1.食べカスや歯垢などの汚れ
ウェットフードやペースト状のおやつなどをよく食べる猫は、どうしても食べカスや汚れが歯に付着してしまうもの。それらが歯垢(プラーク)となり、やがて口臭の原因になります。
プラークを放置すると歯周病につながってしまうので、早めのケアが大切です。柔らかい食事を好むのであれば、最低でも1日おきに歯磨きをしてあげましょう。
猫用の歯ブラシもしくは乳幼児用の歯ブラシを用いて優しく磨いてあげてください。指サック型のものもあるので、飼い主さんが使いやすいものを選んでください。
2.歯肉炎・歯周病
蓄積したプラークによる細菌が歯周ポケットで繁殖すると、歯肉に炎症を起こし「歯肉炎」になります。それが更に進み、歯の周辺にある靭帯や骨にまで炎症が及んだ状態を「歯周病」といいます。
いずれも口臭を放つばかりか、痛みや違和感によって食事が取りにくくなってしまいます。明らかに歯茎が腫れている、出血があるなどの症状が見られたら動物病院を受診してください。
発見が早ければ抗生物質や痛み止めの内服、定期的な歯磨きで治療することが可能です。進行してしまった場合は、全身麻酔をかけた歯石除去や抜歯処置が必要になることもあります。
3.口内炎
痛くて辛い口内炎は、猫のお口の中にもできることがあります。
主な原因は口腔内のケア不足、歯周病、内科的な病気(猫風邪・腎臓病・糖尿病・猫エイズなど)で、時に誤飲が原因となる場合もあります。
口内炎ができると、「口臭が気になる」「食べる時に口の中を気にする」「ドライフードが食べにくくなり柔らかいものを好むようになる」「食欲が落ちる」「痛みから奇声をあげる」などの症状が出現します。
何となく臭いが気になったり、ヨダレが増えたなどの様子が見られたら、すみやかに動物病院で診察を受けてください。猫の口内炎は根治がむずかしいため、早期発見し進行を抑えることが重要になります。
お口の中の炎症だけであれば炎症止めの薬の服用を、他に病気があればそちらの治療も合わせて行うことになります。
4.重度の便秘
頑固な便秘が原因でも口臭が発生します。猫の場合は、3日間便が出ないと「便秘」と呼ばれる状態になります。
最近愛猫の便の出が悪く、何となくお口も臭いという症状が見られたら、獣医さんに相談してみてください。便秘が原因の場合は、便秘状態が改善すれば口臭も落ち着きます。
また、日頃から水分補給をすることも大切なので、いつでも新鮮な水が飲めるような環境を整えてあげましょう。
まとめ
通常の猫の呼気はキャットフードのにおいがメインで、臭いと感じながらも嗅ぎなれてしまいます。つまり、いつもとは違う不快感を覚えるにおいがする時は、口臭があると思ってください。
口臭の原因を作る要素は主に、口腔内の汚れ・歯肉炎や歯周病・口内炎・便秘の4つでした。気になる症状が見られたら、早めに診察を受けるようにしてください。
もちろん、日頃からのケアも重要です。これから猫を迎える方は、子猫時代から歯磨き習慣を取り入れて慣れさせるようにすると良いでしょう。
既に成猫の場合でも、まだ間に合います。スキンシップの過程で唇に触れるところからスタートし、最終的には歯磨きができるようにトレーニングしてみてください。
口臭は不快なだけではなく、健康状態をも脅かすもの。適切な予防・早期発見・早期治療ができるように気にかけてあげてください。
とはいえ、押さえつけないと歯磨きをさせてくれないくらいに嫌がる場合は、過度なストレスを与え、飼い主さんとの関係性を崩すことになるので、無理は禁物です。性格に合わせ、焦らず少しずつ歯磨き練習を始めてください。