猫依存が引き起こす3つのトラブル
依存は、何かを頼りにすることで、日常生活には当然起こる心理です。しかし、依存症になると、その対象に対する強い欲求が自分の理性で抑えられなくなります。
ここでは、愛猫に対する猫依存について、起こりやすいトラブルを解説します。
1.猫の問題行動
猫は基本的に独立心の強い動物なので、自分の生活ペースを守りたがる傾向にあります。
しかし、飼い主が猫に過剰に干渉してしまうと、猫がストレスを感じて問題行動を起こす原因となることが考えられます。
具体的な行動には次のようなものがあります。
- トイレ以外での粗相
- 不適切な場所での爪とぎ
- 突然威嚇する
- 同居のペットへの八つ当たり
- 鳴きわめく
いずれの行動も猫が自己主張をするときの行動で、自分の領域が侵されている警告でもあります。
ただし、これらは過干渉によるストレスだけでする行動ではないということに注意しましょう。特にトイレ以外の粗相では、泌尿器系の病気が隠れていることも考えられます。
2.猫の異変を見逃す
飼い主の行動は、猫の健康にも悪影響があります。
それは、疾患の見落としです。
飼い主が猫に対して過剰な依存状態にあると、適切な観察がむずかしくなり、猫の異常行動や症状を正常だと見なす傾向があります。
たとえば、異常があり鳴いている猫を甘えん坊と認識してしまったり、舌が出っぱなしになったりしていても、口腔疾患を疑うことなく「かわいい」と写真に収めてしまう場合などです。
また、高品質なフードやサプリメントを与えていることによる自己満足や、猫のストレスを過剰なまでに考慮して、獣医師による診察を受けさせないことなども猫の健康に影響します。
3.飼い主の社会的孤立
愛猫への過剰な依存は、他の人間関係や社会的活動をめんどうに感じさせ、外とのつながりを遮断してしまうこともあります。
自分や猫が健康なときは、問題なく過ごすこともできますが、社会的な孤立は、愛猫の体調不良や亡くなったあとなどに大きく影響します。
たとえば、猫の治療をしてくれる獣医師や治療法が信用できず、何軒も動物病院をはしごしたり、重度のペットロスに陥ったりする要因となってしまうのです。
セカンドオピニオンを仰ぐことは問題ありませんが、継続治療をはじめられないほど不安感がぬぐえないのは大きな問題となります。
猫への依存度チェック
猫への依存は、自分やほかのものを犠牲にしてしまうことに問題があります。
以下は、猫への依存の可能性をチェックするためのリストです。いくつ当てはまるかチェックしてみてください。
- 常に愛猫には触れていないと不安を感じる
- 猫を優先して、自分の生活を犠牲にすることがほとんど
- ケガなどが心配で、問題がない猫の自由な行動まで制限する
- 猫と離れている時間は不安を感じる
- 猫との関係が他の人間関係の代わりをしている
- 猫のおもちゃなどを過剰に買ってしまう
- 猫の異変に気付くと不安で眠れなくなる
- いくらであっても、猫の健康に良いといわれるものは購入する
- 猫が健康にもかかわらず、死んだときのことを考えてしまう
- 猫がいつも通りの行動をしていないと不安になる
該当する回答が多いほど猫依存の危険度が高いと考えられます。
なお、このチェックリストはあくまでも参考です。不安があるときには、専門家へ相談しましょう。
愛猫に依存しすぎないために
愛猫と適度な距離を保つには、以下のアドバイスが役立ちます。
- 猫の自立性を信じる
- 猫の行動や気持ちを理解する
- 猫に合わせたふれあいを楽しむ
- 他の活動や人間関係にもバランスよく時間を割く
猫は小さくてかわいくて、いつでも守ってあげたくなる存在ですが、よほどの子猫でない限り、自分の生活は自分でこなせる自立性の高い動物です。
精神的には単独で生活できる存在であることを前提に、猫が求めていないときにはそっとしておくようにしましょう。
また、猫と適度な距離を保った、バランスの取れた生活を送るためには、猫との関係を大切にしつつも、他の人間関係や社会的な活動にも時間を割くことが重要です。
まとめ
愛猫への依存は、猫好きな飼い主にとっては誰でも陥る可能性のある心理状態です。
しかし、過剰なまでの依存は、自分だけでなく猫の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
猫がいる暮らしは何物にも代えがたいほど幸せですが、トラブルになるような困ったことになれば元も子もありません。
問題行動や健康問題といったトラブルを回避するためには、愛猫とのバランスの取れた関係を築くことがなによりも重要です。
自分自身の社会的な孤立を防ぐためにも、多角的な視点を持つことを忘れないようにしましょう。