猫の性別を判断したい
成猫の性別であれば、生殖器を確認するのが確実です。しかし、まだ親しくなる前の猫が素直にお尻を見せてくれるとは限りません。
ある調査では、猫に関係する職業に就いている人達のグループに対し、事前に外見から性別を見分けるトレーニングを行った上で、写真の猫の性別を当てさせたところ、正答率は60%(偶然以上のレベル)にしかならなかったそうです。
外見だけで完璧に猫の性別を見分けることは相当難易度が高いということなのでしょう。
個体差もあれば、去勢・避妊手術を行った時期による性ホルモンの影響の強さにも違いがみられます。
それでも、動物に関わる職業の方も含めて広く言われている、猫の外見による性別の判断ポイントを知っていれば、役に立つはずです。
今回は、猫の性別を見分けるための手がかりとなる、外見のポイントについてご紹介します。
子猫編
猫の性別を見分けるためには、生殖器を確認するのが一番確実です。しかし、生まれたばかりの子猫ではまだ生殖器が発達していません。
しかし、生殖器以外の性差も現れていないため、判断基準は結局生殖器に頼らざるを得ません。
尻尾を上に持ち上げて猫のお尻を覗くと、上から順に肛門、生殖器の順に並んでいます。
生殖器と言っても内訳にはいろいろな器官があり、外側から目視できる生殖器には明らかな性差が現れます。
オスの場合は肛門、陰嚢(睾丸が入っている袋)、ペニスの順に並んでいます。
メスの場合は肛門、会陰の順に並んでいます。ペニスと会陰は、生殖器であると同時に尿が出てくる出口でもあります。
子猫の場合、まだ睾丸が非常に小さいため見た目ではほとんど分かりません。しかし、実際に存在はしているため、肛門とペニスの間の距離が長くなります。
逆に言うと、メスの場合は肛門と会陰の間の距離が短いです。同時期に生まれた猫ちゃんでオス・メスともいる場合は見比べてみると一目瞭然です。
成猫編
生殖器
成猫のオスの場合は、はっきりと陰嚢を確認することができます。横に2つ並んだ丸い袋で、ωのような形状に見えます。メスの場合は、成猫になっても生殖器の外見は変わりません。
なお、去勢手術を行った猫は睾丸が取り去られてしまいますが、陰嚢の皮は残っていますので、未去勢のオスほどではありませんがはっきりと識別することができます。
顔つき
生殖器の確認が一番確実なのですが、素直にお尻を見せてくれる猫ばかりだとは限りません。そこで次にポイントとなるのが、顔つきです。
一般的に言われているオス猫・メス猫の各特徴を下記にご紹介します。
<オス猫らしい顔の特徴>
- 喧嘩で噛まれるため頬の皮が厚くなり、顔が横長に大きい
- ウィスカーパッド(口の上のヒゲが生えている部分)がふっくらとして大きい
- 鼻が大きく、鼻筋の幅が太い。両目の間の幅と鼻の横幅にあまり差がない
- 目の大きさはメスと変わらないが、顔の大きさとの対比で目が小さく見える
<メス猫らしい顔の特徴>
- 頬の皮が厚くなく、顎も小さいため丸い小顔に見える
- ウィスカーパッドの膨らみが小さく上品な印象である
- 鼻が小さく、両目の間の幅から鼻にかけての鼻筋が逆三角形に見える
- 目の大きさはオスと変わらないが、顔の大きさとの対比で目が大きく見える
体型
オスはメスよりも体格(骨格)が大きいです。特に頭と肩と足先の大きさが際立っています。
大型ネコ科動物に例えて、メス猫はチーターの体型、オス猫はオスライオンの体型に似ていると言われています。
毛色
猫の毛色を決める遺伝子の中には性染色体と連動しているものがあるため、毛色から性別を識別することができる場合もあります。
三毛猫やサビ猫はほぼ100%がメス猫です(オスの場合は性染色体異常です)。また、茶トラや茶白の猫は、約80%の確率でオス猫です。
まとめ
まだ性差がはっきりと現れる前の子猫の時に性別を見分ける基準や、成猫を外見から見分けるためのポイントをご紹介しました。
生殖器を確認できるのが一番確実ですが、それが難しい場合は顔つきや全身の体型等をベースに見分けることができます。
避妊去勢手術を早期にしていると外見での性差が出づらい場合があり、完全に見分けられるわけではありませんが、ピンポイントではなく、なるべく顔や全身、毛色などを広く観察して見分けてみてください。
最近は、待合室で里親募集中の保護猫たちを飼育している動物病院も増えています。機会があったら練習してみてはいかがでしょうか。