今さら聞けない!シニアに入った猫のごはんの選び方と注意したいこと

今さら聞けない!シニアに入った猫のごはんの選び方と注意したいこと

市販されている猫のごはんを見ると「シニア用」などの種類もありますが「今までのごはんのままではダメ?」と疑問に思う方も多いはず。今回は動物介護士が、シニア猫のごはんで注意したいことについてお話します。

今までのごはんではダメなの?

キャットフードと猫

みなさんのご自宅の猫ちゃんにも、若い頃から食べてきて慣れ親しんでいるごはんがあるかと思います。「シニア期に入っても食欲旺盛だし、今までのごはんを引き続きあげている」というご家庭も多いかもしれませんね。

もちろん、食べ慣れているごはんから急に新しいものに切り替えてしまうのは、猫ちゃんのお腹にも負担がかかるのでよくありません。

しかし、愛猫の健康をトータルで考えると、猫が7歳を過ぎて「シニア」と呼ばれる年齢になった頃から、ごはんは徐々に切り替えてあげるのが好ましいと言えます。

まずは、そう言われている理由について詳しくお話します。

カロリー過多になる

どんなに大切に育てている愛猫であっても、命あるもの“老化”を防ぐことはできません。見た目では変わらずに可愛らしいままでも、内臓の機能や筋力・骨などの目には見えない部分には、段々と衰えが出始めているのです。

食べたものをエネルギーに変換する代謝機能も、歳を重ねると徐々に衰えていく部分の1つです。

これまでは全く問題なかったごはんであっても、シニア期に入ると上手くエネルギーに変えることができなかったり、体が不要だと判断した栄養であっても上手く消化機能が働かず、体の外に排出できなかったり…ということが起こり得ます。

すると、結果的に「カロリー過多」となってしまい、肥満につながるケースは珍しくありません。

内臓に負担がかかる

先ほど「年齢を重ねると代謝機能や消化機能も衰える」とお話しましたが、それによって起こるのは肥満だけではありません。

愛猫がシニアになってからも今まで通りのごはんをあげ続けると、これまでと同じ量だけ内臓は働こうとしますよね。 ところが、代謝や消化のための機能自体は衰えているわけですから、その分内臓には大きな負担がかかっていることになります。

その歳に見合ったシニア用のごはんをあげることで、猫ちゃんの内臓にかかる負担も最小限に抑えられますよ。ご自宅の猫ちゃんがシニアになったら、健康のためにも、これまでのごはんから少しずつシニア用のごはんに切り替えていきましょう。

正しいごはんの選び方

キャットフードと猫

愛猫が7歳を過ぎたら、シニア用のごはんに切り替えることが大切だとお話しました。とはいえ、「シニア用」と一言に言ってもさまざまな種類があるので、ご家族もどれがいいのか悩んでしまいますよね。

ここからは、シニアになった猫ちゃんのごはんの正しい選び方についてお話します。

総合栄養食が大前提!

ほとんどの飼い主さんは大丈夫かと思いますが、筆者がペットケアアドバイザーとして活動をしていると時々「うちの子はおやつを食事代わりにしている」という飼い主さんがおられます。結論から言いますと、これは絶対にNGです!

というのも、猫用フードの種類は下記の通りに大きく4つに分けられます。

  • 総合栄養食
  • 捕食
  • 副食
  • 療法食

一番上の「総合栄養食」というのが一般的に「ごはん」として販売されているものです。「このフードとお水を摂っていれば、猫の生命維持には問題ない」と言えるくらいに、栄養面もしっかりと計算されています。

一方で、いわゆる「おやつ」である「捕食」や嗜好性を高めるために作られている「副食」は、それだけでは猫が生きていくために必要な栄養を十分に摂取することはできません。

捕食や副食をあげる際には、必ず総合栄養食とセットで与えることが前提となるのです。捕食や副食として作られたフードは、総合栄養食と比べてカロリーは高い傾向にあります。

つまり、先ほどお話したような「おやつを食事代わりに…」ということをずっと続けていると、栄養面が偏ってしまう上にカロリーばかり多く摂ってしまうことにもなります。愛猫の体にとって、何一ついいことなんてないのですね。

シニア期に限ったことではありませんが、猫のごはんを選ぶ際は必ず総合栄養食をメインにしましょう!

また、「療法食」は特定の疾患や健康状態を改善させることを想定し開発されたものです。動物病院やペットショップで販売されていますが、ご家族が独自で判断するのではなく、獣医師の指示を仰いでから与えるようにしてくださいね。

低脂質・低カロリーなもの

シニアになった猫は若い時に比べると運動量も徐々に減っていきます。それに加えて、先ほどもお話したように代謝機能も低下してくるため、脂質が多くカロリーの高いごはんをあげていると肥満につながりやすくなります。

中には「痩せ細るよりはいい」と思う飼い主さんもいるかもしれませんね。しかし、肥満になると脂肪が内臓を圧迫して負担をかけるだけではなく、関節にも大きなダメージとなります。

歳を重ねると多少の不調は仕方のないことかもしれません。それでも、一番近くで過ごすご家族は「愛猫が最期の時を迎えるまで、少しでも過ごしやすい環境を整えてあげたい」と感じるかと思います。

猫ちゃんが少しでも「苦しい」「痛い」という想いをしないで済むように、飼い主さんがごはんの調整を行うことも大切です。

食物繊維が豊富なもの

猫は元々砂漠で暮らしていた動物だと言われており、人や犬に比べると水分摂取量が少ないとされています。シニア期に入ると、その水分不足に加えて活動量の低下や消化機能の低下から腸の動きも悪くなります。そのため、シニアになった猫は便秘に陥りやすいと言われているのです。

便秘を防ぐためにも、シニアになった猫のごはんを選ぶ際には、食物繊維が豊富なものを選んであげるのがベストです。

ドライタイプの総合栄養食にウェットタイプの副食をプラスしてあげると、ごはんからも水分を補給することができるのでいいですね。カロリー過多とならないように注意しながら与えるようにしましょう。

シニアの猫にごはんをあげる際のポイント

シニア期に入った猫にごはんをあげる時には、種類だけではなく他にも大切なポイントがあります。最後にそのポイントについてお話しますので、ご自宅の猫ちゃんがごはんを食べている環境と見比べながらチェックしてみてくださいね。

ポイント1:嗜好性が高まる工夫を

シニアに入って徐々に食欲が落ちてくる猫ちゃんも珍しくはありません。しかし、食べることは生きることにつながる大切なものですから、ごはんを食べてくれないと飼い主さんも心配ですよね。

シニアになった猫の食欲が落ちる原因として考えられることはいくつかありますが、その中の1つは「嗅覚の低下」だと言われています。

というのも、犬ほどではないものの、猫も嗅覚がとても優れている動物です。そのため、ごはんを食べる際にも匂いによって「安全なもの」や「おいしいもの」を判別していると考えられているのですね。

シニア期に入り嗅覚が低下したことによって、ごはんの種類を上手く判別できずに食欲が落ちている…というケースは珍しくありません。

「以前に比べて食欲が落ちた」と感じた時には、ごはんを人肌程度に温めたりぬるま湯を加えてふやかしたりなど、匂いを出して嗜好性を高める工夫を行いましょう。

ポイント2:体調に応じて数回に分ける

人でも「歳をとって一度に食べられる量が減った」という声はよく耳にしますよね。猫も同じで、年齢を重ねると消化機能の衰えなどによって、一度に食べられる量が減ってくる場合があります。

規則正しい食事は大切ですが、1日に必要な栄養をきちんと猫ちゃんに摂ってもらうことも重要です。1度に完食できないことが続いた場合には、食事を数回に分けて与えるようにしましょう。

ただし、ごはんの回数が増えてもトータルの摂取量は同じでないと、かえって内臓に負担をかけたり肥満につながったりしますので注意してください。

ポイント3:食べやすい食器を使う

シニアになると、内臓だけではなく骨や筋肉にも衰えが出始めます。すると、これまでは身をかがめながらごはんを食べていた子であっても、その体勢を「つらい」と感じてしまうことがあるのです。

さらに、背中が曲がった状態で食べていると、食べたものが上手く胃まで届かずに食道に溜まった状態になります。その結果、食べたごはんを吐いてしまう「吐き戻し」にもつながりやすくなるのです。

シニア期に限らず猫の食事では、首から背中までを真っ直ぐにした状態でごはんを食べられるような、高さのある食器を使うといいでしょう。

また、食器の底にも角度がついていると、首も自然な位置のままごはんを食べられるのでおすすめですよ。

ポイント4:食べ終わるまで見守る

猫は元々、食べたものをあまり噛まずに丸呑みする習性があります。しかし、歳を重ねると飲み込む力も徐々に衰えるため、食べたものが喉に詰まったり誤嚥を引き起こしたり…という危険もあるのです。

こうした事故を防ぐためにも、飼い主さんは猫ちゃんにごはんをあげた後すぐにその場から去るのではなく、できるだけ近くで見守ってあげるようにしてください。

シニア期には特に、安全で健康な食事を心がけましょう!

執筆者情報

写真
Rapport Ciel
代表・ペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザー
松永由美

以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。
著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)

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