ストルバイト結石の原因
猫のストルバイト結石は尿道や膀胱(時に腎臓や尿管)の中に結晶や結石ができる病気です。
ストルバイト結石の主な原因には以下があげられています。
- 食事の内容
- あまり水を飲まない
- 運動不足
- 肥満
ストルバイト結石は、おしっこのpHがアルカリ性に傾くとできやすくなると言われており、その原因として食生活、水分摂取量などが影響しています。運動不足により肥満や飲水量不足になると、結石による尿道閉塞のリスクとなると考えられています。
またストルバイト結石のおもな構成要素である「リン」と「マグネシウム」の含有量が多い食事を続けると結石ができやすくなります。
知識1.ストルバイト結石のサイン
ストルバイト結石は早期発見・早期治療が重要な病気です。ストルバイト結石にいち早く気付くためには以下のサインを見逃さないようにしましょう。
- トイレの回数が増える
- おしっこの量が少ない
- おしっこがキラキラして光って見える
- 血尿が出ている
- トイレ以外でおしっこをする
- おしっこのときに鳴き声を上げる
ストルバイト結石では、膀胱や尿道の刺激や傷が原因で、頻尿や血尿が見られる場合があります。また、痛みを感じると、排尿時に鳴き声を上げることもあります。
これらのサインは、ストルバイト結石以外にも多くの下部尿路疾患(FLUTD)で見られます。気になる症状があるときは早めに動物病院を受診し獣医師に相談してください。
知識2.ストルバイト結石になりやすい猫
ストルバイト結石は1〜8歳の比較的若い猫がかかりやすいことが明らかになっています。
そのなかでもペルシャ、ヒマラヤン、ロシアンブルーなどはストルバイト結石になりやすいと言われていますが、雑種での発生も多いです。
また水分摂取量が少ない猫や肥満の猫も注意が必要です。
水分摂取量が少ないとおしっこが濃くなって結石ができやすい環境になります。
肥満の猫は食事の量が多く、あまり動かないため、運動不足になりがちです。運動をすると尿のpHは一時的に酸性に傾きやすくなります。ストルバイト結石は尿がアルカリ性に傾くとできやすいため、運動不足の猫はストルバイト結石のリスクが上がると考えられます。
知識3.ストルバイト結石で注意が必要な症状
ストルバイト結石で注意しなければいけないのが尿道閉塞。尿道が結石でつまっておしっこが出なくなる状態です。とくにオスは尿道が細長くカーブしているためメスよりもつまりやすいと言われています。
トイレに頻繁に行くのに尿量が少ない、尿が出ていない場合は要注意。
おしっこがまったく出なくなると、急性腎不全や尿毒症を引き起こし命にかかわります。大変危険な状態ですから、早急に動物病院を受診しましょう。
いざというときのために、時間外でも対応できる動物病院を見つけておくことをおすすめします。
ストルバイト結石の予防法
ストルバイト結石の予防では、食事や水分摂取量、運動不足に注意が必要です。具体的には以下のような対策があります。
- 食事にウェットフードを取り入れる、または水を足す
- 食事の栄養バランスに注意する
- 運動不足の解消
- 肥満の解消
猫は結石になりやすいと言われていますが、その原因は「あまり水を飲まないから」です。そのため結石の予防では、水分摂取量を増やすことが重要です。
ウェットフードをあたえるのが簡単ですが、スープを飲ませる、ドライフードをふやかすといった方法もおすすめでしょう。
食事は、ストルバイト結石の構成要素であるリンとマグネシウムの含有量に注意し、多すぎるものは避けることをおすすめします。
一度ストルバイト尿石症と診断された場合は獣医師の処方する「療法食」への切り替えが必要となりますが、尿石のできていない猫に自己判断で尿石用の療法食を与えることは、弊害も懸念されますので避けましょう。
まとめ
ストルバイトをはじめとする尿路結石は食生活とのかかわりが深い病気で、場合によっては猫の命をも危険にさらす可能性があります。
反面、食事の内容を見直したり水分摂取量を増やす工夫をしたりなどのほか、運動不足や肥満を解消することでリスクを軽減できます。
ストルバイト結石の予防には、たとえば水をあまり飲まない猫なら食事をウェットフードに切り替えるなどの、個々の猫に合わせた対策が必要です。愛猫にとって最適な方法をしっかりと考えましょう。
無症状であっても、実は尿石症を患っていることがあります。定期的に尿検査や超音波検査を受け、早期発見に努めましょう。