猫に『ドックフード』がNGな5つの理由

猫に『ドックフード』がNGな5つの理由

犬と同居する猫は、ドックフードを食べてしまうことがあります。少量であれば問題ないことが多いのですが、主食にはできません。今回は、猫にドックフードが良くない理由についてご紹介いたします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫がドックフードを盗み食い!大丈夫なの?

犬にすり寄る猫

猫と犬が同居していると、フードを盗み食いしている場面に遭遇することがあるかもしれません。自分が食べているフードとは明らかに異なる風味に興味を持つのです。

猫が犬のフードを食べても大丈夫なのでしょうか?後ほど詳しく紹介しますが、主食にすることは好ましくありません。

ただ、ほんの少し食べただけで体調を崩すことは稀です。アレルギーの観点から危険が及ぶ場合はあるものの、大半はそれほど大きな問題には発展しないでしょう。味見をしてしまったからといって慌てなくても大丈夫です。

なぜ主食にしてはいけないの?

横取りを拒む犬

愛猫が好むからと、ドックフードを主食にしてはいけません。この最たる理由は、必要な栄養素の違いです。猫は完全なる肉食動物、犬は雑食寄りの肉食動物になります。

それぞれ必要とする栄養素が大きく異なるため、適したフードを食べることが健康を維持するうえで重要なのです。

猫が日常的にドックフードを食べてしまうことへの注意点を5つご紹介いたします。

1.タウリン不足になる

舌を出す猫

私たち人間や犬は、アミノ酸からタウリンを合成する能力が高い動物です。合成には肝臓が関与しています。肉食動物である猫は、人間や犬と肝機能が異なるため、タウリンを合成する能力が不足しています。

タウリンが不足する「タウリン欠乏症」になると、網膜や心臓、神経や免疫系統に悪影響を及ぼします。これを予防するために、キャットフードにはドックフードよりも多くのタウリンが配合されているのです。

ドックフードを主食にすることで、自ずとタウリン不足になってしまいます。

2.タンパク質が不足する

運動する猫たち

肉食動物である猫は、タンパク質の分解が得意なため、より多くのタンパク質を補わなければなりません。子猫は子犬の1.5倍、成猫は成犬の2倍程、タンパク質の維持量を必要としています。

タンパク質は筋肉やホルモンの生成に欠かせない成分です。高所へ飛び移る、キャットタワーをよじ登るなどの猫らしい動きは発達した筋肉も一役買っています。

ドックフードでは、猫が必要とするタンパク質量を確保することができません。

3.塩分量(ナトリウム)の違い

水を飲む猫

猫のフードには微量の塩分が含まれています。塩分の取りすぎは禁物ですが、全くとらないことは猫の健康に害を与えます。キャットフードのナトリウム最低基準は100gあたり0.2%以上と決められています(AAFCO)。

ドックフードの場合は0.08%とですので、猫がドッグフードを食べているとナトリウムが不足します。

4.ビタミン不足になる

毛繕いをする猫

猫の体内では、ナイアシンやビタミンAを作り出すことができません。ナイアシンが不足すると皮膚炎を起こす可能性があります。ビタミンAは発育の促進、暗がりでものを見る視覚機能、細菌から身を守るなどの重要な役割を持ちます。

これらを体内で合成することが可能な犬は、フードで積極的に摂取する必要がありません。つまりドックフードでは、ナイアシンやビタミンAを必要量補うことができないのです。

5.消化不良を起こす

犬と猫の食事

雑食の要素が強い犬のフードには、肉類の他に、野菜や食物繊維が含まれています。猫がドックフードを主食として食べた場合、食物繊維を摂りすぎてしまう恐れがあります。

これが、下痢や便秘などのいわゆる消化不良の原因につながる可能性があります。

犬にキャットフードもNG!

猫に鼻を触られる犬

キャットフードは微量の塩分や、豊富な栄養素が詰まっています。その分、美味しいと感じる仕上がりになるのです。

犬がキャットフードを好むことも珍しくありません。しかし、栄養過多による肥満や塩分の摂りすぎになる可能性が考えられます。犬がキャットフードを主食にしてしまうのも好ましくありません。

まとめ

餌箱に触れる猫

ドックフードを少量食べた程度では、大きな問題は生じないことがほとんどです。一方で、主食にしてしまうと栄養不足や消化不良などの原因に繋がる恐れがあります。

猫の主食は、猫の総合栄養食です。獣医さんの診断の元に食事制限が必要な猫は、療法食が主食になります。

猫がドックフードを食べること、犬がキャットフードを食べることは控えるようにしてください。

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