫をしてみてください。

  • 食事量は変えずに運動させる
  • 摂取量は変更せず食事の回数を増やす

『食事の回数を増やして少量のご飯を細かく食べる』という方法は、猫本来の食生活に近いものになります。空腹を感じる時間が短くなるので、胃腸にも優しくストレスフリーな状態でいられるでしょう。

3.「肝リビドーシス」になる恐れがある

診察を受ける猫

極端な食事制限によるストイックなダイエットが招くトラブルの中で、最も恐ろしいのは「肝リビドーシス」という疾患を引き起こすことです。

この疾患は、猫に特徴的な肝疾患です。猫の体は3日間絶食に近い状態になると、エネルギーを脂肪から作り出し、徐々に肝不全へと移行してしまいます。

先程の栄養不足もさることながら、食事量を減らす行為は、猫にとって非常に危険なのだということを覚えておきましょう。

猫が健康的に減量するためのポイント

遊ぶ猫

猫の「間違ったダイエット」でトラブルが起きると、大事な猫の命に関わる危険がある、ということがわかりました。

とはいえ、健康のためにダイエットをしなくてはいけない場合ももちろんありますよね。

では、どのように減量するのが良いのでしょうか?

健康的に減量するためのポイントをいくつか挙げてみます。

  • 半年で1kg(1か月で約200g)程度を目標とする
  • おやつ(間食)をやめる
  • 転がすとご飯が出てくる知育玩具を活用する
  • キャットタワーで上下運動をさせる
  • マタタビ入りのおもちゃでストレス解消

猫のダイエットは、長期戦で行うと安全です。愛猫が興味を持ってくれそうなおもちゃがあれば、飼い主さん主導で積極的に運動させましょう。

困難な場合は、おやつをやめるところからスタートすると良いでしょう。必要な食事はしっかり摂りつつ、余分な摂取カロリーを効率よく減らすことができます。

まとめ

体重測定する猫

肥満やダイエットというワードを耳にすると、「頑張って減量させなければ!」という使命感に駆られてしまうかもしれません。

しかし、猫の場合はストイックになればなるほど危険な道を歩むことになってしまうでしょう。

まだまだ遊びに興味を持ってくれそうであれば、運動療法が最も安全な減量法になります。病院で具体的にダイエットの提案が出てきた場合は、まずアクティブになるように仕向けてみてください。

全く遊んでくれないという場合はおやつをやめることからスタートし、やむを得ず食事量を減らす場合は猫自身が気づかない程度の量で調節していきましょう。

ダイエットフードを活用する際は、必ず動物性タンパク質が補えて尚且つ食物繊維が豊富なものを選ぶと良いでしょう。

これから減量を試みる飼い主さんは、長いスパンで痩せられるように緩いダイエットサポートをお願いします。

スポンサーリンク