犬の場合は空腹時に食べ物をみたり、リラックスしているときによだれを垂らすことがありますが、猫の場合そのような理由で涎をたらすことはありません。
飼い主さんとしても普段と異なる症状に不安になってしまうかもしれませんが、まずはよだれの原因をしっかり認識した上で、病院の受診が必要かどうかを見定めていきましょう。
今回は、猫が異常に「よだれ」を出している際の主な原因として考えられるものをご紹介していきます。
1.口腔内のトラブル
猫は虫歯になりにくいといわれますが、他の口腔内の病気として注意したいのは、蓄積された歯石の中の細菌が炎症を引き起こすことによる「歯周病」や「口内炎」です。口腔内の病気のうち多くはこの2つが原因ともいわれ、飼い主さんにとっては特に注意したい病気です。
初期症状としては口の中が赤くなる程度のため、なかなか早期に発見することが難しい病気です。しかし症状が進行してしまうと、物が食べにくくなったり、それによって食欲が減退してしまうこともあります。
口腔内のトラブルの原因はさまざまありますが、口内炎の原因の1つであるカリシウイルスについては、ワクチンで予防することができます。また、可能であれば歯磨きをしておくとさらに予防効果は高まります。
2.熱中症
人間でも夏は熱中症になることがありますが、室温や湿度が高くなっている場合、猫も熱中症になる可能性があります。
猫は汗を一部でしかかかないため、体を舐めることで唾液によって体を湿らせて体温調節を行っていますが、それだけで熱中症を回避することはなかなか難しいようです。
熱中症の症状としては、ぐったりする、よだれが出るなどが挙げられ、その場合はすぐに動物病院を受診する必要があります。
特に気温が上がりやすい季節には、冷房を使用することに加えてサーキュレーターや扇風機を活用し、風通しを良くすることが大切です。温度としては20〜25度、湿度は50〜60%が猫にとって適切といわれています。
また、夏には人間と同様に、猫も水を多く飲む傾向にあります。普段から飲み慣れている容器があれば、それらを使って水を用意し、それ以外にも直射日光に当たらない場所に数カ所水を飲める場所を用意することによって熱中症を防ぐことができます。
冬にも炬燵の中などで熱中症をおこす場合がありますので、注意しましょう。
3.中毒症状
農薬や殺虫剤などに含まれている化学物質には毒性成分が含まれており猫にとっては非常に危険です。猫が誤って舐めてしまった場合には、身体の痙攣や呼吸困難、過剰なよだれなどの症状がみられます。
田畑の多い地域で日常的に愛猫を外に出す機会がある場合や、室内飼いでも殺虫剤を使用する可能性がある場合には、特に注意が必要だといえるでしょう。
また、上記でご紹介した農薬や殺虫剤の他、たまねぎなどのネギ類やチョコレートなど、猫には中毒の対象となるものがたくさんあります。
危険性の高いものを愛猫が食べてしまった際には、吐き出させようとする飼い主さんが多いですが、口にしたものによっては「吐き出させたほうが良いもの」と「そうでないもの」があるので注意が必要です。
勝手な判断や処置をするのではなく、専門家の判断が必須となりますので、なるべく早く動物病院を受診して、最良の判断を行うようにしましょう。
まとめ
今回は、猫が異常によだれを出している場合の原因と、その対処法についてご紹介しました。
よだれの異常分泌についてはもちろん、愛猫が普段と異なる行動をみせた際には、飼い主さんが落ち着いて対応することに加えて、できる限り早めに動物病院を受診することが大切です。
また、今回ご紹介した原因の他にも、辛いものや刺激の強いものを食べてしまった際にもよだれの分泌量が増えるといわれています。そのため、薬などを飲ませる際には、フードに混ぜたり、水に混ぜてシリンジで投薬すると効果的です。
他には痙攣発作などの場合にも涎が前兆として増える場合もあります。
今回ご紹介した内容については、完全室内飼いであっても該当する例がありますので、ぜひ参考にしてみてください。