猫が暮らす環境の災害対策
『災害は忘れた頃にやって来る』などという恐ろしいことばがありますが、実際日本では、災害は常に他人事ではありません。災害のニュースを目にする度に、改めて気を引き締めようと思った方も多いのではないでしょうか。
中でも猫と暮らす飼い主さんは、不安や心配事が尽きないですよね。とはいえ、何から始めたら良いのか、今ひとつピンと来ない方もおられるかもしれません。
そこで今回は、猫が暮らす環境の災害対策について解説いたします。今のうちに、できることからひとつずつでも備えていきましょう。
1.キャットタワーの固定
ある程度安定感のあるキャットタワーでも、大きな地震の揺れに見舞われてしまえば、あっという間に倒れてしまいます。
もしも愛猫がその上で寛いでいる最中に地震が起きてしまった場合、転落によって骨折する恐れがあります。
そのため、高さのあるものはしっかりと固定し、低いものは滑り止めなどを敷いておきましょう。
ちなみに、キャットタワーのみならず、家具全般に対して安全対策は必須です。万が一の際に、家具の下敷きになってしまう恐れがあります。
2.ケージの用意及び周辺の安全性確保
日頃からケージを置いているご家庭では、災害時にも安全な避難場所として活用できます。
「我が家にはまだケージはない」というご家庭は、いざという時に役立つものですので、導入を検討されることをおすすめします。
ただし、『ケージの周辺には、落下物や倒壊しそうな家具がない』という環境が必須条件になります。とにかくケージの周りには常に物がないように、地震が起きても物が落ちてこないようにすべきなのです。
もちろんケージ脇にキャリーケースや避難袋を置いておくのはOKです。
3.キャリーケースやハーネスの着用に慣れさせておく
災害時は、猫にハーネスを着用させたうえで、キャリーケースに入れることが理想です。ご自宅の愛猫は、どんな状況でもスムーズにキャリーケースに入ることができるでしょうか。
キャリーケース(以下キャリー)は通院時にしか登場しない、というような扱いになっていると、猫はマイナスイメージしか抱けなくなってしまいます。
キャリーは日頃から生活拠点に置いておき、トンネルとして遊ばせたり、隠れ家として活用させておくと良いでしょう。
さらに、ハーネスも同様です。普段から着用し、室内をお散歩するなどの方法で猫も飼い主も扱いに慣れておくと良いでしょう。猫側も特別感がなければ、違和感を覚えずに着させてくれるようになります。
4.避難時の動線の確保
災害時に避難する際に、各ご家庭で決まった避難経路があるはずです。その経路となる動線上に、行く手を阻むものは置かれていないでしょうか。
障害物があるような状態では、猫も人もスムーズに逃げられません。
避難経路の動線上には、避難の際に邪魔になるようなものを置かないようにしてください。また、避難する際は猫をキャリーに入れた状態だとしたら、キャリーを持っていてもスムーズに避難できる余裕があるように、普段から避難経路について見直しておきましょう。
5.猫の「脱走」対策
災害時に最も多い猫のトラブルは「脱走」です。猫自身、状況把握ができずにパニックになった結果、家から飛び出してしまう恐れがあります。
網戸に穴はないでしょうか。窓の鍵は正常に閉まりますか。玄関のドアに破損はないですか。今一度チェックしてみてください。
まとめ
猫が暮らす環境の災害対策は、必ず人間側にも役立ちます。日頃から安全な環境を整備しておくことは、自然と私達の身の安全を守ることにも繋がるのです。
家具やキャットタワーの固定、ケージや避難通路の安全性の確保、キャリーやハーネスの準備など、今だからこそ見直すチャンスです。
ちなみに、最悪のケース(脱走)に備えるという点では、迷子札(住所・氏名・愛猫の名前の記載がある首輪)やマイクロチップも役立ちます。もちろん、万が一逃げ出してしまった場合も想定したうえでの対策も必要です。
今回の情報が、多くの飼い主さんのお役に立てれば嬉しいです。