1.FIP(猫伝染性腹膜炎)
FIP(猫伝染性腹膜炎)は、子猫の発症率が高い感染症のひとつです。致死率が高く明確な治療法も確立されていません。病状の進行が非常に早く、数日で重篤な状態に陥るケースもあります。猫にとって不治の病のひとつで、多くの飼い主さんと獣医療者がツラい決断と覚悟を強いられています。
FIP(猫伝染性腹膜炎)の原因ウイルスである猫コロナウイルス自体は多くの猫が元々、保有しているといわれており、感染を防ぐこと自体は難しいです。重要なのは、この猫コロナウイルスが突然変異しFIP(猫伝染性腹膜炎)の症状を引き起こさせないこと。
猫の免疫力が低下しないよう飼育環境を整え、なるべくストレスがない暮らしを提供してあげることが予防策として有効です。
2.心臓病
若い猫でも発症し、死に至ることが多いのが心臓病です。心臓病の中でも心筋症を発症するケースは多く、気付いた時には病状が進行して手遅れとなっていることも少なくありません。
心筋症の中でも、肥大型、拡張型、拘束型とタイプが分かれますが、猫の場合は肥大型心筋症が多いです。心筋症を引き起こす原因については、はっきりしていない部分もありますが猫の品種や性別、遺伝的要素によっても発症しやすさが変化します。
原因が不特定であるため、確実な予防は困難です。そのため、予防よりも早期発見が重要となります。普段から猫の呼吸数を観察し、いつもより呼吸数が増えていたら心臓病の可能性を疑いましょう。
3.ガン
人間の死因でもトップに数えられるガンは、猫にとっても危険な病気。加齢に伴い発症率も高くなります。加齢以外の原因としてストレスなども挙げられます。猫が引き起こすガンの種類も様々。発症することが多いのは悪性リンパ腫や扁平上皮癌、乳腺腫瘍などです。
猫のガンを予防するためには、日頃から猫のストレスをできるだけ軽減し、適切な生活習慣を意識することが必要となります。乳腺腫瘍の発生率は早期に避妊手術を行うことで低下しますし、白い猫に多い扁平上皮癌は紫外線に当たることで発生率が高くなりますので、室内飼育を徹底することで防ぐことができるでしょう。
それに加え、高齢になった猫を定期的に動物病院に連れていってあげることで早期発見に繋げることも大切です。
4.慢性腎臓病
慢性腎臓病もガンと同じく高齢猫の死因として上位に入る病気です。元々、猫は腎臓病を患いやすい生き物です。ただ、明確な発症原因は判明しておらず可能性として飲水量が少ない、腎臓への負担が大きいなどが考えられています。
慢性腎臓病で低下してしまった腎臓の機能は元には戻りません。飼い主が気づく症状が表れるころには腎臓の機能の約3/4が失われていると言われています。有効な治療方法も現段階では確立されておらず、徐々に進行していきます。
シニア期になったら定期的な健康診断で腎臓に異常が出ていないかチェックすることが、何よりも大切な対策といえます。
まとめ
一昔前までは放し飼いが主流だったため、交通事故や外敵に襲われて命を落としてしまう猫も少なくありませんでした。しかし現在では室内飼育が浸透し、そうした事故による飼い猫の死亡ケースは減少しつつあります。
猫の病気を予防・早期発見するためには定期的な動物病院での健康診断が欠かせません。それに加え、日頃から飼い主さんが飼い猫の状態をチェックし異変にどれだけ早く気付いてあげられるかも大切となります。
特に症状がなくても血液検査の結果病気が見つかることもあります。定期的に健康診断を行いましょう。