猫の「変形性関節症」とは?
7歳では70%、11歳ではなんと93%が患っている!
猫は瞬発力がとても優れており、助走もなしに高い場所にジャンプできる運動神経抜群な動物です。しかし関節に少しずつ負担が溜まり、歳を重ねると関節にトラブルを抱える子がとても多くいます。
ある動物病院の情報によると、7歳の猫では70%が、11歳の猫では93.8%が関節に炎症を抱えているそうです。
軟骨や周辺組織が変形してしまった状態
猫の関節炎の多くは、関節の軟骨とその周辺組織が変形してしまうことで炎症を起こす「変形性関節症」であると言われています。軟骨や周辺組織は骨と骨の連結部分である関節のスムーズな可動に欠かせない部位で、そこがなんらかの原因によって変形してしまうことで痛みや不具合が出てきてしまうという状態です。
変形性関節症はどの関節にも起こり得るものですが、特に負荷のかかりやすい
- 肘関節
- 股関節
- 膝関節
- 脊椎
で多く起こります。
加齢だけでなく他の疾患が原因であることも!
変形性関節症には「一次性」と「二次性」があり、その原因が異なります。一次性は原因がはっきり解明されておらず、加齢に伴う関節の不具合であると考えられています。一方で二次性は「他の原因によって起こった二次的な関節炎」です。
その原因となるのは、
- 前十字靱帯断裂
- 膝蓋骨脱臼
- 股関節形成不全
- 骨軟骨異形成症
などの整形外科疾患や怪我があります。特徴は特定の猫種によく見られる「遺伝的な整形外科疾患」も多いことです。ケガに気をつけるだけではなく、愛猫の品種によっては若い頃から気にかけてあげる必要があります。
また、このような疾患だけではなく
- 肥満
- 大型種で骨関節への負担が大きい
など、体型が関節に大きな負担となりやすい場合もあります。
変形性関節症の症状
変形性関節症は関節に痛みが出ることも多く、
- 毛づくろいをしなくなる
- ジャンプして高所に上らなくなる
- トイレの段差で出入りがしにくそう
- 立ったり座ったりがスムーズにできない
- 怒りっぽくなる
- 触ると痛そうにする
などの様子が見られることが多くあります。
高齢になるとともに猫も運動量が減ってくるため、愛猫が高齢である場合は飼い主さんが異変に気付きにくい傾向があります。
加齢による衰えは仕方がない部分でもありますが、愛猫が強い痛みや違和感を覚えている恐れがありますので「早期に異変に気付いてあげること」が重要です。
変形性関節症の予防法
一次性では原因が解明されていないということ、二次性では遺伝的な要因で特定の猫種に多く見られる整形外科疾患が原因となることもあり、変形性関節症は完治する方法がないことが現状です。
それゆえに「生活習慣」を健やかに保つことが最も重要となります。
- 1.早期発見早期治療開始を心がける
- 2.猫種によっては若いうちから注意しておく
- 3.肥満にならないよう気を付ける
- 4.年齢に見合った適切な運動を行う
- 5.滑る落下など怪我を防止する対策
など、愛猫の生活が安全で健康的なものになるよう管理してあげることが大切です。
遺伝的な要素が強い整形外科疾患を起こしやすいとされる
- スコティッシュフォールド
- シャム
- デボンレックス
などの猫種である場合は、若い頃から骨関節に注意してあげると安心です。
まとめ
7歳ですでに70%が抱えているとされる変形性関節炎は、原因となる疾患を治療したり肥満を解消したりするほかには、完全な治療法がありません。
もし変形性関節症を起こしたら、最も優先されるのは進行を遅らせることや痛みの緩和です。遺伝的に骨関節のトラブルが起こりやすい猫種だけでなく、11歳の猫のほとんどに起こるとされていますので、愛猫が若くて元気なうちから「骨関節の健康」も意識して生活を整えてあげることが大切です。
筆者の愛猫も11歳を超え、近年は高所に上らなくなったと気付きました。高齢猫には激しい運動はNGですが運動しなさすぎも良くないので、無理なく上り下りできるゆるやかなステップを設置してあげました。
穏やかな運動を続けて、できるだけ関節の健康を温存してあげたいですね。