猫の耳が良い理由と様々な特徴

猫の耳が良い理由と様々な特徴

猫の耳は三角にピンと立ってかわいいですよね。猫の品種によっては前に折れた耳や外側にくるんとカールした猫の耳もありますが、耳の形にかかわらず、実は猫の耳はすごい機能が隠されているのです。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫の耳が良い理由

ひそひそ話の2匹

猫の耳が良い理由は、小さな動物がたてるかすかな音でも聞き分けられるようにするためです。

猫は人の4倍以上の高音が聞き取れる!

ひそひそ話の2匹
  • 人間に聞こえる音域:20ヘルツ~2万ヘルツ程度
  • 猫が聞こえる音域:30ヘルツ~10万ヘルツ程度
  • 猫は高い音がとてもよく聞こえる
  • 猫は超音波が聞こえる

猫も人間と同じように五感(視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚)を持っていますが、その中でも聴覚は猫のすぐれた感覚の一つで、犬の2倍、人間の4倍以上もの高い音を聞き取ることができるようです。

人間に聞こえる音域が20ヘルツ~2万ヘルツ程度なのに対して、猫が聞き取れるのは30ヘルツくらい~6万ヘルツとも10万ヘルツともいわれています。人間に比べると高音域が並外れてよく聞こえ、しかも超音波と言われる周波数の音まで聞き取ることができるのです。

ネズミの声や虫の羽音、そして子猫の鳴き声などが高音であることを考えると、納得できますね。。猫は薄暗い中で獲物をつかまえたり子猫の世話をしたりしていたので、聴覚を発達させる必要があったのですね。逆に低い音はあまり得意ではないようですが、猫が男性より女性の声を好むことが多いのは、そのせいかもしれませんね。

ときどき猫が何もない壁や天井をじっと見つめていて、もしかして幽霊でも見えているのでは?!と背筋が冷たくなったりすることはありませんか? 安心してください。幽霊ではありません。小さな虫などが動くときのかすかな音をキャッチして、その音の主を探しているのです。

家に帰ったら、猫が玄関で待っていてくれて嬉しかったという経験のある人も多いのではないでしょうか。これは偶然ではなく、飼い主の足音や車の音をちゃんと聞き分けているのでしょう。それだけ耳がいいということですね。

猫の耳の働きとバランス感覚

ひそひそ話の2匹
  • 三半規管と前庭が他の動物より発達している
  • 聴力とバランス感覚は別物
  • 内耳に問題があるとバランス感覚が失われる

猫は塀の上などの細いところでもスイスイ歩いたり、高いところから落ちても空中で身をひるがえして、じょうずに足で着地したりしますよね。これは、耳の奥(内耳)にある「三半規管」と「前庭」が他の動物よりも発達しているおかげのようです。この2つの器官によって、空中での頭や体の向きを感知して調整することで、すばらしいバランス感覚を保っているのです。

ちなみに耳の聞こえない猫でも、このバランス感覚は普通の猫と変わりません。ただし内耳の炎症や前庭の疾患があると、バランス感覚を失うことがあります。猫の歩き方がおかしい、フラフラしているなどの症状があれば、すぐに動物病院で診てもらってくださいね。

猫の耳は別々に動く!

耳が別々に動く猫

猫の耳は約30個もの筋肉からなっていて、左右別々に自由自在に動かすことができます。そうすることで音を効率よく集め、目に頼ることなく音源の方向や距離をかなり正確に測ることができるのです。獲物となる小動物は夜行性であることが多いですが、暗闇の中でも獲物を捕えるのが得意なのは、耳のおかげなのですね。

猫の耳から読み解く気持ち

4枚一緒になった写真

リラックスしているときの猫の耳は、自然に立ってやや外側を向いています。耳の形を見れば、そのときの猫の感情がだいたいわかりますので、猫と仲良くなるためにもぜひ覚えておきましょう。

耳を前に向けてピンと立てる

何かに興味をひかれて集中しているとき。耳もヒゲもそちらに向けてじっと見つめます。聞き慣れない音がしたときなどにも、急にピン!と立てます。

耳を後ろにやや反らす

初めて見たり嗅いだりしたものを、「これ何だろう?」と少し警戒しながら探っているとき。あるいは、気分が乗らないときに構われたりして、「ちょっといやだな~」と思っているときなどにもこうなります。

真横や後ろにぺったり耳を寝かせる

怖がっているとき、怒っているとき、警戒しているときなど。怯えていても攻撃してくることがあるので、この状態のときはあまり刺激しないようにしましょう。

後ろに耳を向ける

猫の背後で物音がしたり人間が話したりしていると、顔は前を向いたまま耳だけ後ろに向けることがあります。無関心を装っていても、ちょっと気になるのですね。

耳をピクピク動かす

人間には聞こえないような小さな音に注意を向けているとき。耳を細かく動かしながら、音の正体や音源の位置を探っているのです。また、猫を呼んだときに耳をピクピク動かすのは、「そっちに行くのは面倒くさいけど、とりあえず聞こえてますよー」という、猫なりの合図と考えてもいいでしょう。

猫と耳に関するまとめ

猫の耳

犬の嗅覚がすぐれているというのはよく知られていますが、猫は聴覚がとてもすぐれているのをご存知でしたか? 猫はもともと単独で獲物を待ち伏せして捕える動物ですが、もともとは薄暗い時間帯に最も活動する動物なので、聴覚による情報がとても重要だったのでしょう。

獲物を捕えたり、高いところから落ちても怪我をしなかったり、感情を表したりと、いろいろな役割をする耳。猫にとっては生きていく上でとても大事なものなのですね。

愛猫の居場所がすぐわかるように、あるいはかわいいからと首輪に鈴をつける人もいますが、音にとても敏感な猫にとってはストレスになることもあるかもしれません。いやがったり猫の活動に影響しているようなら、はずしてあげてくださいね。

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