猫の『避妊手術』が必要な理由3つ 手術の流れや大切な術後のケア方法も

猫の『避妊手術』が必要な理由3つ 手術の流れや大切な術後のケア方法も

獣医師など動物の専門家たちが推奨することが多い猫の「避妊手術」。避妊手術が推奨されている理由をご存じでしょうか。今回は、猫に「避妊手術」が必要な理由について解説していきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.病気の予防

猫と獣医師

猫に避妊手術が求められる理由として、まず挙げられるのが病気のリスクを軽減させるため。避妊手術を施すことで、以下の病気を予防することが期待されます。

  • 子宮内膜症など子宮に関する病気
  • 卵胞嚢腫など卵巣に関する病気
  • 乳腺腫瘍(乳がん)

特に猫の乳腺腫瘍(乳がん)は悪性の可能性が高い危険な病気です。発情期が来る前に避妊手術を施せば、高い確率で乳腺腫瘍(乳がん)をはじめとした疾病予防が期待できます。

猫を健やかに長生きさせるためにも、避妊手術は必要なのです。

2.妊娠させないで済む

猫の親子

猫の避妊手術が必要な2つ目の理由としては、「妊娠させないで済むから」という理由です。

猫は人間よりも高い確率で妊娠する動物。一回妊娠すると、約2ヶ月ほどの妊娠期を経て平均5頭ほどの赤ちゃん猫を出産します。

新しい命の誕生は尊いことですが、生まれた子猫たちもお世話するとなると負担は大きくなります。里親を探すことも簡単ではありません。加えて猫は2〜4回もの出産が可能な動物であるため、何度も妊娠するかもしれません。

室内飼育が主流になった近年でも、脱走時に出会った野良猫や多頭飼育している猫同士で交尾することが想定されます。飼い主さんの価値観によっても異なりますが、生まれてくる命含め責任を持ち切れないのであれば、避妊手術の検討をオススメします。

3.発情期のストレス軽減

発情期で鳴く猫

避妊手術を施すことには、発情期のストレスを緩和させる効果も期待されます。猫の発情は交尾するまで、なかなか沈静化しません。交尾できない期間が長引くことで、ストレスを抱え込んでしまうケースも多いです。そのようなストレスは、猫の健康を損なう要因となります。

避妊手術を施すことで、猫が発情しないようになり、結果としてストレスも抱えにくくなります。発情期を迎えると猫が活動的になり大声で鳴きまわることも増えるため、悩まれている方も避妊手術は検討すべきです。

手術の流れと術後のケア方法

猫と獣医師

猫の避妊手術は施す前に、事前検査を行います。猫に手術を施して問題ないかを調査するためです。事前検査で問題が確認されなかったら、後日避妊手術を施します。

避妊手術は全身麻酔で行い開腹を伴うため、前日の夜から絶食・絶水が指示されます。円滑な手術のためにも動物病院から案内される内容は必ず守りましょう。

猫の避妊手術には開腹手術と腹腔鏡手術の2種類があります。腹腔鏡手術の方が切開の範囲が少なく猫の負担も軽めですが、その反面費用が高くなりやすいですし器械が必要になるためどこの病院でも実施できるものではありません。手術方法や術後の入院の有無は動物病院によって異なります。

なお、経過観察のため、動物病院に1泊するケースもあります。術後1週間経過したら、経過観察を続けながら抜糸を行っていきます。

避妊手術後、猫が手術痕を気にして患部を舐めようとすることがあります。獣医師の指示に従いエリザベスカラーや術後服を着させてあげましょう。ただし、エリザベスカラーは猫が嫌がるケースも多いです。暴れてしまう場合は無理やり装着するのは避け、獣医師に相談してみましょう。

まとめ

診察中の猫

猫の避妊手術には、意図しない妊娠を防ぐ以外に猫の健康を守るメリットも存在します。飼い主さんだけでなく猫にとってもメリットがあります。一方で手術のリスクも存在していますので、避妊手術を受けさせるか迷った場合は、まずかかりつけの動物病院に相談してみましょう。

今回の記事を参考に、猫の避妊手術を検討してみてはいかがでしょうか。

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