『猫から人に感染』する病気7つ!知っておくべき予防方法も

『猫から人に感染』する病気7つ!知っておくべき予防方法も

猫が感染している細菌や寄生虫などが、人にも感染する場合があります。では、そんな「猫から人に感染」する病気には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。今回は、知っておくべき予防方法もあわせてご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

「猫から人に感染」する病気

人の手を噛む猫

猫のことが大好きでも、さすがに猫から病気をもらいたくないですよね。今回は、猫から人に感染する病気について解説します。

1.猫ひっかき病

「猫ひっかき病」とは、猫の爪や口の中に存在するバルトネラ菌が原因の感染症です。日本では10%前後の猫がこの菌を保有していると言われています。

猫はバルトネラ菌を持っていても無症状です。猫に寄生するノミがバルトネラ菌を持っていて、そのノミから人に感染することも稀にあるそうです。

バルトネラ菌を持った猫にかまれたりひっかかれたりすることで人に感染し、特に身体が弱っているときは発症しやすくなります。

症状には、受傷してから数日~2週間後にあらわれる傷の腫れ、膿む、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感などがあります。

2.パスツレラ症

「パスツレラ症」とは、猫の口の中に存在しているパスツレラ菌が原因の感染症です。ほぼ全ての猫がこの菌を持っていると考えられていますが、ほとんどの場合無症状です。

猫にかまれたり、猫とのキスや猫に人の口周りを舐めさせること、猫からの飛沫によって人に感染します。高齢者、乳幼児、抵抗力が弱い人が発症しやすいです。

感染して30分~2日で傷口の痛み、腫れ、化膿、リンパ節の腫れなどの症状があらわれます。

3.トキソプラズマ症

「トキソプラズマ症」とは、トキソプラズマという原虫が原因の感染症のことです。

トキソプラズマに感染したネズミや加熱不十分な肉などを猫が食べたり、感染した猫の糞便に含まれるトキソプラズマを摂取したりして猫が感染します。猫は感染しても無症状のことが多いですが、子猫や免疫機能が低下している猫は発熱、下痢などが見られる場合があります。

人へのトキソプラズマの感染は、トキソプラズマを持つ肉を加熱不十分なまま食べたりトキソプラズマがいる土をいじった後に手洗いが不十分な場合に起こる他、猫の糞便の中にいるトキソプラズマが人の口に入ることでも感染します。

猫から排出された直後のトキソプラズマには感染力はありませんが、24時間経つと感染力を持った状態になります。

健康な人がトキソプラズマに感染しても無症状か風邪のような症状が見られるだけです。しかし、妊娠中の人が初めて感染すると胎児に影響が出る場合があります。

4.皮膚糸状菌症

「皮膚糸状菌症」とは、皮膚糸状菌というカビが原因の感染症です。猫が感染するとフケ、脱毛、かゆみなどの症状が出ます。

皮膚糸状菌に感染した猫との接触や糸状菌が付着した毛やホコリなどから人が感染します。抵抗力が弱っている人は感染しやすいです。感染すると皮膚に丸い赤みやかゆみ、脱毛などが見られます。

5.瓜実条虫症

「瓜実条虫症」とは、瓜実条虫(サナダ虫)が原因の感染症です。幼虫を持ったノミを摂取することで猫に感染します。猫では肛門周囲をかゆがること以外無症状が多いですが、子猫や大量寄生の場合には激しい下痢をする場合があります。

人へは、幼虫を持つノミや、潰したノミが持っていた幼虫が口に入ることで感染します。感染者のほとんどが乳幼児で、下痢や食欲不振などの症状が見られます。

6.回虫症

「回虫症」とは、回虫が原因の感染症です。回虫の虫卵を口にしたとき、母子(経乳)感染、幼虫を持ったネズミやゴキブリなどを捕食したときに猫が感染します。

猫に少量の回虫が寄生した場合は、症状はありません。大量に寄生すると嘔吐、下痢、食欲低下などが起こります。

人へは、猫の糞便に含まれる虫卵が口に入ること(砂遊びや猫の毛についていて)で感染します。猫の回虫は人では成虫になれず、幼虫が体の様々な部位に移行することが問題となります(幼虫移行症)。

症状は幼虫が入ってしまった部位により様々ですが、発熱、咳、腹痛、てんかん、失明などの症状が報告されています。

7.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」とは、SFTSウイルスが原因の感染症です。マダニがウイルスを媒介して猫に感染します。猫が感染すると、元気や食欲がない、黄疸、発熱などの症状があらわれ死に至ることがあります。

人への感染は、多くはウイルスを保有するマダニに咬まれることで起こりますが、SFTSに感染した猫にかまれて発症したと考えられる人の例が過去に報告されています。人も、猫と同じような症状があらわれ死亡することもあります。

「猫から人に感染」する病気の予防方法

寝ている猫と掃除機

ではここからは、猫から人に感染する病気を予防するために知っておくべき方法について解説します。

過度なスキンシップを避ける

猫にキスをする、顔をなめさせる、口移しで食べ物を与える、同じ食器を使うなど過剰なスキンシップや接触は避けましょう。

猫を触ったあと、トイレ掃除をした後は必ず手を洗う

猫の身体についていたり糞便に含まれる病原体によって感染する可能性があるので、猫を触ったり猫のトイレを掃除した後は必ず、すぐに手洗いを行いましょう。

かまれたり、ひっかかれたら傷口を洗う

傷口は水でしっかり洗い流します。傷が深い、出血が止まらないときなどの他、乳幼児やお年寄り、免疫力の低い方の場合には病院を受診しましょう。

部屋を清潔にする

普段から室内に猫の抜け毛やフケを溜めてしまわないように、できるだけこまめに掃除をすることをおすすめします。

猫の身の回りを清潔にする

ブラッシングや爪切りなど猫の身体のケアをしたり、食器や寝床、トイレをいつも清潔に保ったりしましょう。

猫を室内で飼育する

外での生活は猫自身が様々な感染症にかかる危険があり、人に感染する病気を持つ確率も高まります。完全室内飼育が安全です。

猫の健康管理を行う

定期的に寄生虫(ノミ、ダニ、お腹の寄生虫)の予防と健康診断を受け、猫の体調が悪いときは早めに動物病院を受診しましょう。また、加熱不十分な肉を猫に与えることは避けましょう。

飼い主さんの健康管理を行う

猫から人に感染する病気には、身体が弱っているときに発症しやすいものがあります。飼い主さんも体調管理に気をつけましょう。

高齢者や小さな子供、慢性疾患がある方、免疫抑制状態にある方などは猫との接触に注意が必要です。

まとめ

人の膝の上に乗る猫

「猫から人に感染」する病気には、今回ご紹介したように様々なものがあります。

猫とのコミュニケーションは楽しい限りですが、今回ご紹介した内容は常に意識しておく必要があります。

猫との過度な接触を避けたり、接触した後はきちんと手洗いを行ったり、基本的な衛生管理を徹底して、安心安全に猫と接触できるように日ごろから意識しておきましょう。

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