ヤマネコとは
現在、世界中で親しまれている「猫」は、もとは野生のヤマネコだったのが家畜化されたものです。
そしてこの「ヤマネコ」とは、野生のネコ科動物のうち、小型のものをまとめた総称です。種類としては、アフリカのリビアヤマネコ、ヨーロッパのヨーロッパヤマネコ、アメリカのオオヤマネコ、アジアのステップヤマネコやベンガルヤマネコ、日本にもイリオモテヤマネコとツシマヤマネコなどがいます。
なお、イエネコの直近の祖先はリビアヤマネコです。そのことからも、現代のイエネコにはヤマネコの遺伝子が受け継がれているのがわかりますね。
そこで今回は、現代のイエネコの中でもとくにワイルドな魅力のある「ヤマネコっぽい猫種」について解説します。どんな猫種がヤマネコに似ているのか、ぜひ確認してみてくださいね。
ヤマネコの遺伝子を直にうけついだ猫種
「ヤマネコっぽい」ワイルドな猫をピックアップするにあたり、まずは「交配にヤマネコが起用された猫種」を紹介します。
ヤマネコの血が直接混ざっているだけあり、よりワイルドな雰囲気が期待できますよ。
1.サバンナキャット
「サバンナキャット」は、アフリカに生息する「サーバルキャット」というヤマネコと、イエネコの交配により誕生した猫種です。
- 公認団体:TICA
- ルーツ:サーバルキャット✕複数種のイエネコ
細身のボディにすらりと長い足が特徴の、キリッとした表情がりりしい猫です。
先祖にあたる「サーバルキャット」は獰猛な性格ですが、「サバンナキャット」は人なつこくて甘えん坊。知能も高く、人と上手に遊ぶことができます。
ちなみに、日本では「サーバルキャット」は飼育が禁止されていますが、「サバンナキャット」は許可がなくても飼育可能です。名前が似ているので、くれぐれもお間違えのないように。
2.ベンガルキャット
「ベンガルキャット」は、ベンガルヤマネコとイエネコのかけ合わせで誕生した猫種です。
- 公認団体:TICA/FIFe/GCCF
- ルーツ:ベンガルヤマネコ✕イエネコ
この猫種が誕生したきっかけは、ヤマネコの保護と白血病の研究のために交配させたこと。「ミニ豹」のような美しいレオパード模様が特徴的で、筋肉質でガッチリしています。かっこよくて野性味のあふれるイエネコですね。
容姿こそワイルドですが、性格は温和で社交的です。人なつっこいので、同居猫としても選びやすい猫種でしょう。
3.チャウシー
「チャウシー」は、1995年にTICAに登録された猫種です。
- 公認団体:TICA
- ルーツ:ジャングルキャット✕イエネコ
猫種としてはまだ新しく、小型ヤマネコのジャングルキャットとイエネコ(アビシニアンやオリエンタルショートヘアー)の交配により誕生しました。
もともとはジャングルキャットをペットにしたくて作られた猫種です。そのため、見た目はジャングルキャットのようなワイルドさを備えています。
好奇心旺盛で活発である反面、さみしがり屋な一面も。性格はとても良いと言われるのは、アビシニアン譲りなのかもしれませんね。
日本でもブリーダーはいるようですが、世界的にも稀少な猫種です。ペットショップでは販売されることはありません。
さらなるフェーズで生まれた猫種
先述したサバンナキャットやベンガルキャット、チャウシーは、交配にヤマネコが直接関わった猫種です。
次に紹介するのは、さらにそのベンガルから生まれた猫種です。交配に直接ヤマネコが関わっているわけではありませんが、ヤマネコっぽさにあふれた魅力的な猫種なのではないでしょうか。
4.トイガー
トイガーとは、小さいトラのような見た目の猫です。
- 公認団体:TICA
- ルーツ:トイガー
「トイガー」というその名前は、「Toy(おもちゃ)」「Tiger(トラ)」という2つの単語に由来した造語で、「ベンガルキャット」がルーツです。
この猫種の誕生のきっかけは、米国カリフォルニア州のベンガル猫のブリーダーが、ベンガル猫の子猫の中に「サーキュラマーキング」という野生のトラの縞模様を見つけたことです。
「リビングで飼えるトラ」と呼ばれるほどトラに似ているトイガーの、ゆったりと歩く姿は堂々たるものです。しかし性格はとても愛情深く、有効的でのんびり屋。家族として一緒に生活できる猫種ですが、自立もしているので、甘えるシーンは少なめです。
5.セレンゲティ
「セレンゲティ」もチャウシー同様、まだ歴史の浅い猫種です。
- 公認団体:TICA
- ルーツ:ベンガル✕オリエンタルショートヘア
1994年に誕生した背景には、「サーバルキャットに似た猫を、ヤマネコや野生の血統を交配せず作りたい」との考えがありました。
セレンゲティに似ている「サバンナキャット」が野生のサーバルキャットの血を直接受けていることに対し、セレンゲティに用いられたのはイエネコの血統のみです。
性格は社交的で自信家である反面、人見知りで甘えん坊。多頭飼いにも向きますが、遊ぶことが好きで声量も大きめなとても元気な猫です。
まとめ
今回解説した5つの猫種以外にも、ワイルドな雰囲気をもつ猫はいます。
たとえば、黒豹のようにつややかな黒色の被毛と金銅色の目をもつ「ボンベイ」は、イエネコであるバーミーズとアメリカンショートヘアとの交配により誕生しました。
また、ヒョウ柄のスポット模様がある「オシキャット」や、古代エジプトの壁画に描かれていた猫に似ている「エジプシャン・マウ」も、野生名残が見た目ににじみでている猫種です。
今回は、見た目がワイルドな魅力いっぱいの「ヤマネコっぽい猫種」について解説しましたが、どの猫種も家族になれるイエネコです。
なかには稀少で簡単には出会えない猫種もいますし、性格にも個体差はありますが、気になった猫はチェックしてみてくださいね。