猫が身体を「舐め続けている」原因とは
猫にとって身体を舐める行為(毛繕い)は、大切な日課の1つです。体臭を消して身を守る・気化熱を発生させて体温調節をする・被毛のもつれを整える・自分の心を落ち着かせるなどの役割があると考えられています。
しかし、特定の場所だけを舐め続けたり、禿げてしまうほど頻繁に行っている場合は注意が必要です。
ここでは、猫がしきりに身体を舐め続ける理由として考えられる原因を5つ紹介いたします。
1.ストレスを感じている
猫はマイペースなようで、実は繊細な生き物。慣れない人が訪問してきたり、家具の配置が変わったりしただけでもストレスを感じてしまうことがあります。
毛繕いには気分を落ち着かせたり、気持ちを切り替えたりする作用があります。そのため、猫は何らかのストレスを感じた際に身体を舐めて、平常心を取り戻そうと頑張ってしまうのです。
2.皮膚トラブル
皮膚に何らかのトラブルを抱えると、痒みから舐め続けるようになってしまいます。これは、人間が身体を掻きむしるのと同じ現象です。
根本的な原因を除去しない限り、『痒いから舐める→炎症が悪化する→痒みが増して更に舐める』という悪循環に陥ります。
猫に多い皮膚異常は、細菌やカビによる感染・アレルギーやアトピー性皮膚炎・ノミやマダニなどの寄生虫の存在です。
痒そうに毛繕いをしていたり、後ろ足で掻いたりする仕草が見られたら皮膚をチェックしてみてください。赤みがあれば皮膚炎が起きています。現段階では異常がなくても、痒みの症状がある場合は診察を受けましょう。
3.運動不足や肥満
家猫は野生の猫ほどハードな生活を送らないために、運動不足や肥満になるリスクを持っています。
運動量が足りないこと自体がストレスの要因となり、肥満体型になると身軽に動けないことからストレスを感じやすくなります。
結果的には最初に紹介したように、気持ちをなだめようと頻繁に毛繕いをするようになります。
4.落ち着かない環境にいる
愛猫にとって、今の環境が落ち着かないと過剰に毛繕いをするようになります。
特に、腹部や内股を徹底的に舐めているのであれば要注意です。酷い場合は被毛が薄くなって、皮膚が見えるほど禿げてしまいます。
また、腹部や内股は猫にとって舐めやすい位置のために、これらの部位を集中して舐めてしまいます。
5.膀胱炎や尿路結石の可能性も
猫は元々砂漠で生活していた動物なので、こまめに水を飲む習慣がありません。またたくさん飲まなくても生きられるような体質になっています。しかしそこには、「腎臓病や尿路結石、膀胱炎になりやすい」という代償がついてまわります。
尿路系にトラブルを抱えると、しきりに股のあたりを舐めるようになります。加えて、何度もトイレに行くのに尿が出ない・食欲が落ちている・元気がないなどの症状があれば、すみやかに病院で診察を受けさせましょう。
過剰な毛繕いを改善したい! 適切な対処法は?
皮膚炎やオシッコのトラブルが疑わしい場合は、診察を受けることが改善策になります。
では、「ストレス」が主な原因の場合はどうすれば良いのでしょうか。適切な対処法をいくつか紹介いたします。
縄張り(安心できる場所)を作ってあげる
猫には縄張り意識があるので、愛猫が安心して過ごせる縄張りを作ってあげましょう。
高い場所を好むのであればキャットタワーが調度良い縄張りになります。狭い場所が落ち着くのであれば、棚の一部やベッドの下などを解放してあげましょう。
尚、狭い場所はホコリが溜まりやすいのでこまめに掃除をしてあげてください。
遊びでストレスを発散させる
子猫や若い猫は夜間になると活発になります。狩猟本能が働いている時間帯なので、おもちゃで誘ってみてください。
猫にとって遊びは狩りの模擬体験です。本能を満たしながら運動することによって、ストレス発散が期待できます。
スキンシップを取る
愛猫がすり寄ってきたり、鳴きながら甘えてきた時は優しく撫でてあげましょう。気持ちに応えてあげることで安心し、緊張感やストレスが和らぎます。
室内や猫トイレを清潔にする
猫は綺麗好きな動物です。猫トイレはできるだけ清潔な状態をキープしてください。
決まった時間帯にならないと掃除ができない場合は、砂を深めにしたり、トイレの数を増やして対応すると良いでしょう。
そして、皮膚炎を予防する意味でも室内の掃除は欠かせません。
掃除機をかける余裕がなければ、フローリングワイパーで大丈夫です。水拭きをする際は、必ずノンアルコール、かつアロマを使用していないタイプを選びましょう。
まとめ
猫が身体を舐め続けているのは、ストレス・皮膚のトラブル・運動不足・尿路系の病気などが主な原因でした。
身体の病気が疑わしい場合は診察を受け、根本的な原因を排除してあげましょう。
しばしば皮膚炎を引き起こす要因に、食物アレルギーが関与していることがあります。なかなか改善しない場合は、食べているフードの成分表示を獣医さんに見せて相談してみてください。
ストレス要素が強い場合は、環境の見直しや整備をできることからやってあげましょう。心が休まること、そして飼い主さんに愛されているという実感を持たせてあげることが大切です。