猫が「誤飲」してしまう理由とは
「誤飲」とは、『有害・危険な、食べ物以外の異物を飲み込んでしまうこと』ですが、そもそもなぜ、猫は誤飲してしまうことがあるのでしょうか。
その原因は、狩猟本能です。猫生で1度も狩りをしたことがない家猫にも、獲物を狩るという本能が備わっています。
身近にある日用品やおもちゃにじゃれて遊ぶという行動は、いわば狩りの特訓。獲物に見立てて仕留めようとするため、最終的には口に入れてそのまま飲んでしまうことがあるのです。
猫が「誤飲」した時にあらわれる症状と対処法
食べ物以外のものを誤って飲み込んでしまった場合、具体的にはどのような症状が出るのでしょうか。また、どのように対処すれば良いのでしょうか。
1.吐きそうで吐けない
人体もそうですが、猫の喉にも「咽頭反射」という機能が備わっています。喉の奥に指を突っ込むと「オエッ」となる現象です。
その結果、無事に出てくれば良いのですが、上手くいかないと吐こうとしても吐き出せない状態を繰り返します。えずいて何度も口を開ける様子が見られたら急いで病院に連れて行きましょう。
尚、飼い主さんが無理やり吐かせようとするのは危険です。喉に指を突っ込んだり、掃除機で吸い出そうとするのはやめてください。
2.嘔吐を繰り返す
「吐きそうで吐けない」のとは逆に、嘔吐を繰り返すこともあります。
例えば、猫が食べると危険な食べ物(チョコレートやネギ類など)を食べた場合は、中毒症状の1つとして嘔吐します。また、人間でも危険なもの(洗剤や石鹸)などを食べてしまった際も、やはり嘔吐を繰り返します。
猫は時々毛玉を吐くことがありますが、その場で何度も繰り返すことはありません。不自然な嘔吐に遭遇したら、キッチンや洗面所などを漁った形跡がないか確認してみましょう。
原因がわかったら病院に連絡し、洗剤などの場合は本体を持って受診してください。吐物も一緒に持っていきましょう。
くれぐれも、病院から特別な指示がない限り、応急処置などは行わないでください。
3.息苦しそうにする
中毒を引き起こすようなものを口にした場合は、嘔吐の他にも「ハァ、ハァ」と息苦しそうな呼吸をすることがあります。
猫は基本的に鼻呼吸で生活しているので、口を開けて呼吸をすること自体が不自然です。誤飲の有無を問わず、診察を受けたほうが良い症状になります。
原因が誤飲によるものであれば、すぐに診てもらう必要があります。かかりつけの病院と連絡が取れない場合は、電話をかけて指示を仰ぎましょう。
4.チアノーゼが出る
息苦しい状態が続く、または中毒症状が肺や心臓に影響を与えた場合はチアノーゼが出ます。
チアノーゼは血液中の酸素が不足した際に現れるもので、猫の場合は口の粘膜や歯茎、舌や皮膚が青紫色になります。ここでも原因の有無を問わず、診察を受けてください。誤飲が疑わしい場合は尚更です。
5.ぐったりして食欲がない
猫は体調が悪いとじっとして動かず、食事も取ろうとしなくなってしまいます。お水を飲んだり、トイレにも行きません。
愛猫の身に突如このような症状が見られたら、誤飲の可能性も視野に入れてください。猫用のおもちゃも含めてイタズラした痕跡が残っていないか、無くなったものがないかなどチェックしましょう。
これまでの症状と同様に、誤飲の線が濃い場合はすぐに診てもらいましょう。
猫が誤飲しやすい日用品としてはいけない対処法
以下に紹介するものは、放置すると誤飲に繋がる可能性があるものです。猫が遊びに使えるものは、必ず片付けるようにしてください。
- 荷造り用の紐(ビニール紐紙紐どちらも危険)
- 輪ゴムやヘアゴム
- クリップやホチキスの針などの事務用品
- 舐めたら危険な洗剤類人間の食べ物
- パーツが細かいおもちゃ(猫用も含む)
- 猫用の紐状おもちゃ
なお、万が一紐状のものを飲んでしまった場合、口から紐が出た状態であれば絶対に切り離してはいけません。そのまま病院に行きましょう。
紐を切ってしまうと腸の中に取り込まれ、腸管に絡みついてしまう恐れがあります。非常に危険な状態になりますので、注意してください。おしりの穴からひもが出ている場合も引っ張らないでください。ひもが腸管に絡みついている場合、腸管が切れてしまい命にかかわります。
まとめ
猫には狩猟本能があり、じゃれて遊んだものを口に入れる習性があります。これが誤飲のリスクを高める要因でした。
たとえ猫用のおもちゃとして販売されているものでも、サイズが小さいものや紐状のものは、その都度片付けるようにしてください。ひとり遊びをさせる際は、大きな蹴りぐるみなどを出してあげましょう。
「吐きそうで吐けない」「嘔吐を繰り返す」「ぐったりして動かない」などの症状が猫に見られたら、「誤飲」の可能性を疑って、室内にあるものを確認してください。
誤飲が原因の場合は、基本的に応急処置などはせずに診察を受けてください。