猫の療法食の正しい与え方
療法食は、病気をしたり症状をなくす、軽くしたりする、または再発防止を目的した食事のことです。「薬」ではないので食事だけで解決しない病気もありますが、食事も大切な治療の基本となる病気もあります。
まずは、その猫と病気に合った食事を見つけるところから始めます。
これは獣医師とともに行います。どんな病気でどんな状態だからどのような療法食を与えないといけない、与えてみたら良い、というのは獣医師が決めます。しかし療法食も色々なメーカーから発売されていますので、自分の猫ちゃんにはどの製品が合うのかを決めるには、飼い主さんも大きな役割を果たします。猫ちゃんが食べてくれる味なのか、食べてみて様子はどうか、症状はどのくらい良くなっているか、飼い主さんの観察が大切です。フードの原材料や添加物が気になる飼い主さんであれば、各メーカーの製品の原材料と添加物を見比べてみると良いかもしれません。
療法食は立派な治療法の一つですので、必ず獣医師さんの指示で与える、わからないことは相談する、がとても大事です。そして、飼い主さん自身も何のためにその療法食を与えていて、その療法食を食べるとどうなるのかをきちんと理解していてください。
NGな与え方
- 飼い主の判断で勝手に与える
- 病気予防だけを目的として、獣医師さんの指示なく与える
- 症状が改善すると与えるのを勝手にやめる
飼い主の判断で勝手に決めてしまうことはNGです。
猫の症状に合っていない療法食を与え続けた結果、体調が悪くなったりさらに病気が悪化してしまうこともあるので絶対にやめましょう。
猫が療法食を必要とするとき
- 慢性の腎臓病
- お腹が弱い
- 糖尿病
- 肥満
- 尿石症
- 食物アレルギー
- 皮膚疾患
- 関節疾患
- 歯周病
- 病気や手術からの回復期
などがあります。
それぞれの病気や状態に合わせて、療法食の種類も豊富にあります。
猫の療法食への切り替え方
切り替え方は2パターンあります。
慣れてもらう為にどちらも少しずつ、1週間以上かけてそれまでのごはんから療法食へ移行させます。
- それまでのごはんに最初は少しだけ療法食を混ぜ、1週間以上かけて切り替えます。混ぜるときは必ず獣医師さんに混ぜても大丈夫なごはんか確かめましょう。
- それまでのごはんの隣に療法食を置き、療法食を食べたら普段のごはんを徐々に減らして1週間以上かけ切り替えます。
便秘や下痢の猫の場合に特に注意すること
下痢の場合
- ごはんの量を2/3に減らす、または絶食の指示があればそれに従う
- こまめに水分補給させる
- フードをぬるま湯でふやかすのも良い
- 下痢がひどい時には、動物用電解質ドリンクの利用も検討する
下痢は脱水症状を引き起こしやすいので、こまめな水分補給が普段以上に重要です。
与える際は少しずつにして下さい。
便秘の場合
- お腹マッサージも良いかもしれません
- • 水分補給をこころがけ、腸内の水分ができるだけ多くなるようにします
病院で処方された薬と合わせて様子をみます。
改善がみられなければもう一度獣医師さんに診てもらいましょう。
療法食を食べてくれない
そんなときは、
- ひげが当たらないお皿にかえる
- 水とごはんを離す
- ごはんの場所をかえる
- ごはんを温める
- ぬるま湯でふやかす
- 飼い主の手からあげる
- 回数を細かくわけて少しずつあげる
- メーカーを変える
メーカーを変えてみたい場合は、獣医師さんに相談してください。また、同じメーカーの別の療法食を使うことができることもあります。
猫に療法食を与える際の注意点
決められた量はしっかり守ってください。
療法食が気に入らずに食べない場合は、あまり長く様子を見るだけにしないで、獣医師さんに相談して下さい。
療法食を食べている猫ちゃんでは、おやつやごはんのトッピングに何をどの位与えてもいいのか、必ず獣医師さんに相談してください。療法食以外は、どんなに少量でも何も与えてはいけない場合もあります。ちょっとだけだから、ヘルシーなものだから、かわいそうだから、と勝手な判断で療法食以外のものを食べさせることは絶対にやめましょう。
猫の療法食の商品紹介
腎臓サポート編
商品情報
・リン含有量を制限。
・オメガ3系必須脂肪酸と複数の抗酸化物質を配合。
・腸内環境を整えるフラクトオリゴ糖とゼオライトを配合。
・高消化性のタンパク質を適量配合。
商品情報
・慢性腎臓病用の食事療法食。
・リンの含有量を制限、高消化性タンパク質を適量配合、オメガ3系必須脂肪酸と抗酸化物質を含有。
ロイヤルカナン腎臓サポートのカリカリタイプとウェットタイプです。
慢性腎臓病用のごはんで、リンの量を制限し、消化率の高いタンパク質が適量含まれています。
商品情報
・チキンテイスト。
・慢性腎臓病の猫用。
・たんぱく質含有量を制限。
・リン含有量を制限。
・ナトリウムを低減。
・フラクトオリゴ糖を配合。
こちらも腎不全の猫用に考慮されたフードで、粒も小さく食いつきも良いようです。480g入りの製品は120gずつ小分けに包装されていて、酸化も出来るだけ防げるようになっています。
商品情報
・活性炭配合。
・穀類たん白は「国産米」のみ使用。
・とうもろこし、小麦粉、大豆不使用。
・マグネシウム量を調整し尿石に配慮。
慢性腎不全の猫用に考慮された動物病院専用のごはんで、とうもろこしや小麦、大豆不使用の低アレルゲン仕様となっています。BPレーベルはビーフが主原料、PPレーベルはポークが主原料です。
消化器用編
商品情報
・消化器疾患(嘔吐、下痢、軟便など)用食事療法食。
・消化性が高い原材料。
・腸内細菌のバランスを整える複数の可溶性食物繊維を配合。
商品情報
高消化性の原料を使用
プレバイオティクス、複数の食物繊維を配合
「消化器サポート可溶性繊維」は特に便秘に配慮したごはんです。
商品情報
・高食物繊維に調整。
・体重管理のために低脂肪・低カロリーに調整、高濃度のL-カルニチンを配合。
・マグネシウム塩分の含有量を調整。
w/dは単にダイエットや下痢に良い、ということだけではなく、高食物繊維の食事が有効な状態(消化器の異常、糖尿病、高脂血症など)に対して使える療法食です。
尿路疾患編
商品情報
・ストルバイト尿石の溶解の管理に。
・マグネシウム、リン、カルシウムを調整。
・オメガ3脂肪酸を含有。
ストルバイト尿石の溶解に最短7日間で役立つことが科学的に証明されました。猫に多い膀胱炎への配慮もされています。長期間与えることも出来ます。同じシリーズに違うフレーバーもありますし、500g入り以外に2kg、4kg入りもあります。
まとめ
療法食といっても様々なジャンルや種類、フレーバーがあることが分かって頂けましたでしょうか?
どれも猫の病気、その時の状態に合うように栄養が調整されて作られています。獣医師さんと一緒に愛猫に合ったごはんを見つけ、適切な治療に努めましょう。
≪紹介した療法食のメーカー≫