1.基本の心理は「リラックス」
「香箱座り」の「香箱」とは、お香を入れるフタ付きの箱のことです。猫の座法にこの名前がつけられたのは、猫が手足をお腹の下に隠して座るシルエットが長方形で、香箱のように見えることに由来します。また、香箱は茶道でも使われるので、お行儀よい雰囲気にもぴったりの名称ですね。
そんな香箱座りは、前足と後ろ足をお腹の下にしまいこむため、瞬時に動ける状態ではありません。見るからに安心している姿勢なので、緊急にそなえる必要がないときや外敵への警戒が不要なときにしか、香箱座りはできないのです。そのことからも、猫が香箱座りをするときは、極めてリラックスしている状態と考えられます。
2.寒いと感じているとき
前の足と後ろ足をおりたたんで、胴の下にきちんとしまう香箱座り。実はリラックス以外にも、寒さ対策の可能性があるのです。
よく猫は寒くなると温かい場所を求めて移動したり、温かい毛布に乗ったりしますが、香箱座りも暖をとる一種。冷たくなった手をしまって、熱が逃げないようにしてあたたまっていることがあります。
もし室内の温度が寒いようであれば、25度~28度になるよう室温を調整してください。そして冬だけではなく夏の場合も要チェック。もしかしたらエアコンで部屋が冷えすぎているサインかもしれませんよ。
3.体調不良のとき
痛みを隠しているときにも香箱座りのポーズをとることがあります。香箱座りは基本的にリラックスの姿勢ですが、もし香箱座りの状態で長時間動かないようなら、体調不良を疑ってみてください。
人間もお腹が痛いときは、お腹を抱えるように丸くなりますよね。そのように猫も腹痛で体をコンパクトにしているかもしれませんよ。また外敵に対して自分が弱っていることを悟られないようにする本能があるので、体調不良を隠しているサインであることも。
猫が機嫌が悪そうに長い時間香箱座りをしているときは、排尿、排便、食欲、嘔吐、目の輝きなど、いつもと違うことがないか、健康状態を気にしてあげましょう。
香箱座りの座り方別安心度
香箱座りにも何通りかのパターンがあります。基本的にリラックスしているときのポーズですが、詳細に分かれた猫の心理をチェックしてみましょう。
後ろ足だけ見せている
前足は胴体の中に折りこんでいるのに、後ろの足だけはみ出ている状態の香箱座り。これは、瞬発的に移動できる姿勢なら、リラックスの中にも万一に備えている状態を表す場合があります。
ただし、後ろ足の肉球が見えるほど脱力しているような状態であれば、気を抜きすぎて安心感を満喫しています。
少し前足が見える香箱座り
顔の真下に手の先だけ見えるような香箱座りもあります。そのチョコンと見えた手を「クリームパンや肉マンみたい」とSNSで語る飼い主さんも多いものです。
そんな香箱座りですが、これももちろん安心している証拠。また手をクロスしたり、手の上に顔をのせたりする猫もいます。
ただし、肉球が完全に床についている状態は、リラックスレベルは低め。いつでも逃げ出せる準備なので、少しだけ警戒しているようです。
手も足もすべて隠れている
まるで一斤のパンのように、手も足もすべて隠れてた四角いシルエットは、香箱座りの中でも最上級のリラックス状態です。「お手手ないない、お足もないない」の状況は深い安心感に包まれた至福の時間でしょう。
まとめ
猫のリラックスを象徴する香箱座りですが、実は猫以外の動物もこのポーズをすることをご存じですか?
人間の身近な存在ですと、犬やうさぎも香箱座りをします。ネコ科の動物ではトラやライオン、その他アルパカやひつじ、ヤギも香箱座りをします。また、山口県の秋吉台サファリランドで香箱座りをした熊が話題になったことも記憶に新しいですね。
このように猫以外の動物も香箱座りをする事が分かりましたが、いずれも精神状態が安定しているサインです。
なお香箱座りの他にも「スフィンクス座り」や「エジプト座り」もありますが、リラックス度は香箱座りの方が高いですよ。