猫はよだれを垂らさない!?
猫は、犬のようによだれが目立つ動物ではありません。鼻呼吸がメインなので、唾液の分泌が促されても垂れてくることがないのです。
ただし、次のようなケースでは自然とよだれが出てくることがあります。生理的なものなので、心配しなくても大丈夫です。
空腹時や食事中
食事の時間が近づくと、消化に備えて唾液の分泌量が増えます。ダラダラとよだれを垂らすことはないものの、口の中がいつもより湿った状態になります。
そして食事中も、口の間からポロッとフードが溢れると同時によだれが出ることがあります。何れにしても、自然なものなので問題ありません。
苦い薬を飲んだ時
病気の治療では、苦い薬を処方されることがあります。特に粉薬を水で溶かしたときや、苦いシロップを飲んだときは一時的によだれを垂らします。
"ブクブク"と泡を吹くようによだれが出てくることもあります。初めて見るとびっくりしてしまうかもしれませんが、少しの間だけなので見守ってあげましょう。
病院に行ったほうがよい症状
生理的なよだれとはとは異なり、病気が潜んでいるものもあります。ダラっと垂れてくるよだれの他に、次のような症状があれば診察を受けてください。
1.口臭
歯周病や口内炎などのお口のトラブルを抱えた猫は、口臭が出てきます。
痛みから「食べたそうにしていても食べられない」という行動も見受けられます。猫の口腔内の病気は難治性のものが多いので、早期発見が大切です。
さらに口臭は、内臓の病気でも見られる症状です。例えば腎不全が進行すると、アンモニア臭が目立つようになります。糖尿病では甘いケトン臭が出現します。
猫の呼気は、通常食べているフードの匂いしかしないものです。その他の嗅ぎなれない口臭があれば要注意です。
2.パンティング
猫の呼吸は鼻呼吸が基本です。
ハァハァと口を開けた呼吸(パンティング)が見られる場合は、呼吸困難を起こしています。緊張や興奮が原因で起こる口呼吸はしばらくすると落ち着きます。
熱中症や肺の疾患、喘息などがあると継続的に口呼吸になったり、頻繁に見かけるようになります。
3.痙攣(けいれん)
横になった状態でビクビク激しく動く、または飛び跳ねるような不自然な動きが見られる場合は、痙攣を起こしています。
痙攣は主に、脳の病気(てんかんや脳腫瘍など)が背景にあると起こる発作です。これ自体は自然と治まります。発作時は体に触れず、周囲に危険なものがあれば片付けるようにしてください。
痙攣の原因には誤飲による中毒も考えなければなりません。柔軟剤や農薬、人間用の薬は手の届かない場所で保管するように心がけましょう。
痙攣が起きた場合は、できれば動画を撮り、発作が落ち着いてから病院を受診してください。
4.頻繁な嘔吐や食欲不振
猫は嘔吐の多い動物です。その理由は、毛玉の排出や空腹時の嘔吐などがあるからです。これらは生理的なもので、一時的に起こります。
注意してほしいのは、頻繁な嘔吐や食欲不振です。これらの症状は食道にダメージを与え、食道炎を引き起こします。食道粘膜の刺激から、よだれも増えてきます。
中毒症状がある場合も、嘔吐や大量のよだれが見受けられます。ユリ科の植物やチョコレートを食べてしまうと命に関わる中毒を引き起こすので、手の届くところに置かないように気をつけましょう。
危険なよだれを防ぐには?
急を要するような危険なよだれの中には、未然に防げるものがあります。具体的な予防策を挙げてみます。
- 危険なものや食べ物は戸棚に収納する
- 熱中症対策を行う(室温管理水分補給)
- キレイな歯を保つ(猫にも歯磨き習慣を)
- 必要に応じて血液検査を受ける
猫は元々、腎臓病や尿路結石になりやすい特徴を持っています。
中でも「罹りやすい猫」がいるので、リスクが高い場合は時々血液検査を受けておくと安心です。(15歳以上の猫全般・他シャム猫・ペルシャ猫・アビシニアンなど)
まとめ
生理的な唾液の分泌を除き、猫はよだれを垂らす頻度は少ない動物です。大量のよだれは、何らかの不調のサインです。日常生活の中で予防できるものは積極的に防ぐように心がけましょう。
それでも予期せぬアクシデントは起こり得ます。違和感があれば、迷わず診察を受けてください。