「くしゃみ」が主症状の病気と対処法
1~2回「クシュン」という程度のくしゃみであれば、生理的なものなので特に問題ありません。
ところが連発するものや、他にも症状があるものは要注意です。
ここでは、くしゃみに関連して気をつけてほしい病気とその対応について紹介いたします。
1.猫ウイルス性鼻気管炎
猫ヘルペスウイルスが原因による上気道感染症です。通称「猫風邪」と呼ばれています。ほとんどの猫が、生涯で1度は侵されるといわれるほど身近なウイルスです。
くしゃみや鼻水、目の充血などが主な症状として挙げられます。生まれたばかりの子猫が感染すると重症化のリスクが高く、その致死率は70%以上であるといわれています。
猫風邪は症状こそ人間の風邪にそっくりなのですが、1度罹ると完治はせず、ウイルスが体内に残り続けます。ストレスなどを引き金に再発しやすい厄介な病気です。
また、余程軽いケースを除いて自然治癒することがありません。風邪のような症状に気づいたら、早めに病院を受診してください。
2.猫カリシウイルス感染症
カリシウイルスが原因による上気道感染症の1つで、ウイルス性鼻気管炎と同様にメジャーなウイルスです。
主な症状は、くしゃみ・鼻水・発熱・食欲不振・元気がなくなる、などです。このウイルスでは肺炎を併発しやすいため注意が必要です。
症状自体はウイルス性鼻気管炎と似ている点が多いので、区別が難しい場合があります。1つ違いがあるとすれば、口腔内に水疱や潰瘍ができやすい特徴を持っていることです。
ウイルス性鼻気管炎と同様に、異変があれば早めに診察を受けましょう。
3.歯の病気
意外に思うかもしれませんが、歯の病気が原因でもくしゃみが出ることがあります。
歯周病などで口腔内環境が悪くなると副鼻腔に歯周病の原因になる菌が感染したり、炎症が及びます。明確な仕組みは明らかになっていませんが、カリシウイルスは口腔内の粘膜でも増殖するので、口内炎や歯肉炎の病変からカリシウイルスが検出されることもあります。
くしゃみをする機会が増えたり、ご飯を食べにくそうにしているようであれば、やはり診察を受けてみてください。
病気の予防法
先ほど紹介した3つの病気は、次のような方法で予防することができます。
ワクチン接種
生後2~3ヶ月頃は、母乳で得た免疫を失う時期になります。この時期に合わせてワクチン接種を受けておくことで、上気道感染症を防ぐことができます。
子猫は3回、成猫は1~3年に1回程度を目安に摂取すると効果的です。このワクチン接種の間隔は個人差があり、体を守ることができる抗体価によって変わります。
完全室内飼育の猫には、3種混合ワクチンが推奨されています。このワクチンで予防できる病気は以下の通りです。
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫汎白血球減少症
猫のワクチンにおいても副反応が出ることがあります。愛猫の健康状態や生活環境に合わせて獣医師と相談の上決定してください。
歯磨きをする
日頃から口腔内を清潔に保つことも大切です。歯を磨くことで、歯槽膿漏や歯垢の蓄積を防ぎましょう。子猫の頃から少しずつ慣れさせることが理想です。
次のような手段で歯を磨きましょう。
- 猫用の歯ブラシ又は乳児用歯ブラシを使う
- 湿らせたコットンで磨く
- 歯磨きおもちゃで遊ばせる
- 歯磨き効果のあるおやつを取り入れる
療法食による食事療法を受けている場合は、獣医さんの許可を得てからおやつを食べさせてください。
新型コロナウィルスは大丈夫?
猫も新型コロナウィルスに感染することがあるのでしょうか。
残念ながらネコ科の動物は罹患率が高く、他の動物よりも罹りやすい傾向にあります。そしてやはり症状の中にくしゃみがあります。
ただし、猫は外出頻度が少ないため、過剰に神経質にならなくても大丈夫です。飼い主さん自身が手洗いや消毒を徹底することで、大切な愛情を守ることができます。
ちなみに、新型コロナ感染を起こした猫から人へ感染することはありません。
まとめ
くしゃみを伴う病気では、いわゆる猫風邪が最も身近な原因です。かかりつけの獣医さんと相談しながらワクチン接種を検討してみてください。
過去に猫風邪を引いたことのある猫と暮らす飼い主さんは、健康管理に気を配ってあげましょう。秋から冬にかけては猫風邪の再発が多くなります。風邪っぽいなと思ったら、躊躇わずに病院へ連れて行きましょう。
新型コロナウィルスもそうですが、大抵のウイルスは手を介して感染します。もう手洗い・てしょう定着していると思いますが、愛猫のためにも手をしっかりと洗うように心がけましょう。