人にうつることもある猫の皮膚病「疥癬」とは
「疥癬(かいせん)」とは、肉眼で見えないほどの小さなダニが皮膚に寄生しておこる皮膚の病気です。このダニは「ヒゼンダニ」とよばれ、皮膚にダニの住みかとなるトンネルを作り、そこに卵を産み付けて皮膚に寄生します。
また、猫などの動物同士だけでなく、人にも感染する「人獣共通感染症」であることに注意が必要です。一時的な感染ではありますが、人も感染した猫との接触で皮膚病の症状が見られます。
感染ルートは、すでに感染した動物との接触することによってうつされるため、外猫の感染が多くみられます。伝染性が強いことから、外と室内を行き来している飼い猫の場合も感染するリスクが高まります。
「疥癬(かいせん)」の症状
皮膚へ寄生すると、発疹や酷い痒みに襲われるのが「疥癬」の特徴的な症状です。猫が感染する体の部位は、被毛が少ない耳に寄生し、徐々に顔まわりや頭のほうへと感染が広がっていきます。爪で掻きむしることで菌が傷口から入り、炎症や化膿してしまうケースも多いようです。
免疫力が弱く、十分な抵抗力が備わっていない仔猫や高齢猫は、その分「疥癬」にかかりやすくなります。同じく免疫力が弱まっている人の場合は、少数寄生だが激しい痒みを伴う「通常疥癬」と、非常に多数の疥癬が寄生する「痂皮型疥癬」に分類できます。
人にうつる疥癬は、猫とのスキンシップによって感染するため、腕や手首、手の平などに発疹ができやすく、初期症状は強い痒みから異変に気付くことが多いです。
「疥癬(かいせん)」の治療法
では猫の皮膚病の「疥癬」は、どのようにして治療を進めていくのでしょう。鏡でチェックし、ダニの駆除効果のある薬の投与し治療を行っていきます。
駆除剤は、皮膚に滴下するタイプを使用することが多く、約3週間あけて検査で疥癬が見つからなくなるまで投与します。多頭飼いであれば感染している可能性がある猫も治療を進めていきます。この治療は、駆除剤の効果がみられないダニの卵によって増えていくのを食い止めるために数回に渡って行う治療法です。
人にうつった疥癬では、治療をしてヒゼンダニが死滅しても痒みの症状が続くため、飲み薬や塗り薬を処方してもらって痒みを静めていきます。
まとめ
人にうつることもある「疥癬」は、外猫の皮膚に「ヒゼンダニ」が寄生し、接触する機会のある飼い猫から飼い主さんへと感染するおそれがある皮膚病です。
窓の近くにいることが多い猫は、たとえ室内にいても外猫が窓のすぐ近くまで来れる環境にあれば、知らないうちに室内猫でも感染してしまいます。
予防策としてできる事は、猫も人も「外猫との接触を極力避けること」につきるでしょう。疥癬のような皮膚病を含め、他の感染症に関しても感染するリスクもあります。
愛猫は室内飼いを徹底し、清潔な環境でダニが住みつかないように気をつけていきたいですね。