スコティッシュフォールドの折れ耳について

スコティッシュフォールドの折れ耳について

折れ耳と言えばスコティッシュフォールドのチャームポイントですよね。なぜ耳が折れているのか、折れ耳ならではの注意点など、スコティッシュフォールドの折れ耳についての秘密をお伝えします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

スコティッシュフォールドの折れ耳

折れ耳のスコティッシュ

スコティッシュフォールドの特徴で思い浮かぶのは何より折れ耳。ぺたんと垂れるように折れた耳は、スコティッシュフォールドならではの魅力です。スコティッシュフォールドの折れ耳は、全体的に丸みを帯びた柔らかい体とまん丸でかわいらしい目、小さめの外見、そして穏やかな性格にもマッチしていますね。

なぜ耳が折れているのか

その折れ耳は遺伝的なものであることが分かり、ブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアなどとの交配を重ね、現在のスコティッシュフォールドが生まれました。スコティッシュフォールドの折れ耳は実のところ、先天的な骨と軟骨の形成異常によるものです。

スコティッシュフォールドの折れ耳の注意点

おすましスコティッシュ

かわいらしいスコティッシュフォールドの折れ耳ですが、他の猫にはない折れ耳だからこその注意点があります。折れ耳は立ち耳と比べて耳の中の通気が悪いので、湿度が高くなりがちです。耳垢が溜まりやすかったり、蒸れて痒くなったり、外耳炎など耳の病気になりやすいと言えます。

正しいケアの方法

立ち耳の猫でも言えることですが、猫の耳はデリケートな部分ですので、自己流のケアをすると傷付けてしまいます。獣医師にアドバイスを受け、正しいケア方法で耳を清潔にすることを心がけてください。
折れ耳は立ち耳よりもこまめにチェックすることも大切です。異常が見られたらすぐに獣医師に診てもらいましょう。

折れ耳のスコティッシュフォールドの弱点

ドアップ黒スコティッシュ

スコティッシュフォールドの折れ耳は様々な交配が繰り返された中で固定された特徴ですが、折れ耳同士の交配で生まれたスコティッシュフォールドは遺伝的に弱くなります。元来、折れ耳は耳軟骨の遺伝的奇形です。折れ耳同士を交配すると、必ず折れ耳の子猫が生まれますが、遺伝性の骨軟骨形成異常の症状が重度に現れてしまうのです。愛猫が足をかばうような仕草や触ると痛がる、動きたがらない、食欲がないなどの様子があった場合にはすぐに獣医師に相談してください。

折れ耳以外の「立ち耳」のスコティッシュフォールド

立ち耳おすわりしているスコティッシュ

折れ耳が特徴のスコティッシュフォールドですが、立ち耳がいることはご存知でしょうか。現在、きちんと知識を持ち動物の福祉を重視するブリーダーは遺伝的な弱さをカバーするためにも折れ耳同士の繁殖は決して行いません。折れ耳と立ち耳のスコティッシュフォールドの交配、もしくは折れ耳のスコティッシュフォールドと別種の猫(アメリカンショートヘアー、ブリティッシュショートヘアー、ブリティッシュロングヘアー)の交配を行います。
その結果、スコティッシュフォールドの血を持つ、折れ耳と立ち耳の子猫が生まれます。折れ耳のスコティッシュフォールドを購入する際には親や兄弟に立ち耳が居るか確認したほうが良いでしょう。両親ともに折れ耳である場合には、その子猫には重度の骨と軟骨の異常が若いうちから出ることになります。
立ち耳のスコティッシュフォールドは耳こそ折れていませんが、丸い外見と穏やかな性格などの特徴はそのままのかわいらしい猫です。立ち耳のスコティッシュフォールドは折れ耳のスコティッシュフォールドに高い確率で見られる骨軟骨異形成症の発症率が低いか全くなく、耳の病気にもかかりにくいと言われています。

まとめ

ごろーんとしているスコティッシュ

かわいいスコティッシュフォールドの折れ耳ですが、治ることのない遺伝性の病気を発症する危険性もはらんでいます。獣医師の指導の下、適切な食事やケアなどを行い、些細な変化に気付いてあげることで生活の質をできるだけ高く保ってあげることは可能です。可能な限り長く幸せな時間を過ごすためにも、さらに気を配って愛猫を守ってあげましょう。

▼スコティッシュフォールドについて詳しく知りたい方はこちら
スコティッシュフォールドの性格や特徴、値段から飼い方まで スコティッシュフォールドの特徴!折れ耳と立ち耳がいるのはなぜ?

監修獣医師による補足

スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成は、不完全優性遺伝の疾患です。1対ある遺伝子のうち、両方に骨軟骨異形成を起こす遺伝子を持てば、その症状は子猫の頃から認められ、かつ重度のものとなります。これが本記事内で書かれている「遺伝的に弱い」ということです。片方だけにその遺伝子を持っていても骨軟骨異形成となりますが、症状の程度や発症時期は様々です。仮に飼い主さんが気づくような症状が見られなくても、レントゲンやCT検査を行うと骨や関節の異常が見られるようになります。耳については、程度の差はあれ折れ耳となると考えてよいようです。そして、両方ともにその遺伝子を持たなければ、骨軟骨異形成を持たない、耳が立っているスコティッシュフォールドの猫となるわけです。

2016年、スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成に関与している遺伝子変異が1つ報告されました。TPRV4と呼ばれる遺伝子にある変異で、その変異は立ち耳のスコティッシュフォールドやその他の品種の猫には一切見られませんでした。しかし、折れ耳のスコティッシュフォールド44匹を調べた結果、その変異を持たない猫も1匹いたので、骨軟骨異形成に関わる他の遺伝子変異の存在も考えられます。スコティッシュフォールドにおける遺伝子変異の研究は、人間における先天性の骨軟骨異常の病態解明にも役立つ、という点からも注目されています。

スコティッシュフォールドは、特徴的な折れ耳の猫を作出することを重視して繁殖されてきたため、骨軟骨異形成の他にもよく見られる遺伝性疾患があります。その1つが多嚢胞腎で、これは優性遺伝する病気です。また、スコティッシュフォールドは肥大型心筋症の好発品種でもあり、これも遺伝性が疑われています。

骨軟骨異形成は今のところ治癒しない、進行性の病気であり、放射線療法や外科手術などの治療法が研究され行われていますが、基本的には痛みに対する対症療法と運動障害に対する緩和療法を生涯にわたって行っていくことになります。

≪参考論文≫

獣医師:木下明紀子
投稿者

30代 女性 にゃコロ

私も、人気の垂れ耳スコちゃんが奇形に属する事を知ったのは、最近の事でした。はじめて垂れ耳猫を目にした時は、あまりの可愛さに衝撃を受けたのを思い出します。

最近は垂れ耳うさちゃんも人気があって、猫同様に特集がやっていたりしますが、やっぱり注意点として、耳の中の病気が話題に出ていました。

我が家の猫達は立ち耳ですが、一時期黒っぽい耳垢が溜まってしまい病院へ駈け込んだところ、原因は耳ダニでした。今は別の病気で定期的に獣医さんへ通っているついでに、耳掃除をしてもらっています。
★コットン(脱脂綿)に耳用の洗浄薬を付けて、軽く拭く程度のケアです。★

自分でも一度挑戦してみましたが、猫が嫌がってひっかき傷を頂いてしまってからは、もっぱら病院。。大人しい猫ちゃんなら、家でもできちゃうと思いますよ♪

折れ耳同士の交配の禁忌も、納得です。
まだまだ世の中には『悪徳』と言われる世界も多く存在しているので、信頼できるお店や、ブリーダーさんとのつながりの大切さを忘れてはいけないですね★
投稿者

20代 女性 匿名

垂れ耳の動物は犬でも猫でもウサギでもみんななぜが可愛いくみえますよね。私は犬も猫も飼ったことがありますが、どちらも立ち耳だったのでなおさらスコテッシュホールドみたいな垂れ耳の猫などを見ると可愛いなーと思ってしまいます。でも垂れ耳は耳軟骨の遺伝的な奇形で耳が垂れている状態なのですね。立っている耳が正常だと考えると確かに垂れ耳は遺伝的に何かしらの異常がある訳なので、耳以外にも遺伝子によって異常がででくることは考えられますね。可愛いなぁと思うだけで見ていましたが、通常とは違うということはその猫が他にも普通の猫とは違う体の変化がることを認識しておく必要があると思いました。立ち耳のスコテッシュホールドもいるということなので、スコテッシュホールドの健康面を考えると、別に耳にこだわらなくてもいいのではと考えることができました。スコテッシュホールドに限らず、人の都合で交配した猫やその他の動物は可愛い面もある一方で、健康に問題がないのか事前に調べておくべきだと思いました。
投稿者

30代 男性 めじろ

折れ耳スコティッシュは産まれてから死ぬまでその奇形のせいで耳に激痛が走っている事が書かれていない。
耳の病気云々もちゃんと知っておくべきだが、猫がその耳のせいで苦しんでいる事を書いていないのは疑問に感じる。

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