猫から感染する病気5選!予防するための方法

【獣医師監修】猫から感染する病気5選!予防するための方法

猫や人の感染症がいくつかありますが、中には猫から感染が原因で人にうつる病気があります。症状が比較的軽度で済む感染症もありますが、命を落とす危険性が高い感染症もあります。実際に2016年に猫から感染したことが原因で女性が亡くなったニュースが全国的に大きく取り上げられました。今回は猫から感染する病気・感染症の中から5つをピックアップし、猫から感染を防ぐための予防法も紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫から感染する病気一覧

咳をしている男性とグレーの猫

猫から感染する病気5つ
  • 皮膚糸状菌症(猫カビ)
  • クラミジア
  • コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
  • カンピロバクター
  • 猫回虫

1.皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症の症例

猫から感染する、皮膚糸状菌というカビの仲間に感染することでおこる皮膚病であり、別名猫カビともいわれています。皮膚糸状菌症は感染力が強く、簡単に猫から感染しやすい病気でもあります。

症状

  • 赤く丸い発疹
  • 水泡・痒み
  • 皮膚がカサカサする

猫から感染したことが原因で人が皮膚糸状菌症になった場合は、腕や首、頬などに赤く丸い発疹がいくつもでき、リングワームとも呼ばれています。また痒みが生じたり、発疹部分の皮膚がカサカサしたりしており、水泡ができることもあります。

原因

基本的に皮膚糸状菌に接触することで猫から感染しますが、皮膚にある免疫力により簡単に感染しないように守ってくれています。

しかし接触の頻度が多かったり、抵抗力が低下しているときに菌が付着したまま洗い流さないままだと、菌が皮膚の中に侵入してしまい、猫から感染することもあります。特に高齢者や小さい子供に感染しやすい傾向があります。

治療の方法

猫から感染しても、自然に痒みなどの症状が緩和する場合がありますが皮膚糸状菌は毛や、爪に含まれているケラチンと呼ばれるタンパク質を栄養源とするため、症状が治ったとしても実は菌が残り続けている場合があります。

そのため抗真菌薬の外用薬を塗布したり、症状の度合いによっては、飲み薬も一緒に併用したりすることがあります。

2.クラミジア

クラミジア菌

猫から感染する可能性のあるクラミジアは細菌よりも小さいですが、ウイルスよりも大きい微生物です。

クラミジアというと性感染症のイメージがありますが、実は猫風邪の原因の一つでもある病原体です。猫同士の感染率が高く、稀に猫から感染したクラミジア感染症が人にうつることがあります。

症状

  • 結膜炎
  • 結膜が赤く腫れる
  • 目ヤニ

猫から感染したことにより人がクラミジア感染症にかかった場合、結膜に感染することで結膜炎を発症することがあります。クラミジア結膜炎になると結膜が赤く腫れ、目ヤニが出てきたり眼瞼結膜に小さなブツブツがいくつも出てきたりすることがあります。

猫から感染して、放置してしまうと症状が悪化し、腹痛や不妊症、流産を引き起こす原因にもなってしまいます。

原因

猫のクラミジア感染症が人にうつる主な感染ルートは、感染猫と接触した手で目をこすることです。結膜に感染がおきクラミジア結膜炎を発症します。結膜など目に感染すると、目と鼻を通る管である鼻涙管を通じて、喉などの咽頭感染を発症することがあります。

治療の方法

猫から感染したクラミジアに人が感染し、結膜炎を発症した場合は、主な治療法として一般的に抗生物質が入っている目薬を点眼したり、抗生物質の飲み薬を服用したりします。

3.コリネバクテリウム・ウルセランス感染症

コリネバクテリウム

この感染症は家畜や犬・猫といったペットといった動物がもつ「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に人が感染することで発症する人獣共通感染症です。

しかし、2016年5月にこのコリネバクテリウム・ウルセランス感染症が猫から感染して、福岡県の60代女性死亡したと厚生労働省が発表しています。死亡した女性の血液などから菌が検出されており、屋外で3匹の猫をお世話していたのですが、そのうち1匹がコリネバクテリウム・ウルセランス菌が検出されました。

症状

コリネバクテリウム・ウルセランス感染症に猫から感染した場合、喉の痛みや咳など風邪とよく似た症状が出てきますが、症状が重症化すると呼吸困難になることがあり、最悪の場合は命を落とす恐れがあります。

原因

この感染症は猫から感染しても人から人に感染することはほとんどありません。しかし海外では、乳房炎や関節炎にかかっている牛の生乳から感染したケースがあります。

最近では猫から感染する以外に、犬などのペットからの感染が国内・国外どちらも確認されており、2009年には野良猫のクシャミを浴び、鼻水に含まれていた菌で人が猫から感染した報告があります。

そのため鼻水やクシャミなどの症状がある犬や猫に接触する際は、十分に注意するとともに早めに獣医師の診察を受けることが大切です。

治療の方法

主な治療法として抗菌薬が効果があるとされています。日本国内で人にマクロライド系の抗菌薬の使用で回復した症例が報告されており、感染症に感染した動物でもマクロライド系は効果があると考えられているそうです。

4.カンピロバクター

カンピロバクターの菌

家畜や家禽などの消化管や生殖器に感染する微生物で、1970年代に人の下痢の原因であることが判明し、感染性腸炎の原因菌として知られるようになりました。

症状

  • 腹痛・下痢・血便
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 胆嚢炎・膵炎腹膜炎
  • 手足の麻痺(ギラン・バレー症候群)

人が猫からカンピロバクターに感染し、約2〜5日の潜伏期間後に腹痛や下痢、嘔吐、発熱、倦怠感などの症状が起こります。小さい子供が感染した場合は、血便も起こることがあります。

また胃腸炎の合併症として胆嚢炎や膵炎腹膜炎などがあげられます。稀に感染したことがきっかけとなり運動機能が障害を受け、手足が麻痺を起こすギラン・バレー症候群を発症することがあります。

原因

原因であるカンピロバクター菌は感染動物の排泄物に接触したり、生肉をそのまま食べたり、殺菌してない水や牛乳によって感染をおこします。猫から感染する可能性のあるカンピロバクター菌は牛や豚などの家畜や鳥類の腸管に常在しており、犬や猫といったペットの菌の保有率は高くはないとされています。

しかし、症状が見られない不顕性感染の動物の排泄物には菌が存在するため注意が必要です。そのため人がカンピロバクター症に猫から感染する経路としては、菌を保有している猫との接触や感染猫の排泄物が手に付着し、不十分な手洗いにより汚染された手で食べ、一緒に口に入ってしまうことで感染します。

治療の方法

カンピロバクター症が猫から感染し発症した場合、ほとんどが自然治癒することが多いです。症状が軽度の場合は、主に点滴治療や整腸剤を服用するなどの対症療法となります。また状態に応じては、抗生物質の投与も行うことがあります。

5.猫回虫

猫回虫

回虫症とは回虫と呼ばれている寄生虫が原因で引き起こされる感染症で人や猫を含め、多くの哺乳動物の腸管に寄生します。回虫症は人の線虫感染症の中でも多く発症している感染症でもあり、全世界約10億人が感染しているといわれています。回虫でも犬に感染する犬回虫や人の場合は人回虫など、それぞれ固有の回虫があります。

猫の場合はほとんどが猫回虫で、稀に犬小回虫が感染することがあります。その猫回虫および犬小回虫は猫から人にうつる人獣共通感染症でもありますが、犬小回虫の場合は猫から犬にうつる病気でもあります。

猫回虫2つの症状

猫から感染した猫回虫が人にうつった場合、成虫まで発育せず幼虫のまま体内を移動します。内臓や眼などに侵入し、様々な症状および障害をおこすようになります(幼虫移行症)。

内臓移行型
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 喘鳴
  • てんかん発作

幼虫が侵入する臓器によって症状が異なることがありますが、主に発熱や倦怠感、食欲不振などがあげられます。幼虫が肺に侵入した場合は咳や喘鳴により肺炎を引き起こし、脳に侵入した場合はてんかん発作などの神経症状をおこすことがあります。

眼移行症

回虫が眼に侵入した場合は網膜脈絡膜炎、ブドウ膜炎、網膜内腫瘤、網膜剥離などにより視力や視野障害、霧視(むし)、飛蚊(ひぶん)症などを引き起こします。

原因

猫から感染した猫回虫が人にうつる主な感染経路としては、猫回虫に感染している猫の排泄物に混じった虫卵が誤って手に付着し、よく洗わないままの手の状態で食べ物を掴み、口に運ぶことで虫卵が体内に侵入します。

また猫回虫に汚染されている土壌に直接接触し、その後不十分な手洗いによって食べ物と一緒に虫卵が体内に侵入することもあります。

治療の方法

猫回虫の幼虫が体内の組織中に侵入した場合は、残念ながら有効な治療法はありません。しかし重度の症状や眼トキソカラ症を発症した場合は駆虫薬の投与やステロイド治療、レーザーによる凝固法治療を行う場合があります。

猫から感染する病気を予防する方法

マスクをしている親子

完全室内飼いにする

昔と比べて現在と比べてほとんどの室内で飼育していますが、中には外に出る機会がある猫がいます。
完全室内飼いにすることで、野良猫との接触や外から病原体をもらってくることがなくなるため、感染症にかかるリスクが大きく減少します。

その分、猫から感染したことが原因で人にうつることもなくなるため、完全室内飼いにすることです。

定期的にワクチン接種をする

人にも感染するクラミジアは猫風邪の原因の一つでもある病原体です。猫風邪は非常に感染しやすく、一度でも猫が感染すると原因であるウイルスが体内に残り続けるので慢性化しやすいです。

定期的にワクチン接種を受けることで免疫力が上がり、猫風邪などの感染症のリスクを下げることができます。

過度なスキンシップを控える

人獣共通感染症の中には猫が元々保有している菌が原因で、人に感染をおこすものがあります。猫にキスするなどの過度なスキンシップにより、人にうつり感染症を引き起こす恐れがあるため、控えることが大事です。特に小さい子供や高齢者がいる家庭や、持病で免疫系の疾患を持っている人は注意が必要です。

猫にひっかかれたり咬まれたりしてできた傷は放置しないこと

猫から感染する人獣共通感染症の中には、猫ひっかき病やパスツレラ病といった猫にひっかかれたり咬まれたりすることで人にうつる感染症があります。

猫の爪は鋭く尖るように伸びるため定期的に爪を切ることも非常に大事ですが、もし猫にひっかかれたり咬まれたりしてしまい傷ができた場合は、放置せず直ぐに水で洗い流してください。傷の度合いによっては、病院に受診する必要があります。

こまめな手洗いや消毒をする

人が猫から感染するルートの中には病原体や菌が手に付着した状態で、食べ物と一緒に口に入れることで感染をおこすことがあります。そのため猫に接触した後やトイレ掃除後などは、こまめに手洗いをすることが大事です。

常に清潔な飼育環境を整える

飼育環境が汚染されると病原体や菌が増殖しやすく感染のリスクを高めてしまうため、猫の排泄物は直ぐに処理するとともにこまめに清掃し、常に生活環境を綺麗にすることが大事です。特にカーペットやソファーなどは増殖しやすいため、注意が必要です。

まとめ

カーペットの上でくつろぐ女性と猫

猫から感染する人獣共通感染症はいくつかあり、その中には命を落とす危険性が高い感染症もあります。

猫から感染する病気のほとんどが猫との接触により人に感染するため、猫を飼育する際は猫にかかる感染症だけではなく、猫から感染する人獣共通感染症についても知る必要があります。

中には元々猫が保有している病原体が原因で猫から感染をおこす場合もあるため、過度なスキンシップを控えたり、完全室内飼いにしたりすることで、外部から猫から感染するリスクを減らすことができます。

最近では保護団体やボランティア団体から猫を譲り受け飼育する方が増えてきました。譲渡された猫の中には人が猫から感染する真菌症を患っていたり、回虫症に感染してたりする猫が多いのが現状です。

そのため、先住猫や人にも感染する恐れがあるため、一般状態も含め動物病院に受診することを勧めます。