猫が『好きな色』『苦手な色』ランキングTOP3

猫が『好きな色』『苦手な色』ランキングTOP3

猫はどのように色を識別しているのでしょうか。そして猫には好きな色と嫌いな色が存在するのでしょうか。本記事では猫が見ている色について、猫が好きな色と嫌いな色について我が家の猫の例を交えてご紹介したいと思います。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫が認識している色は?

猫の目

猫は人間ほど色を多彩に認識することができません。昔は猫は全色盲であると考えられていたこともあったそうですが、現在は様々な濃淡のグレーに青から緑、黄色が加わった色で物を見ていると考えられています。

色を認識するのは、感光色素を含んだ「錐状体」という種類の視細胞の働きによるものです。人間にはこの錐状体が3種類ありますが、猫には2種類しかないと考えられています。また、その錐状体の数も人間より少ないそうです。

2種類あると考えられている猫の錐状体は、青を感知するものと黄色を感知するもので、3色型の色覚を持つ人が持っている赤を感知する錐状体を猫は持っていないので、赤やオレンジなどは3色型の人とは全く違った色に見えるのです(赤は黄色がかったグレー、オレンジは黄色に非常に近いグレーに見えるようです)。

猫が『好きな色』3選

ピンク背景の猫

その1.黄色・緑

猫の認識しやすい色としてよく言われている色です。自然界には黄色や緑が多いから…とも言われています。

実際に「猫じゃらしは緑か黄色でないと遊ばない」という話もよくあるそうです。

その2.蛍光色

エナメル素材のようにテカテカと光沢のあるものは好きではないと言われることもある猫ですが、蛍光色は好きな子が多いと聞きます。

蛍光色のおもちゃなどもよく反応する猫が多いと聞きます。

その3.ピンク

猫は赤系の色はそのようには見えていなく、黄色とグレーの濃淡として見えている…と言われていますが、なぜかピンクが好きな猫が多いという話はよくあります。実際にうちの猫の1匹もピンクが大好きで、おもちゃもピンクのものでないと遊ばなかったりします。

なぜピンクを好む猫が多いのかは分かりませんが、「猫にも色の好みがある」と思えますよね。

猫が『嫌いな色』3選

黒い背景で警戒中の猫

その1.黒

猫の多くが黒を嫌っていると言われていると思います。理由については分かりませんが、「天敵のカラスが黒いから」「黒は威圧感があるから」など様々な理由が言われているようです。

我が家の猫も家族が黒い衣類や黒っぽい表紙の雑誌を置いている場所には怖がって近づかなかったり、時には果敢に猫パンチをしに行くこともあります。

我が家で飼っている黒猫については、ずっと一緒に生活しているので「怖い」とは思っていないようですけどね。

その2.紺色

黒が大嫌いな我が家の猫が、黒の次に嫌いな色は紺色でした。

黒に近い色だからでしょうか、慣れるまでは紺色も「黒」と同じように警戒していました。

人見知りしない猫が紺色の服を着た人間だけは警戒した…という話も耳にしたことがあります。

その3.真っ白

自然界にも白いものは存在しますが、真っ白なタオルや真っ白な白衣のように「真っ白」なものはあまりありません。白とは色々な波長の光を反射してしまう色ですが、人工的に作られた真っ白なものは、猫にとっては光ったように見え嫌がる場合があるそうです。

まとめ

絵具を見つめる猫

猫にも色の好みがあったとしても、もちろん好みは猫によって様々なので、嫌いな色として上記に挙げた黒であっても好む猫や全く気にしない猫はいるでしょう。

今回記事を執筆させていただくにあたって調べてみたところ、ピンクが好きだという猫が意外にも多いことにビックリしました。

皆さんの愛猫にも色の好みが存在するかもしれません。もし判明したら、愛猫が普段使うものを好きな色にしてあげてみるのはいかがでしょうか♡

【猫の色の好みについて獣医師の補足】

 猫の色の見え方については上記の通りです。よく「猫には〇色は見えない」という表現を見かけますが、それはその色を持つ物体を猫はよく見ることができないという意味ではなく、猫にとってその色は、3色型の人が見ている色とは全く違った色に見えている、という意味です。ただ、3色型の人(動物)であれば全く違う色として容易に区別できる組み合わせの色でも、猫のように2色型の色覚を持つ動物には同じような色に見えて区別できない組み合わせの色はあります。赤と緑がその代表例です。

 この記事に書かれているように、猫にも色の好みがあるように思える話はたくさんあります。しかし実際のところは、そのお気に入りのおもちゃは何でお気に入りなのか、色のせいなのかどうかは判断するのが難しいことも多くあり、もしかしたら触感や動き、跳ね方などでそのおもちゃが好きなのかもしれません。また猫にとって、黄色は黄色、緑は黄色~グレーに見えますが、色は他の色との対比によって見えやすいか見にくいかが決まるもので、黄色や緑だから見やすい、または見えにくいということではありません。赤と緑は猫にとって区別しにくい色だと説明しましたが、もし赤い絨毯の上に緑のおもちゃがあったら、猫はそのおもちゃに気づきにくいかもしれません。ただ、絨毯やおもちゃも、素材や形による光の反射の仕方に違いがあります。単に区別しにくい2色だからと言って、猫がその物体を見ることができない、存在に気づきにくいとは限りません。また、猫がピンクや蛍光色が好きという科学的根拠は現在のところ見当たりません。ピンクや蛍光色の物体からの光の出方に何か理由がある可能性は考えられるかもしれませんね。

 また猫が嫌いな色についても、黒や紺などの濃い色は猫に圧迫感や恐怖を与えるのかもしれませんが、これについても示すことのできる根拠はありません。ただ、猫が本来活動する時間帯である薄暗い時間には、黒は紺などの濃い色の物は詳細を把握しにくいでしょうから、警戒する対象となることは自然なことのようにも思います。人工的な真っ白な物については、白い物にブラックライト(紫外線)を当てた時に見える色のように、猫には光って見えると言われています(猫は紫外線が見える可能性も指摘されています)。ですので、真っ白な物は猫にとって落ち着ける色ではなく、猫を落ち着かせたければパステルブルーやパステルグリーン、パステルパープルが良いそうです。

獣医師:木下明紀子

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