【危険!】猫に絶対『人間の薬』を与えてはいけない理由3つ

【危険!】猫に絶対『人間の薬』を与えてはいけない理由3つ

実は動物病院で扱う薬には、人間と同じものも多くあります。しかし猫と人間では大きく異なる点がいくつかありますので、猫に個人判断で人間用の薬を使用するのは大変危険です。今回は「なぜ人間用の薬を猫に使うと危険なのか」について解説いたします。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.代謝の仕組みが違うから

男性と猫の顔アップ

摂取した薬を排出する「グルクロン酸抱合」

摂取された薬は身体の中を巡った後、正しく排出される必要があります。

薬の多くは油や水に溶けにくいため、体の中で酵素によって水に溶けやすい形に変換される「抱合」が行われます。

「グルクロン酸抱合」は非常に水に溶けやすい性質を持つグルクロン酸を薬と結びつけて、摂取した薬を体の外に排出する代謝です。

猫はグルクロン酸抱合に使う酵素を持っていない

猫はこのグルクロン酸抱合に使われる酵素を持っておらず、グルクロン酸抱合ができません。そのため摂取した薬が正常に排出されず、体内に残り続けて中毒症状を起こすリスクが高いのです。

2.猫のために用意されていないから

薬袋を持つ女性

動物病院では獣医師が「猫のため」に処方する

実は動物病院で扱う薬には、人間と共通するものが多くあります。動物の場合も人間の場合も、有効成分が共通していることが多いためです。

獣医師は薬を「犬の場合」「猫の場合」「その子の体格や病状」などを計算し、適した種類と量の薬を処方します。

猫と人間では体のつくりも大きさも異なるため、たとえ同じ種類の薬であっても、病状に適した量や摂取回数が異なります。

もちろん市販薬も、猫への使用を想定して作られていない

処方なしで購入できる「市販薬」は副作用が出にくいように、独自の配合がなされていたり、量が少なめであったりして処方薬と異なる点があります。

市販薬であっても安全に使用できるように量や回数などの基準が設けられていますが、もちろん猫への使用を想定して作られていません。

3.人間に安全でも猫に危険な成分があるから

お薬手帳と錠剤

おなじみの薬に猫には危険な成分が!

鎮痛剤として処方されるロキソニンは「ロキソプロフェン」を主成分とし、強い作用かつ副作用が少ないため、人間にはとても心強い薬です。

しかし猫の場合は「腎不全」、「嘔吐」、「出血」などを起こす恐れがあるため、使用してはいけません。

そして人間用の風邪薬や鎮痛剤に多く使用される「アセトアミノフェン」という成分は、猫の肝臓では正常に代謝することができません。

猫が摂取してしまうと赤血球の破壊、末梢血管の収縮、肝臓の壊死などを起こす恐れがあり、死に至ることもある成分です。

このように、私たちにとっては有用な薬であっても、猫にとっては有害となるものもあるのです。

漢方薬やサプリメントにも要注意成分が!

ダイエットやアンチエイジングなど、嬉しい効果があるとされる「α-リポ酸」ですが、猫が摂取すると重度の「低血糖」や「急性肝毒性」を起こす恐れのある要注意成分です。

たとえ少量の摂取であっても低血糖の危険があると言われており、α-リポ酸による中毒は予後が非常に悪いため、大変危険です。

慢性胃腸炎や貧血、風邪などに効果があるとされる漢方の「芍薬(シャクヤク)」は、猫に有毒な成分を含むキンポウゲ科の植物です。

猫が芍薬成分を含む漢方薬を摂取してしまうと、嘔吐やけいれんを起こす恐れがあります。

まとめ

錠剤のニオイを嗅いでいる猫

猫と人間では体の大きさだけでなく、薬の代謝能力や有害になる成分が異なります。

動物病院では人間と同じ薬を扱うことも多いのですが、獣医師はしっかりと猫に安全で効果的に使用できる種類や量を考えて処方します。

薬だけでなく、サプリメントや漢方にも人間には有用で猫には有毒となる成分もありますので、人間用の薬は猫に絶対に使用しないようにしましょう。

個人判断で薬を使用する前に、獣医師の診察を受けることが大切です。

スポンサーリンク