1.肛門嚢炎・破裂
肛門嚢(肛門腺)において、炎症を引き起こしてしまう病気が肛門嚢炎です。細菌感染などの理由によって、肛門嚢炎を引き起こすと、肛門周辺が赤く腫れてしまう他、放置すると肛門破裂するリスクもあります。
肛門嚢炎の初期症状として、猫が頻繁にお尻周りを気にする素振りが見られます。悪化することで出血なども伴い気付きやすくなりますが、病状が初期の段階で視覚的に肛門嚢炎であることに気付くのは困難です。そのため、普段から猫を観察し、最近いつもよりもお尻を気にしているかどうかに気付けるかが早期発見のカギとなります。
肛門嚢炎の治療方法としては、蓄積してしまっている分泌液を少しずつ取り除きつつ、薬による内科治療を行います。肛門嚢炎の程度が深刻な場合は、手術での解決も視野に入ります。
いずれにせよ、猫がお尻を気にしているそぶりを見せる、肛門付近から出血している場合は速やかに動物病院に連れていってあげましょう。
2.アレルギー性皮膚炎
人間同様、猫にもアレルギーによる皮膚炎が存在します。食べ物やハウスダストなどにより、アレルゲンと接触することで発現します。アレルギー性皮膚炎は手足や顔などに現れやすいですが、猫の中には、肛門周辺に皮膚炎を引き起こす子もいます。
皮膚炎が発生した部位に痒みを伴う赤い腫れが生じ、猫のストレスに繋がります。痒みに耐え切れず、ついつい舐めて余計に悪化させてしまうこともあるため、できるだけ早く動物病院での対応が必要です。予防策としては、アレルゲンの種類を特定し生活圏から排除する、室内をこまめに掃除し清潔な空間を維持することが挙げられます。
3.寄生虫
猫の排泄物、もしくは肛門付近に白い粒や紐が付いていたら要注意。寄生虫である可能性が高いです。猫の肛門付近に発生しやすい寄生虫のひとつに、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)が挙げられます。瓜実条虫はノミによって猫に媒介される寄生虫。健康な成猫であれば、重篤な症状は現れにくいですが、体力が低下している猫が寄生された、寄生虫の数が増えたという場合は注意が必要です。
条虫症は人間にも感染するズーノーシス(人獣共通感染症)でもあります。猫同様、無症状であることも少なくありませんが、免疫力の弱い子どもが感染すると下痢などの症状が引き起こされます。猫のお尻付近に白い異物が確認できたときは、速やかに動物病院に連絡して対応を相談しましょう。
おしり歩きは要注意
ときどき、猫がお尻を床にあててスリスリしている仕草を目にしたことはありませんか?これは通称おしり歩きと呼ばれる行動。一見、微笑ましい動きですが、実際は猫がお尻に違和感を覚えているサイン。もしかすると、肛門嚢炎などのトラブルが肛門に発生しているかもしれません。
猫が頻繁におしり歩きをするようになったら、注意深く排泄状況と肛門の状態を観察しましょう。何か違和感があれば、獣医師に相談されることを推奨します。
まとめ
猫は犬に比べて肛門に関するトラブルは少ないと言われていますが、まったくのゼロという訳ではありません。中には肛門トラブルが重篤化して、手術が必要となる可能性もあります。
この機会に猫の肛門に対して、注意深く見守ってみてください。