猫の『平熱』は何度?正しい測り方や知っておくことのメリットなどを解説

猫の『平熱』は何度?正しい測り方や知っておくことのメリットなどを解説

猫の健康管理において、体温は大切な指標になります。自宅で頻繁に計測することは少ないかもしれませんが、病気を疑うときやなにかあったときに平熱を知っておくと安心です。しかし猫の平熱や正確な体温の測定方法については、飼い主のなかでも広く知られていないのが実情…。そこで今回は猫の平熱温度と正しい測り方、平熱をしっておくメリットを解説します。猫の飼い主さん必見の内容です。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の平熱は何度?

体温計と猫

猫の平熱は人間と比べて少し高く、38.0~39.0度程度です。 体温がこれより1度以上低い、もしくは高い場合は、低体温または発熱と見なされます。

猫の体温は場所によっても多少違いがあり、耳や足の体温は少し低めで腹部は高めです。 また生まれたての子猫は、成猫より体温が低い傾向にあります。

猫の体温の正しい測り方は?

体温測定される猫

猫の体温を測るときは、人とは異なり「肛門」から測ります。具体的には、次の手順のように行いましょう。

準備

1.猫を落ち着かせる
2.デジタル体温計を用意する

※極寒や極暖の部屋のなかでは行わない
※人用でも測れなくはないですが、ペット用の先端が柔軟性のある体温計だと猫を傷つけるリスクが低いです。

計測

1.猫の体温は「肛門」で計測。しっぽを優しく持ち上げ、体温計を2~3センチ肛門に入れる
2.計測音が鳴ったらそっと抜き出す

※体温計に便が付着することがあるので、専用の体温計カバーやラップを付けるのをおすすめします!
※ワセリンやオリーブオイルを塗って、先端がスムーズに入るように工夫してもOK!

計測後

猫をほめてあげる。エラーや明らかにおかしい体温になったときは1~2回測り直す。

平熱を知っておくことのメリットは?

メリットと書かれた積み木

平熱を知っておくことで猫と飼い主にもたらすメリットには、次のようなものがあります。

  • 病気の早期発見に役立つ
  • 発熱の兆候をつかめる
  • 環境変化による猫の体温分析ができる(寒がってはいないかor暑がってはいないか)
  • 日常の健康チェックの指標になる
  • 動物病院受診時の参考データになる

※動物病院でも体温を計測しますが、病院では猫も緊張して体温が上がり傾向になり、正しい体温が測れないことがあります。そのため自宅で安静時に測った体温が、参考データとしてとても役に立つのです!

このように愛猫の平熱を知ることで、異変に素早く対応できます。定期的な体温測定と記録が猫の健康維持には非常に重要で、猫を飼育する上で平熱を知る意義は大きいと言えるでしょう。

猫の体温が上がる原因は?

ビックリマークと男性のイラスト

感染症

猫で最も多い発熱の原因が、ウイルスや細菌による感染症です。

代表的なウイルス性疾患としては、猫伝染性腹膜炎(FIP)・猫汎白血球減少症(FPLV)・猫カリシウイルス感染症(FCV)などがあります。

これらの病原体は空気感染や接触感染により猫の体内に侵入し、発熱や炎症反応を引き起こし、最終的に命を奪う病気も多いです。

また細菌性の疾患では、細菌性腸炎や細菌性膀胱炎などがあります。

いずれにせよ、ウイルスや細菌による発熱は39~40度と高くなることもあって、重症化すると生命に関わることも。感染症を疑った場合は速やかに獣医師の診療を受けることが大切です。

外傷

たとえば交通事故や猫同士の喧嘩などで負った外傷が原因で、熱が出ることがあります。

外傷により組織が損傷するとその部位で炎症反応が起こり、これが全身的な発熱につながるのです。また傷口から細菌が侵入すると、その影響で発熱が生じることも。

がんといった腫瘍性疾患

猫にも、人間と同様にがんによる発熱(腫瘍熱)がみられます。猫にも猫白血病・肉腫・皮膚腫瘍といったさまざまながんのリスクがあります。

メカニズムは、ガン細胞が増殖すると免疫細胞が働きそのときに発熱が生じるというものです。がんの進行に伴い、発熱だけでなく全身的な症状があらわれます。

とくに7歳をすぎた老齢猫ほど発生リスクが高いため、注意が必要です。

ストレス

猫はストレスを受けると交感神経系が刺激され、ストレスホルモンの分泌が増えます。その結果、微熱から高熱に至る発熱反応が起こりえるのです。

ストレス性の発熱は、主に飼い主の転居や留守がちな生活・新しい人や動物との同居・虐待などの出来事が引き金となるケースがあります。

中毒

猫に興奮状態や痙攣といった症状をもたらすような中毒を起こす食材を食べるのも、発熱の原因になります。

発熱以外にも嘔吐や下痢といった症状もあらわれることが多いので、もし誤食による中毒を疑った場合はすぐに動物病院にいきましょう。

熱中症

猫の体温が上がる原因の一つに、熱中症があります。

猫は、人間のように汗をかいて体温調節をすることができません。そのため気温や湿度が高い環境では、体の熱を放出することができず体温が上昇します。

体温が上昇すると、さまざまな臓器にダメージを与え発熱が起こるのです。

環境の変化

猫が過ごす部屋の気温が高いと、それに伴い体温も上昇します。たとえば人が心地よいと思う「暖房の効いた部屋」も、猫にとっては暑いケースがあります。

お部屋に水を設置し猫が元気であればとくに問題はありませんが、猫の様子に異変があらわれたら要注意です。とくに老猫や子猫、持病のある猫は体温調節がうまくできないケースがあります。

まとめ

体温計を抱えて横になる猫

猫の平熱を知っておくことは、愛猫の健康状態をサポートするための重要な要素です。日ごろから適切な測定方法で体温を計測し、必要に応じて動物病院での相談を行うことで、猫の健康を保つのに役立つでしょう。

今回紹介したことを覚えていれば猫の異変にも早く気づきやすくなり、愛猫との楽しい時間をより長く共有することが可能になるはずです。

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