消毒液が猫にとって危険な理由3つ
細菌やウイルスからの感染を防ぐために消毒液は不可欠な存在ですが、猫にとっては危険な要因もあります。ここでは、猫にとって消毒液が危険な理由を3つ紹介します。
1.消毒液には毒性成分が含まれる
多くの消毒液には毒性のある成分が含まれており、アルコールや塩素が該当します。これらはウイルスや細菌に触れるとその働きを止め、増殖を防いでくれるため、消毒効果が発揮されるのです。
しかし、使い方によってはこれらの成分が猫にとって健康面での悪影響を及ぼす可能性があります。特にアルコールのひとつ、エタノールは揮発性が高く、空気中の揮発成分を吸引することで健康障害を起こす可能性があります。
最近では、猫用のトイレの消臭剤でも同様の成分が使用されているものがあります。
猫を飼育している室内で消毒液を使用する際には、十分に注意するとともに、安全な使用方法についても理解しておくことが大切です。
2. 薬剤の接触で皮膚炎を起こす
消毒液が猫に直接接触してしまうと、皮膚に刺激を与えてしまうことがあります。
特に塩素系の消毒剤は強アルカリ性で、皮膚の表面を溶かす危険があるため、人も含めて生体には使用できません。もし皮膚に付いた場合は、赤み、かゆみ、腫れ、痛みが発生します。
一方、アルコールは医療行為の際には皮膚表面の消毒に使用されていますが、顔周りや傷のある部分には刺激が強いため使用できません。同じ消毒液でも用途を守る必要があります。
猫はとても敏感な子が多いことも特徴的であるため、アルコールの刺激を好まない個体もいます。
3. 誤摂取してしまうリスク
市販の消毒液は、液体やトロトロのジェル状になっているものがあり、容器からこぼれたり漏れたりする可能性があります。また、使用方法としてスプレーで噴霧することもあります。
猫の体についたものを誤って舐めてしまうと、深刻な健康被害を及ぼすことがあります。
消毒液がアルコール系でも塩素系でも、猫が誤摂取してしまうと、激しい嘔吐や下痢、呼吸異常、虚脱などの症状が見られ、場合によっては致命的な結果につながる危険があります。
また、猫はアルコールを肝臓で分解できないため、いつまでも体内に成分が残留したり、負担を大きくかける場合があります。
消毒液を使ったあとの注意点
猫がいる環境で消毒液を使うときには、以下の注意点を守りましょう。
- 消毒液は猫が触れない場所に保管する
- アルコール消毒した周囲は揮発成分が残るため、よく換気する
- 猫が触れる場所は消毒液を十分に乾燥させる
- 手指消毒した場合は、完全に乾燥してから猫に触れる
- 猫の過剰反応や誤摂取があった場合は、すぐに動物病院に連絡して指示に従う
消毒液にはいくつかの危険性があるものの、効率よく除菌・殺菌するには有効な手段です。同成分はペット用衛生用品にも含まれていますので、猫の安全に注意しながら使用しましょう。
よくある消毒用液の種類
消毒剤の成分を知っておくと猫にも安全な使用方法がわかります。一般に市販されている消毒液の成分には、次のようなものがあります。
アルコール
アルコール使用の商品には「エタノール」「イソプロパノール」と記載されていることがあります。人間用の手指消毒用に使われます。猫には触れさせないように注意し、揮発分にも注意してください。ゴムや樹脂製品に長時間付着すると溶けることがあります。
次亜塩素酸
次亜塩素酸には、アルカリ性の「次亜塩素酸ナトリウム」と弱酸性の「次亜塩素酸水」があり、それぞれ用途が異なります。ペット用グッズのための衛生用品には、次亜塩素水が多く使われています。ただし、安全面と効果の観点から、どちらも生体への直接の使用は推奨されていません。
第四級アンモニウム塩系
第四級アンモニウム塩系と呼ばれるものには「ベンザルコニウム塩化物」「ベンゼトニウム塩化物」という名前で表記されています。手指消毒やキズ薬などの消毒液として使用されます。生体には比較的安全ですが、猫に危険なエタノールなどが添加されているものがあります。猫がいるときには舐めたりしないよう注意が必要です。
消毒液の中には「天然成分」と表記がされているものがありますが、消毒液に使用されるアルコールの中には、サトウキビやトウモロコシから作られているものもあります。アルコールが危険な猫にとっては、天然成分であれば、すべて安全というわけではありません。注意しましょう。
まとめ
今回は消毒液が猫にとって危険な理由と使用したあとの注意点を紹介しました。
消毒液に含まれる成分は、効率よく病原菌などの有害物質を除去してくれる一方で、誤って触れたり摂取したりしてしまうと、猫の健康に悪影響を及ぼす危険もあります。消毒液を使用した場所や手指は、猫を触る前に完全に乾かすようにしましょう。
場合によっては、すべてのものに消毒液を使うのではなく、洗えるものは流水で洗うことも、猫の安全を考える上ではよい選択となります。ただし細菌繁殖の危険のあるものには、流水での洗浄だけでなく充分な消毒も必要な場合があります。どんな方法での洗浄や消毒が必要か、ケースに応じて判断することが大切です。愛猫に配慮しつつ清潔な毎日を送りましょう。