介護期でも運動は必要?飼い主が行えるシニア期の愛猫へのケア

介護期でも運動は必要?飼い主が行えるシニア期の愛猫へのケア

シニア期に入った猫は体を動かすことも減ってきますよね。しかし、介護期であっても適度な運動は必要で飼い主さんの工夫も重要となります。今回はシニア期などで介護が必要な愛猫へのケアの方法について解説します。

介護期にも運動が必要な理由

おもちゃと猫

シニア期に入り、これまで以上に眠って過ごすことが多くなった…という猫ちゃんも多いかと思います。

しかし、冒頭にも触れたように、シニア期でさまざまな介護が必要になった猫ちゃんであっても、できる限りは運動させることが重要です。

まずは、介護期にも運動が必要な理由からお話します。

運動が必要な理由1:肥満になりやすい

人でも同じですが、猫でも歳を重ねると段々と代謝が低下していきます。そして、シニア期に入る頃にも代謝は落ちていく一方なので、太りやすい体質へとなってしまうのです。

それに加えて、猫ちゃんの運動量が減ってしまうとどうでしょうか。ただでさえ太りやすい状態なので、運動不足だとなおさら肥満になりやすくなってしまいますよね。

肥満になると他の病気へ発展する恐れもありますし、老化によって弱った骨や関節などに大きなダメージを与えてしまうことも考えられます。

肥満を防ぐためにも、介護期であっても適度な運動や食事の管理は大切なことなのですね。

運動が必要な理由2:ストレス解消のため

運動には体を動かして肥満を予防するだけではなく、猫のストレスを発散する役目もあります。1日の半分以上も寝て過ごすことで知られる猫ですが、日常的に高いところを登ったり降りたり上下運動を行い、適度に体を動かしているのですね。

しかし、シニア期に入ったり介護が必要になったりすると、どうしても運動の機会は少なくなります。介護が必要な猫ちゃんでは思い通りに体を動かせないことも多いので、ストレスも多く溜まってしまうのです。

ですが、シニア期や介護期でも運動が必要な一方、体の弱った猫ちゃんに無理な運動を強いてしまうと、骨折などの怪我につながる恐れがあるのも事実です。

飼い主さんは、どのようなケアを行えばいいのでしょう?

シニア期に飼い主が行えるケア

マッサージされている猫

ここからは、愛猫の運動不足を解消するためにシニア期に入った子や介護が必要な子にも無理なく行えるケアの方法をご紹介します。

愛猫の様子も見ながら、少しずつ行ってみてくださいね。

飼い主ができるケア1:ゆっくり歩かせる

自力で歩けるにも関わらず寝ていることが多くなった猫ちゃんには、まずは「歩かせる」ということを意識してみましょう。

この時、急に激しい運動をさせると先ほどお話した骨折などの怪我だけではなく、猫ちゃんの内臓にも負担をかけてしまう危険もあります。

「たくさん運動させよう」と気張る必要はありません。猫ちゃんのお気に入りのおもちゃやおやつで釣ってみて、お部屋の中をゆっくり歩かせてみることから始めてくださいね。

飼い主ができるケア2:マッサージ

シニア期に入ったり介護が必要になったりして運動量が減ると、血の巡りも滞っていきます。

人でもそうですが、猫ちゃんにとっても血行の悪さから体調不良につながることも珍しくはありません。

滞った血行を促すためにも、飼い主さんは愛猫の身体をマッサージしてあげましょう。マッサージと言っても、もみほぐすわけではなく優しく撫でるだけで大丈夫です。

「猫が喜ぶ」とも言われている喉元からゆっくりさすっていき、段々と額や背中へと少しずつ撫でる範囲を広げていきましょう。

背中を10回ほど優しく撫でたら、仕上げとして首筋から背中あたりを軽く5回ほど揉んでいきます。嫌がる猫ちゃんもいますので、愛猫の様子を見ながらゆっくり行ってくださいね。

また、触られるのを嫌がるようであれば、ブラッシングだけでも十分刺激になるので大丈夫です。こちらも優しく行うようにしてください。

飼い主ができるケア3:筋肉の運動

「筋肉の運動」と聞くと、人で言う「筋トレ」をイメージする方も多いかもしれませんね。

ですが、ここで言う筋肉の運動はどちらかと言えば「怪我をした後に行うリハビリ」のような運動に近いものです。

介護期で運動量が減ってくると、猫ちゃんの筋肉は衰えていく一方です。筋肉が衰えると猫ちゃんは余計に動くことが億劫になりますし、いざ動いた時に怪我につながりやすくもなります。

こうした不測の事態を防ぐためにも、日頃から飼い主さんが適度に愛猫の筋肉に刺激を与えてあげることが大切なのですね。

まずは、猫ちゃんがリラックスしている時を見計らって、飼い主さまの膝に乗せてみましょう。リラックスしていると筋肉も伸びやすいので、運動のチャンスです!

猫ちゃんを膝に乗せたら前足を1本優しく掴んで、ゆっくり前に伸ばしたり体側に曲げたりを繰り返してください。

多く行う必要はないので、足1本に対して5秒〜10秒ほどかけ、数回行ってみましょう。

前足が終わったら、後ろ足も同様に動かしてみてくださいね。嫌がらないようであれば、猫ちゃんの両脇を飼い主さまの両手で支え、背骨を曲げたり伸ばしたりしてみる運動もおすすめですよ。

ただし、元々怪我をしている子や筋を痛めている子などは逆効果になってしまうこともあります。かかりつけの獣医師の指示に従って、無理に行わないようにしてください。

特に怪我などがない子であっても「ゆっくり優しく」というポイントを忘れずに、猫ちゃんが嫌がらない範囲内で行いましょう。

ほんの少しでも動くことが大切

シニア期や介護期で運動量が減った愛猫に、飼い主さんが行えるケアの方法についてご紹介しました。

適度なケアは飼い主さんと猫ちゃんのいいコミュニケーションの機会にもなります。

たくさん運動させる必要はありませんので、飼い主さんは「愛猫に少しでも多く動いてもらう」という部分を意識して、サポートしていってくださいね。

執筆者情報

写真
Rapport Ciel
代表・ペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザー
松永由美

以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。
著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)

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