猫が『ネズミを食べる』って実は超危険!?3つの理由と予防策

猫が『ネズミを食べる』って実は超危険!?3つの理由と予防策

獲物として猫が「ネズミを食べる」のは、一見当たり前のようではありますが、実は色々と危険があるのです。猫がネズミを食べることで起こる危険や、猫がネズミを食べないようにする方法をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が「ネズミを食べる」のが危険な理由

伏せてネズミを狙う黒猫

一般的なイメージと違い、猫がネズミを食べるのが危険なのはなぜなのでしょうか。

1.食中毒

本来猫は、狩りをして獲物を食べます。猫はネズミも獲物として食べますが、ネズミは様々な病原体を持っています。特に問題になるのはサルモネラ菌でしょう。そのため、猫がネズミを食べると、食中毒になる可能性があるのです。

2~20時間の潜伏期間を経て体温が低下したり、下痢や嘔吐の症状があらわれたりする場合があります。体調が悪くなった猫、は丸くなってじっとしていることが多いです。

下痢や嘔吐で脱水症状がみられることもあるので、早めに動物病院を受診しましょう。殺鼠剤を食べたネズミを猫が食べてしまうと、猫が殺鼠剤中毒を起こす場合があります。

2.感染症にかかる

猫がネズミを食べると様々な感染症にかかる可能性があります。以下はその一部です。

「トキソプラズマ症」は、トキソプラズマという原虫に感染して起こる感染症です。猫はほとんど症状が出ませんが、稀に発熱や下痢などを起こすことがあります。感染した場合は駆虫薬で対処することが可能です。

「エキノコックス症(多包条虫症)」は、エキノコックスという寄生虫に感染して起こる感染症です。北海道にしか存在しないと考えられていましたが、埼玉県、愛知県で確認されています。猫が感染しても症状があらわれません。駆虫薬で対処することができます。

「猫条虫症」は猫条虫が寄生して起こります。猫条虫の幼虫を持ったネズミを猫が食べると、猫のお腹の中で1ヵ月ほどで片節が連なった20~30cmの成虫になります。

猫条虫に寄生された猫は、稀に下痢や嘔吐がみられます。

大量に寄生していたり子猫が感染すると、猫が痩せたり貧血を起こしたりすることがあります。

多数の虫卵を含んだ片節がちぎれて猫の排泄物やお尻周りに米粒状のものがつくようになります。駆虫薬で駆除が可能です。

3.猫から人にうつる病気がある

猫がネズミを食べたことで、人が感染症にかかることがあります。上記の感染症は、猫から人に感染する『人獣共通感染症』でもあります。

トキソプラズマに感染した猫の排泄物にはトキソプラズマが含まれていて、人の口に入ることで感染する可能性があります。猫から人への感染は稀であると考えられていますが、妊婦が感染すると、重篤な症状があらわれる可能性があります。

エキノコックスに感染した猫の排泄物には、エキノコックスや虫卵が含まれています。人が感染すると5~20年の潜伏期間があり、発見が遅れると治療が難しい危険な病気です。

猫条虫も、感染した猫の排泄物から人に感染することがあります。人が虫卵を経口摂取し感染すると、肝臓で幼虫となります。

猫がネズミを食べないような予防策とは

窓の外を眺める猫

では、猫がネズミを食べないようにするためには、どのような予防策をとれば良いのでしょうか。

猫を室内で飼育する

猫が外に出れば、遊びや食べるためにネズミを捕まえる可能性があります。

室内で飼育することは、ネズミを食べさせない目的以外にも、交通事故を防ぐ、他の猫との喧嘩で感染症にかかることを防ぐなどのメリットがあります。

ネズミを家に入れない

食べ物や生ゴミが出しっぱなしで、壁や屋根の隙間や破損して穴が開いているとそこからネズミが侵入してきます。

食べ物を出しっぱなしにしないこと、駆除業者に依頼するなどして、ネズミの侵入経路を塞ぐことで猫がネズミと出会わないようにします。

まとめ

ネズミのぬいぐるみと猫

猫はネズミを食べると様々な病原体により体調を崩したり感染症にかかったりします。猫から人にうつる感染症もあります。

猫がネズミを食べないように対策をし、もし猫がネズミを食べてしまったら動物病院につれて行きましょう。

猫と触れ合った後やトイレ掃除の後は手をしっかり洗う、過度なふれあいは控えるなど接し方にも注意が必要です。

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