猫の『歯』は抜けたり折れたりするの?5つの原因と注意点

猫の『歯』は抜けたり折れたりするの?5つの原因と注意点

猫の歯も抜け落ちることがあります。今回は、その原因や予防法、受診を勧めるタイミングなどについて詳しく解説いたします。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の歯が抜ける!!主な要因は?

猫の口

猫は虫歯にこそなりませんが、様々な要因で歯が抜けてしまうことがあります。

今回は、問題のないものから注意が必要なものまで、歯に起こる変化を5つ紹介いたします。

1.乳歯から永久歯に変わる

猫も人間のように、乳歯から永久歯に生え変わる時期があります。概ね4~6ヶ月頃がこの時期にあたります。

これは、成長過程で自然に起こる現象なので問題ありません。

口に多少の違和感を覚えるので、噛んでも大丈夫なおもちゃで遊ばせてあげると良いでしょう。

2.高齢による歯茎の衰え

高齢になると、歯を支える土台となる歯茎が衰えてしまいます。すると歯が不安定になり、自然と抜け落ちてしまいます。

歯周病や歯肉炎がなく、老化による現象であれば特に治療の必要はありません。

少しずつ柔らかい食事に切り替えて、食べやすいようにサポートしてあげてください。

3.歯周病

歯周病は、歯垢の蓄積が原因で起こるお口のトラブルです。歯茎の溝で菌が繁殖することで、歯肉に炎症を引き起こします。

老化現象との大きな違いは、よだれが増える・口臭がきつくなる・不自然な食べ方をするなどの症状が見られることです。

4. 破歯細胞吸収病巣

歯を壊す働きをする細胞(破歯細胞)が、何らかの理由で永久歯を溶かしてしまう病気です。

主な症状は、歯周病と共通しています。炎症が酷くなると痛みで食欲が減退し、歯肉も腫れてしまいます。

5.口腔内腫瘍

年齢を重ねると、腫瘍ができるリスクが上がります。お口の中も例外ではありません。高齢猫に多い口腔内腫瘍は、線維肉腫や扁平上皮癌が代表的です。

主な症状は、口臭・口内炎・できものがある・口の中に出血がある・食べたがらない(食欲がありそうでも食べられない)などです。

口腔内腫瘍はその場に留まらず、転移することが多い点が厄介な病気です。

猫にも歯磨きの習慣を!!

歯ブラシを見つめる猫

歯垢の蓄積や歯周病、歯肉炎などのトラブルは日常生活の中である程度予防することができます。その鍵を握るのが歯磨きです。

猫用の歯ブラシや、湿らせたコットンで優しく磨いてあげましょう。

今現在、子猫と暮らす飼い主さんは慣れさせるチャンスです。1度に全ての歯を磨こうとはせず、何日かに分けて確実に磨いていきましょう。

磨く行為がどうしても難しい場合は、歯磨き効果のあるおやつやおもちゃで代用しましょう。

猫ちゃん用の歯磨き粉を舐めさせるだけでもお口の環境がよくなることがあります。

病院へ行くタイミングは?

抱かれる猫

お口のトラブルは「早期発見」が重要です。

次のような行動や、症状が見られたら病院へ連れていきましょう。

  • お口からいつもと異なる臭いがする
  • 何となく食べにくそうにしている
  • 片側の歯だけで食べている
  • よだれが増えた
  • 口に手が触れることを拒否するなど

まとめ

おもちゃを噛む猫

歯が抜けるという現象の中で、子猫の歯の生え変わりは唯一喜ばしい変化です。

何でも噛んでしまう時期でもあるため、丈夫な蹴りぐるみのようなおもちゃが必要になるでしょう。

ウエットフードやペースト状のおやつが好きな猫は、若くても歯のトラブルに見舞われる可能性が高くなります。

日頃から歯を磨いて、しっかりと汚れを落としてあげてください。

猫は7歳を過ぎると、徐々にシニアへと移行していきます。歯の汚れが原因のトラブル以外にも、腫瘍のリスクが上がってくる年齢です。

愛猫がシニアになったら、年に1度は口腔内の健診を受けることをおすすめします。

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