猫が「飼い主を襲う」ときに考えられる原因
愛猫と楽しく平和に暮らしていたはずなのに、最近襲われることが増えた…と、愛猫の攻撃性に頭を抱える飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、猫が飼い主を襲うときに考えられる原因と、それぞれの危険度を紹介いたします。合わせて対処法も解説するので参考にしてみてください。
1.狩猟本能によるもの:危険度★
猫は元々狩りをして食料を得ていた動物です。家猫にもその名残りがあり、獲物を連想しては飛びかかってしまうことがあります。
特に攻撃対象になりやすいのは、飼い主さんの手足、パーカーの紐、カサカサと音を立てるジャージなどです。
この行動自体は単にじゃれているだけなので、危険度は軽度です。ただし、されるがままの状態を続けてしまうと、次第にエスカレートする恐れがあります。
まだまだ遊び盛りの子猫や若い猫と暮らす飼い主さんは、攻撃されたら「痛い!」と注意する癖をつけましょう。
なお、手足をおもちゃ代わりにするのもNGです。日頃から、猫用のおもちゃを使って遊ばせる習慣を身につけさせてください。
2.八つ当たり:危険度★★
猫は不測の事態に陥った際に、そばにいる相手を攻撃してしまうことがあります。いわゆる「八つ当たり」です。
猫自身に悪意はありません。ただ、攻撃の意思や威力に関しては、家猫が持つ狩猟本能より高くなります。そのため、危険度は中等度です。
何かに驚いて威嚇してきた場合や、猫パンチが飛んできた時はその場を離れるようにしてください。興奮状態が落ち着くまでは声かけも控えましょう。
3.PTSDによるもの:危険度★★★
先ほどの八つ当たりが一時的なものであれば、それほど問題はありません。しかし、その恐怖体験がPTSDに発展してしまうと話が変わります。
例えば過去に、粘着テープが張り付いてしまったとします。猫は粘着テープが何者か理解できないので、パニックになるでしょう。さらにその後、その日の出来事を思い出すような場面に出くわすとフラッシュバックが起こり、再びパニックになります。これが猫に多いPTSDです。
PTSDが背景にある猫も、それなりの攻撃を仕掛けてきます。よって、危険度は高度になります。
きっかけとなった要因を排除することが困難な場合は、治療が必要です。その場合は、まずはかかりつけの獣医さんに相談し、必要に応じて猫の行動学に詳しい獣医さんを紹介してもらうと良いでしょう。
主な治療法は、薬の服用と行動修正です。行動修正では、猫が安心して生活できる環境を整え、リラックスできるように導きます。
4.病気によるもの:危険度★★★★
PTSDは精神分野のお話でしたが、猫の攻撃性を高めてしまう病気はまだまだあります。
例えば、甲状腺機能亢進症・脳の疾患(てんかんや脳梗塞、脳腫瘍など)・神経の病気・疼痛などの身体の病気です。
これらの疾患を抱えた猫は興奮状態になったり、感情や行動の制御が困難になります。疼痛に関しては激しい痛みからパニックを起こし、攻撃に至ります。
いずれも本気で暴れたり攻撃してくるため、危険度は非常に高いものになります。愛猫とできるだけ距離を置き、落ち着く時を待ちましょう。
攻撃性がなくなったら動物病院を受診してください。的確な診断がくだり、治療が可能なものは病状が落ち着き次第、行動が穏やかになります。
まとめ
今回は、猫が「飼い主を襲う」ときに考えられる原因について解説いたしました。
単に遊び心から襲うケースから病気によるものまで、幅広い理由がありました。中でもとりわけ危険度が高いものは、身体の病が潜んでいるものでした。
特にきっかけがあるわけでもなく突然攻撃的になり、何度も襲撃してくるようであれば、迷わず動物病院を受診してください。適切な治療が優しい愛猫を取り戻してくれるでしょう。