猫が高血圧になった時の症状
視力のトラブル
高血圧になると眼の血管にもトラブルが起こりやすいです。物を見るために重要な網膜の血管が高血圧によって傷付いて出血する「高血圧性網膜症」を起こしたり、さらに悪化すると網膜が浮いてきてしまう「網膜剥離」を起こしたりすることも。
網膜剥離や前房という部分で出血が起こるのは「高血圧性脈絡膜症」といわれ、突然失明に至ることもあります。
- 物にぶつかる
- 以前より黒目が大きく感じる
- 行動的でなくなる
- 夜鳴き
など、視力が低下したことの不安感や些細な異変が兆候として表れることがあります。夜鳴きがひどくなるのは「視力が落ちたことによる不安感」という疑いもありますが、「高血圧による頭痛」によるものの疑いも強いです。
脳のトラブル
高血圧の状態は脳にも悪影響が出ます。血圧が上がって脳が傷付いてしまうと「高血圧性能症」を起こし、運動や平衡感覚を司る神経のトラブルに繋がります。そうするとフラついてうまく歩けなくなってしまったり、悪化すると発作を起こしてしまったりすることもあります。
- フラつく
- 運動失調
- 眼振
- 虚脱
などの症状として表れることがあります。
腎臓のトラブル
猫は高齢になると、その多くが「慢性腎不全」を起こしてしまいます。高血圧によって腎臓へのダメージがさらに大きくなり、腎臓の機能を助けようとして血圧がさらに上がってしまうといった悪循環を起こすことも。多飲多尿やタンパク尿など腎臓のトラブルが起こった時、血圧も上昇している恐れがあります。
心臓のトラブル
高血圧の状態は心臓にも大きな負担がかかっています。血液を循環させるポンプ役は心臓ですので、血圧と心臓の状態は大きく関係しています。血圧が高いから心臓にトラブルが起こるのか、心臓のトラブルによって血圧が高くなるのかは判断が難しいです。
- 運動を嫌がる
- 心雑音
- ギャロップ音
- 不整脈
- 心肥大
などの症状が見られることがあります。
愛猫の高血圧を予防するには
1.高血圧に関係する病気の「早期発見と治療開始」
猫の高血圧は他の病気によって二次的に起きることが多くあります。
- 腎臓病
- 甲状腺機能亢進症
- 高アルドステロン症
以上は症状に高血圧がある代表的な疾患です。割合は少ないものの、糖尿病によって血圧の上昇が見られることもあります。このような基礎疾患を予防すること、早期発見の意識を高めることが高血圧の予防にも繋がります。
特に慢性腎不全と猫はとても関係が深いため、
- 飲水量を減らさない工夫
- トイレを清潔に保ってストレスを無くす
- 1日のおしっこの回数や色などをチェックする
なども若いうちから意識しておくと良いでしょう。
2.「老化現象」と早合点しない
運動神経が優れている猫でも、老化現象によって高いところにジャンプができなくなったり、足元がおぼつかずにフラついてしまったりことがあります。
視力が衰えたり、運動してもすぐに疲れた様子になったり、寝てばかりいるなどという異変を「歳だから」と早合点してしまいがちですが、実はそれが高血圧の症状である疑いもあるのです。
飼育の意識、フードの質、医療の向上などによって猫の寿命が伸びている現代では、歳を取ってから過ごす時間が長くなりました。愛猫の些細な異変をスルーせずに受診することが、病気の早期発見に繋がります。
そして、元気なうちから定期的に健診を受けることも大変重要です。せめて尿検査や血液検査だけでも、年に1回は健康診断を受けると理想的です。
3.年齢をケアするフードを検討する
キャットフードには年齢のステージごとに種類分けされているものがたくさんあります。猫の好みと体調にピタリとくるフードがいちばんですが、7歳頃からフードをシニア用に切り替え始めるのも身体への負担軽減になることが期待できます。
「シニア用」として設計されているフードには
- 塩分控えめなもの
- 腎臓に負担をかけないミネラル配分のもの
- 低タンパクのもの
など年齢による負担、特に腎臓に優しいフードが存在します。かかりつけの獣医師に相談すると、愛猫の年齢や体調におすすめのフードについてのアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ
猫の高血圧症は、猫の代表的な疾患である「腎臓病」にも大きく関係しているということがわかりました。
猫が高血圧になると眼、脳、心臓、腎臓に症状が表れやすく、その症状は「老化によるもの」と感じやすいことに注意が必要です。
高血圧になると頭痛や運動失調など、愛猫にとって辛い症状もあります。少しでも違和感を感じたら念のために受診する習慣をつけておくと安心です。
猫は緊張によって強い興奮状態になりやすい子も多いので、病院で血圧を測ると正確な数値よりも高めに測定されてしまいやすいです。できるだけ正確な数値を知るためにも、日頃から愛猫の「病院嫌い」をできるだけ軽減させておくことも大切かと思います。