猫の血便の危険性
猫の血便には早めの対処が必要なケースが多いです。様々な病気や中毒などで起きているからです。血便の種類もいくつかあり、全体が黒いタール便、鮮血が混じる便、表面に血が付く便、血の下痢をする、などです。
猫の血便の原因
血便になる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
寄生虫
寄生虫により血便が出ることがあります。
トリコモナス症
「トリトリコモナスフィータス」という原虫(病原性を持っている単細胞生物のこと)が、大腸に寄生することで起こります。血便はもちろん、粘液便も症状として現れます。この原虫に汚染された便が感染源ですので、猫の排泄物はなるべく早く片付けましょう。
コクシジウム症
原虫のコクシジウムが腸管に寄生することで起こります。健康な成猫では保有していても無症状の場合がほとんどです。ですが、6ヶ月以下の免疫力の弱い子猫の場合は、ストレスなどからコクシジウムが増殖して血便や粘液便、下痢、嘔吐などを起こすことがあります。
鉤虫症
鉤虫は腸に寄生して血を吸って生きています。特に子猫の場合、粘血便が起こりやすいです。感染している猫の便や、母猫からの直接感染が原因となります。
熱中症
熱中症で血便が!?と思うかもしれませんが、重篤な症状として血便が起きることがあります。体温が41度以上になると危険です。熱中症による血便が出てしまった場合は、完全な回復は見込めないとされています。
毒物
自然界に自生している植物の中には、猫にとって危険なものが多く存在します。人間にも身近な植物がありますので、愛猫が口にしないよう注意しましょう。猫が食べると血便を起こす植物は以下の通りです。
- ナス
- トマト
- ジャガイモ
- チューリップ
- ジンチョウゲ
- ニセアカシア
- オキナグサ
- ヒヨドリジョウゴ
お気づきのようにナス・トマト・ジャガイモ・チューリップは、日常的に家の中にあることが多いと思います。愛猫の手の届かない場所にしまっておきましょう。
消化器系の病気
消化器系の病気により血便となることもあります。
大腸性下痢症
基礎疾患や寄生虫、誤飲や食物アレルギーなどにより、腸内の水分量のバランスが崩れ、血便や粘液便、嘔吐、しぶり便(出そうとしても出ない)などの症状が現れます。
胃潰瘍
基礎疾患や寄生虫、薬剤やストレスなどにより、胃の粘膜に傷がついてしまった状態です。猫では稀な症状ですが、胃潰瘍になると血便や吐血などが起こることがあります。
慢性腸疾患
原因不明の疾患で、長期間に渡って下痢や血便が起こります。抗炎症治療や免疫抑制治療には反応がありますが、食事療法や抗生物質、駆虫剤には反応を示さない、という特徴があります。治療法について様々な研究がされており、確立されつつある病気です。
ガン
大腸やその周辺器官にガンやポリープができているために、血便が生じる場合もあります。猫がガンになることは稀だと言われていますが、定期検診を受けさせるなどして注意するに越したことはないでしょう。
血液の病気
血液の病気でも血便となることがあります。
血小板減少症
血小板とは、血液中にある血を固める働きをする細胞成分の一種です。その数が骨髄や脾臓の異常、感染症、腫瘍などにより著しく減少することにより血便や血尿などが起こります。
猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症ウイルスに感染することで起こる病気です。心臓に症状の起こる心筋型と腸に症状が起こる腸炎型があります。
腸炎型にかかると血の下痢が起きたり、嘔吐したりして、最悪の場合は臓器全部が機能しなくなり、死に至る怖い病気です。獣医師が最も嫌う病気の一つだそうです。3種混合ワクチンの摂取により予防することが可能です。
プロトテカ症
藍藻類の一種であるプロトテカによって起こる、日和見感染症です。日和見感染症とは、普段は無害なものが、免疫力が低下した時に力を発揮し、良くない症状を起こすことです。プロトテカは汚い水に存在しており、猫以外にも犬や人間など、温血動物に感染します。血便、下痢、体重減少などを引き起こします。
便秘
便秘によって固くなった便が大腸を傷つけ、大腸に炎症が起きると、便の表面に血がついて血便になることがあります。すぐに命に関わる訳ではありませんが、愛猫も辛いでしょうし、放っておくのはやはり良くありません。早めに対処してあげましょう。
猫が血便をした時の対処法
愛猫が血便をしたらどうしたら良いのでしょうか?まずはやはり、動物病院へ行く、というのが最優先です。その際には血便を持参すると良いでしょう。血便は重大な病気が原因の場合も多いですので、なるべく早く連れて行ってあげましょう。特に、熱中症や中毒などは対処の遅れが命取りになる場合もありますので、そのような時は救急病院を受診すると良いでしょう。
まとめ
体臭はほとんどないのに、その代わりなのか便はかなり臭い猫。その臭いに嫌悪感を抱く方も少なくないでしょうが、愛猫の健康状態を確認するのには大切なものです。トイレ掃除をする際には必ず色や形などをチェックし、血便などの異変があれば獣医師に相談するようにしましょう。
また、飼い主ができること、マメなトイレ掃除やワクチン接種など予防法を積極的に行うことで、愛猫を守る助けとなるでしょう。できることはして愛猫をなるべく健康でいさせたいですね!